三男なおふみ(25歳)が帰郷→事業承継の始まりです!
「スマホで買えない仕事」に特化する⇔スマホで買える仕事は業界大手様の仕事
~2021年8月11日(金)NHK四国特別番組「四国ヒューマン」思い出もよみがえる家具修理で放送されるまでの20年~
*昭和の時代は、新しい家具のお届けが超多忙!
*平成の時代に入ると、新しい家具のお届けとともに不要になった家具の引き取りが一般化!
*令和の時代に入ると、必要な家具は無いけれど、処分したい家具があるという方が急増!
「こんな状況下で、気が弱くて、争いごとが大の苦手な私が、小さいながらも会社を存続させていけそうな仕事とは・・・。」
*①仕事=『お困りごとの解決』
*②戦略=『戦いを略すること』
*③戦術=『戦いの術(方法・手段・技)』
*①+②+③=業界大手様と正反対の商いの土俵づくり(独自の土俵づくり)
①「21世紀はメンテナンスの時代」
この言葉は、1999年1月4日(月)新居浜商工会議所 故藤田秀朋会頭が、新年互礼会 年頭の挨拶で何回も発せられた言葉でした。
続いて・・・
「20世紀は、大量生産→大量販売→大量廃棄の時代だった。」
「こんなことは、21世紀になって続くはずがない!」
「新居浜市は、鉄工業が盛んな街で、Xハイウェイの中心地!」
「新居浜市は、四国の中で鉄工業のメンテナンスシティをめざすべき・・・!」
「21世紀はメンテナンスの時代」
当時から、TOKI家具館メンテナンスでは、高級ホテルやゴルフ場、市役所など法人様の家具修理を受注していたため、「21世紀はメンテナンスの時代」の言葉が強烈に頭に刻まれたのです。
「21世紀はメンテナンスの時代→家具のメンテナンス→家具の修理」といった流れで、家具修理に力を入れる決意をしたのです。
1999年からは、個人客様へも「家具修理もできますよ」と、新聞折込チラシの一部を使って広報活動をスタートし始めました。
特に、2009年11月20日(金)ニトリ新居浜店様オープン日からは、「家具のもったいない」解決したいと思いませんか?
と問題解決型の “家具修理専用チラシ” の新聞折り込みを、シンプルな提案とわかりやすい価格を持ってスタートしました。
この “家具修理専用チラシ” は、2009年11月20日(金)初めて新聞折り込みしたものです。私は、過去のチラシもそのほとんどをファイルして保存しています。
この “家具修理専用チラシ” は、小出しにほぼ毎月のように少しずつ改良を重ね2017年まで継続しました。
2017年からは、フェイスブックページをスタートしました。
TOKI家具館メンテナンスのフェイスブックページ
そのため “家具修理専用チラシ” の新聞折り込み回数は少しずつ減らしていきましたが、今でも改良を重ねた同様の “家具修理専用チラシ” を一年に3回は新聞折り込みしています。
2017年から2021年の間は、少しづつデジタル系の販売促進をスタートしました。
フェイスブックページをはじめ、当店ホームページ、グーグルビジネスプロフィール(旧グーグルマイビジネス)、マイベストプロ愛媛(愛媛新聞社運営)、web広告、LINE公式アカウントを順々に始めました。
でも、初めに取り組んだフェイスブックページが全ての基本となっています。
そのため最近の “家具修理専用チラシ” は、紙媒体からwebへの導線としてQRコードが5個もあるものになりました。
この “家具修理専用チラシ” は、2021年7月5日(月)に新聞折り込みしたもので一番最近のものです。
②2008年 愛媛県中小企業家同友会へ入会~同友会大学へ
同友会へ入会したきっかけは・・・
当時事務局長 故鎌田哲雄さんから「儲かりたいなら同友会に入りなさい。」の一言でした。
同友会大学~秋川保親先生との出会い
秋川保親先生の言葉でよく憶えている言葉が・・・
「たとえ遠くてもあなたから買いたい」と言われるように!
