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定年後の再雇用に一石を投じる!!

2016年7月7日 公開 / 2016年7月11日更新

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 再雇用 退職退職 手続き

先日、東京地裁で定年後の再雇用について次のような判決が出ました。
【定年後再雇用、同じ業務で賃金格差は違法!!】
つまり、定年前と同じ立場、同じ仕事、同じ業務量であれば定年後の再雇用であっても、給与水準を引き下げるのは違法という判決です。
一般的には定年間近になると業務の引継ぎや後継者を考えた配置などを行い、また雇用保険の高年齢者雇用継続給付金の絡みで再雇用後の賃金を定年時の6割から7割ぐらいまでに落とす企業が多いわけです。

ここでのポイントは、仕事内容や仕事量が定年前と再雇用後とどうかという点です。
まったく仕事内容、仕事量が変わらない、本人の能力が劣っていないのであれば、賃金が6~7割減るのは労働者としても納得いかないものです。そういった点でも定年後の再雇用についての賃金決定は慎重に進めたいものです。

【判例:東京地裁】
定年退職後に横浜市の運送会社に再雇用された嘱託社員のトラック運転手3人が、正社員との賃金格差の是正を求めた訴訟で、東京地裁(佐々木宗啓裁判長)は13日、「業務内容が同じなのに賃金が異なるのは不合理」として、請求通り正社員との賃金の差額計約400万円を支払うよう運送会社に命じた。
判決は「定年前と同じ立場で同じ仕事をさせながら、給与水準を下げてコスト圧縮の手段にするのは正当ではない」と指摘。再雇用者の賃金を下げる運送会社の社内規定について、正社員と非正社員の不合理な待遇の違いを禁じた労働契約法に違反すると判断した。
原告側の代理人によると、再雇用の賃金をめぐり、労働契約法違反を認める判決は初めて。
判決によると、3人は2014年に60歳の定年を迎えた後、1年契約の嘱託社員として再雇用された。セメントを輸送する仕事の内容や責任の程度が変わらない一方、年収は定年前より2~3割下がった。企業が定年後に嘱託社員を雇用する場合、仕事内容の変更とともに賃金を引き下げることは一般的。
佐々木裁判長は「コストの増大を回避しつつ定年者の雇用を確保するため、賃金を定年前より下げること自体には合理性が認められるべきだ」とも判示した。
(日本経済新聞電子版 2016/5/14より抜粋)

一律に賃金を下げるのではなく、業務量や能力との兼ね合いで見極めることが大事なのは言うまでもありません。

【編集後記】
やっぱりゴルフは楽しまなきゃ!
を感じさせてもらえるメンバーでした^^

この記事を書いたプロ

北出慎吾

社会保険労務士として企業の成長に寄り添う人事労務のプロ

北出慎吾(北出経営労務事務所)

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