「応接テーブルが高すぎて使い勝手が悪いんです・・・。」
目次
①「歳を取って身長が縮みました・・・。」
「床に足が付かないので、椅子の脚を切ってお尻の高さを35㎝にしてほしいです。」
と、新居浜市・S様からお問い合わせをいただきました。
S様からお預かりしたダイニングチェアは、座高が約40㎝の標準的な高さの岐阜県のマツダ産業製の椅子でした。
②既製品家具の二次加工/脚先のカット作業
製造段階で椅子の脚の長さをカットするには、動力機械で作業ができますが、
完成品になっている椅子の脚をカットするには、手加工作業が早くて正確です。
脚をカットする時の墨付けに時に役に立つのが、昔ながらの道具 “毛引き” です。
40㎝の座高を、35㎝にするため “毛引き” のセットを5㎝にしました。
そして、“両刃のこぎり” を使い脚先端を墨付けに沿って切っていきます。
この時に大切なのは、椅子の前後の脚墨付け線の延長線上に身体を持っていくことです。
③既製品家具の二次加工/水平バランス調整作業
椅子の脚先カット作業で大切なことは、椅子全体の水平バランス調整です。
いくら慎重にカットしましても、切っただけで床に置くと、微妙に「ギッコン バッタン」してしまいます。
そのため、水平盤(ガラスの厚番)の上に椅子を置き、“あさりの無い横引きのこぎり” で微妙な調整をしました。
私が愛用している “両刃のこぎり”(写真左)と“あさりの無い横引きのこぎり”(写真右)、左下の端材がカットしたのもです。
水平バランス調整作業後は、研磨紙#100で面取りや研磨作業の上、研磨紙#180で仕上げ後、着色処理をしました。
④既製品家具の二次加工/完成後お届けいたしました。
座高が、ご希望通り35㎝になったのを確認の上、椅子全体を掃除して、お届けいたしました。
玄関にて、脚先カットしたダイニングチェアの写真を撮らせていただきました。
S様、ご依頼いただき、写真撮影のご協力をいただきありがとうございました。土岐泰弘
⑤今後ますます既製品家具の二次加工に力を入れていきます。
既製品家具というのは、10人中6人くらいの過半数の方に受け入れられるように、ライン生産されている家具のことです。
このライン生産された家具に少し手を加えて、少しでも安全に使いやすく加工する作業を「既製品家具の二次加工」と呼んでいます。
超高齢社会(65歳以上の人口が全人口の21%以上の社会)の現在、「既製品の家具では使いにくい」という方が増えています。
特に椅子についてのお問い合わせが多いと思います。
「回転盤付きの椅子の回転盤を取り外してほしい・・・。」
「重たいのでキャスターを取り付けてほしい・・・。」
「本箱の高さを切ってほしい・・・。」
などなど・・・
仕事に基本は、『人様のお役に立つこと』です。
TOKI家具館メンテナンスでは、このような既製品家具の二次加工にますます力を入れていきたいと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。土岐泰弘