「たとえ高くてもあなたから買いたい」と言われるように!
そして秋川保親先生からは、執筆されたたくさんの書籍が贈られてきました。ありがたい気持ちでいっぱいです。
そして、2017年からは県外(北海道~沖縄県)からのお問い合わせをいただくようになりました。現在では、東京都~沖縄県のお客様へ納品実績があります。
2022年1月には、東京都の吉村佐代子様から九州民芸家具のラダーバックチェアの修理をしてお届けしました。。
大変ありがたいことに、吉村佐代子様は、ご自身のフェイスブックで私の仕事ぶりを紹介してくれたのです。
さらに、吉村佐代子様からは、フェイスブック上で推薦文まで書いてくれたのです。吉村様には、心から感謝しています。
『2009年から秋川保親先生が教えてくれた言葉を実行するために実践したことは・・・』
③業界大手様の正反対の仕事の実践・・・戦略(戦いを略すること)
「たとえ遠くてもあなたから買いたい」、「たとえ高くてもあなたから買いたい」の実践に私が考えたことは、
A:お客様に喜ばれること、B:業界大手様がバカにしてしないこと、苦手なこと、C:私ができそうなこと、の仕事をする必要がありました。
A:お客様に喜ばれること(顧客が望んでいる価値)
人は誰もが困っていることの解決にお金を使います・・・『お困りごとの解決』
不便、不安、不快など『不の解決』に、「家具屋ができそうなことは無いか?」と探しはじめました。
それが「家具のメンテナンスや家具の修理、リノベーション」といった “めんどくさい系” の仕事だったのです。
私の仕事に対する考え方は、「もしも自分がお客様だったら、このくらいはして欲しいなあ~!」のハードルをたとえ1%でも越すことです。
人が買い物をする時は、2通りの買い物があると思います。
①専門家との相談が不要な買い物~よく知っている商品や使ったことがある商品の買い物は、専門家との相談が不要です。
この相談不要の買い物は、業界大手様やスマホでの買い物が向いていると思います。
②専門家との相談が必要な買い物~めったに買わないものやよくわかりにくいものの買い物には、専門家との相談が必要です。
家具は、めったに買うものではなく、価格の幅も広くわかりにくい買い物だと思います。
まして家具修理やリノベーションというとなおさらわかりにくいと思うので、専門家との相談が不可欠だと想うのです。
当店は、この相談に「心を込めたい!」と想い『家具の想談館』という名前を、特許庁に商標登録しトラックに名入れをして走っています。
B:業界大手様がバカにしてしないこと、苦手なこと(ライバルが提供できない価値)
業界大手様がバカにしてしないこと、めんどくさがること、苦手なことを精力的に捜し求めました。
およそ50年前、私が子どものころは、どの家具店様も家具工場が併設されていました。
しかし見込み生産は効率が悪いと、業界大手様をはじめほとんどの家具店様が工場を閉鎖していきました。
C:私ができそうなこと(自社が提供できる価値)
当店も元々、家具工場を持つ製造販売の店でした。
業界大手様は効率が悪いと家具工場を閉鎖していく中で、当店は家具工場を維持してきました。
そのため木工技術と専門性が必要な仕事の分野なら、私にもできそうだと思いました・・・戦術(戦いの術/方法・手段・技)
2010年、当時46歳だった私ですが「木工技術を基礎から学びなおしたい!」と、愛媛県立宇和島高等技術専門校へ入学しました。
この時、親父からは「いまさら何を習うの・・・?」と反対されましたが、これを実行しないと「親父を越せない!」と想い、強引に入学したのです。
この写真は、愛媛県立宇和島高等技術専門校へ入学した2010年4月に撮ってもらったもので、木工の基礎の基礎「刃物研ぎ」を毎日していたころのものです。
愛媛県中小企業家同友会の友だちから、うれしいお便りをいただきました。
2011年3月、修了式の様子です。上段左から3番目が私です。
平日は宇和島市で学校に通い、土日祝日は新居浜市で仕事という二重生活は、長いようでとっても短かったです。
この宇和島市での一年間の経験なしでは、今の私は考えられませんので、とっても感謝しています。
2011年、店内1階を家具工場へ/2019年、店内4階を家具塗装工場へ
業界大手様と正反対な仕事の実践をするために、店内1階の一部だった家具工場を1階全体へと広げました。
店内家具工場を作る時に参考にしたのは、料亭様や寿し店様がカウンター越にお料理を作ってくれて提供している様でした。
また、自動車ディーラー様が、車検や整備をしている様子を見られるようにして作業しているのも参考にしました。
自動車よりも永く使えるはずの家具に、工場併設店舗がほとんど無いことにも違和感を感じていました。
現在では、同業者の家具専門店様、百貨店様、家具メーカー様からの受注もいただいています。
この受注を通じて感じることは、一般家具小売店様とは、ある意味 “異業種” になってしまったとも感じています。
さらに「専門技術が必要な手加工作業」の仕事は、参入障壁が高いとも思われます。
家具の修理やリノベーションの仕事に必要なことは、手加工作業の習得です。これには、どうしても一定期間以上(3年~5年)の修行期間が必要です。
しかも、非効率作業の連続のため、効率最優先の業界大手様からは、バカにされ続けています。
④2012年「バリュー・プロポジション」との出会い
A:お客様に喜ばれること、B:業界大手様がバカにしてしないこと、苦手なこと、C:私ができそうなこと、に選択と集中していくことにより出合ったのが「バリュー・プロポジション」です。
「バリュー・プロポジション」をご存知の方も多いと思い恐縮ですが、下に私が得られそうな代表的なこと書いてみました。
A:価格決定権をもつ仕事ができた
定価とは、大量生産品やたとえ受注生産品でもライン生産している商品に付けられるものです。
このように定価のある商品は、業界大手様の店舗や、もちろんスマホでも買うことができます。
家具修理やリノベーションなど、1件1件異なる仕事となると定価は存在しないため、当店の標準価格(材料費+技術料など)で受注しています。
特に家具修理は、シンプルな提案とわかりやすい価格でないといけないと、主な家具修理費用は当店ホームページで公開しています。
当店の標準価格とは、①お客様に喜ばれる価格、②当店が安定経営できる価格、③同業者様からも受け入れられる価格のことです。
*現在、同業者の家具専門店様、百貨店様、家具メーカー様からの受注もいただいています。
B:在庫を極限まで減すことができそう
私のような個人事業主の一番悩みの種は、在庫です。
家具修理やリノベーションなど無在庫の仕事の割合を増やすことによって、本当に必要な在庫を見分けることができ、在庫を極限まで減すことができそうです。
ここ20年の種類別売上構成比の推移は下記の通りです。
店頭在庫が必要で、業界大手様やスマホの買い物に向いている「一般家具小売(青色)」の構成比が約1/3まで下がっています。
また、店頭在庫が不要で、専門技術や経験、ノウハウが必要、そして業界大手様やスマホの買い物に向いていないと思われる、「家具修理(グレー色)」や「リノベーション家具(黄色)」の構成比が約3倍に増えています。
「特注家具製作(オレンジ色)」は、当店の特注家具製作は、無垢材による製作という元々需要が少ない仕事のため、あまり変わっていません。
⑤小規模事業者持続化補助金へのチャレンジ
私がこれらのことをより推進するために利用させていただいたのが、小規模事業者持続化補助金など公的機関の各種補助金です。
A:2015年 小規模事業者持続化補助金 採択
とき家具木工塾や木工イベントの開催を通して、「木工技術がある家具店」を知っていただけるように広報活動をしました。
下の写真は、とき家具木工塾や木工イベントに参加いただいたお客様のものです。
B:2019年 小規模事業者持続化補助金 採択
フェイスブックページを通して少しづつ受注できるようになったため、デジタル分野の販売促進に感心をもちました。そのため当店独自のホームページを制作しました。
TOKI家具館メンテナンス
合わせて、店外の看板も「想いが伝わりやすい」ものに取り替えました。
C:2020年 小規模事業者持続化補助金 採択
店内2階に「リノベーション家具がある暮らし」の展示スペースを大工工事して、修理前→修理後 の家具の様子をわかりやすく見ていただけるようにしました。
合わせて、当店ホームページ内に「リノベーション家具がある暮らし」の専用ページを制作しました。
TOKI家具館メンテナンス「リノベーション家具がある暮らし」
D:2020年 小規模事業者持続化補助金事業再開枠
採択
コロナ渦対策に必要なものの購入をしました。
TOKI家具館メンテナンス「コロナ渦感染拡大防止対策」
E:2021年愛媛県コロナ対応新ビジネスモデル補助金 採択
当店初のオリジナル家具 Re.novation家具 HIME Re家具の製作のために木工機械を購入とともに、制作販売を開始した。
合わせて、当店ホームページ内に「不要座卓に新たな命を/HIME Re 家具」の専用ページを制作しました。
Re.novation家具 HIMERe家具 専用ホームページ
F:2021年新居浜市新ビジネスチャレンジ支援事業補助金 採択
パソコン音痴の私が苦手だったリモートでの打ち合わせを中心とした環境整備をしました。
合わせて、当店ホームページ内のお問い合わせホームの改善、LINE公式アカウントの追加、web広告を開始しました。
新しい家具の修理、リノベーション/お問い合わせページ
*この事業は、2022年1月31日まで実践中です。
⑥2021年6月22日 NHK松山放送局様から取材連絡
こうした①~⑤の実践を地道に続けることによって、読売新聞社様、愛媛新聞社様などマスコミ各社様からの取材依頼が少しづついただけるようになりました。
TOKI家具館メンテナンス「メディア掲載情報」
このメディア掲載情報で一番反響があったり「共感の声」が多く届いたのが、NHK四国特別番組 四国ヒューマン「思い出もよみがえる家具修理」でした。
NHK松山放送局のみなさま、撮影にご協力いただいたお客様、本当にありがとうございました。
これも全て1999年の新居浜商工会議所 新年互礼会の席で聴きとめた「21世紀はメンテナンスの時代」を家具屋に置き換えて少しづつ実践してきたことに尽きると想います。
そのヒントをいただいた故藤田秀朋会頭様に感謝しています。
⑦事業承継できそうです。
」
私には、3人の息子がおります(長男27歳・次男25歳・三男23歳)
3年前までは、高校卒業後地元企業様に勤めていた三男が、時々バイトで作業を手伝ってくれていた程度でした。
跡継ぎなど決まっておらず、このまま70歳くらいまで仕事を続けたのちに廃業を考えていたのです。
2019年10月、三男より・・・
「自分も家具職人になりたい!」と自ら申し出があったのです。
そして、2020年4月より北海道立旭川高等技術専門学院で家具職人を目標に勉強しています。
そして2021年12月、23歳以下の青年技術者を対象とした技能五輪北海道代表選手に選ばれ、東京ビッグサイトで開催された技能五輪全国大会で銅賞をいただくことができました。
第59回東京技能五輪全国大会 家具職種 レポート
⑧「逃げるな」
最後に、気が弱くて争いごとが大の苦手な性分の私が、「21世紀はメンテナンスの時代」を続けてこれたのは、愛媛県中小企業家同友会の秋川保親先生からいただいた書籍の中のこの詩を、特に苦しい時にいつも見ていたことに尽きると想います。
秋川保親先生、本当にありがとうございました。
最後の最後に、こんな長い文章中心の報告をお読みいただけたとしたら、本当に感謝いたします。ありがとうございました。土岐泰弘