「かまぼこを作る時の棚なんですが、こんなの作れますか?」②本番製作編
「手づくりの刺繍に合わせた額縁って作れますか・・・?」
お得意様の新居浜市・I様が、手づくりの刺繍を持ってご来店いただきました。
I様に聞きますと、この刺繍を作り上げるのに丸3年もかかったとのこと・・・。
手づくりの刺繍に合わせて、既製品の額縁ではなく、手づくりの木製額縁が希望とのことでした。
刺繍のことは、まったくの素人でわからない私ですが、手間をかけ愛情を込めて作られているのはよくわかりました。
特注家具の製作前/ウォールナット無垢材を用意しました。
手づくりの刺繍にできるだけ似合うように、手加工作業と電動工具作業にて作っていきます。材料には、上品で女性的な木目が特徴のウォールナット材を選びました。
このウォールナット材から、動力機械を使い、額縁を構成する横桟木とタテ桟木を木取りしました。
特注家具の製作中①/仕口(接合部)の加工作業
今回の額縁の仕口(接合部)の加工には、ドイツのフェスツールさんのドミノジョイント(100V)にて加工していきます。
写真手前の箱に入っているのがドミノカッター、奥の箱に入っているのがドミノチップです。
各部材に墨付けをして、ドミノカッターにて穴掘り作業をしていきました。
写真の手前に置いているのが、ドミノカッターです。国産の電動工具と比較して、説明書は若干わかりにくいものの、安全性がより高いと想います。
ドミノカッターによる楕円型の穴とドミノチップです。
ドミノチップはビーチ(ブナ)材を圧縮したもので、接着剤を塗ると膨張して強固な接着力が生まれます。
従来の接合方法のダボですと、1ヶ所の接合に2個のダボが必要ですが、ドミノジョイントですと、楕円形のため1個でより強固な接合ができるんです。
続いて、上部の横桟木を、I様のご希望通りに、糸鋸を使いアーチ型にカットしました。
特注家具の製作中②/圧着作業
愛用のソマックス製T型クランプを使い、接着剤を入れて圧着していきました。
上部アーチ型部の圧着時に使う当て木には、糸鋸でカットした端材を有効利用しました。
下部の圧着時に使う当て木には、普通の桟木を使いました。
圧着時には、その都度、クランプによる圧力が正しく掛かりますように、家具の形状にあった当て木や治具を作り対応しています。
特注家具の製作中③/植物性オイル仕上げ
TOKI家具館メンテナンスで永年使っている植物性オイルは、オスモ&エーデルさんのオスモカラーです。
I様の額縁には、#3161エボニーを2回塗りののちに、#3029ワックス+クリーナーにて仕上げていきます。
手づくりの刺繍を入れるための額縁ですので、塗装も手作業にて植物性オイルを刷毛塗りしたのちに、ウエスで拭き取るという方法をとりました。
#3161エボニーを2回塗り上がった状態です。
塗り上がったら、完全乾燥まで約12時間、桟木の上に置いて養生しておきます。
続いて、#3029ワックス+クリーナーにて仕上げていきます。
写真の右側に置いているのが、シナ合板に同じ植物性オイルで仕上げた額縁のウラ板です。
特注家具の製作後/調整作業後、お届けしました。
できあがったウォールナット無垢材の額縁に、I様の刺繍を入れて組み立てました。
額縁の上下左右に対して、バランスが良いように注意して組み入れていきました。
こうした工程を経て、無事にI様のリビングルームへお届けすることができました。
I様、ご依頼いただき、写真撮影にもご協力いただきありがとうございました。
「当店は、“めんどくさい系” の家具専門店です。」
既製品というのは、家具に限らず、全体の半分くらいの方に受け入れやすく作っていると思います。
超高齢社会(人口の21%が、65歳以上)の現在・・・
「既製品では、色合いが合いません・・・。」
「既製品では、サイズが合いません・・・。」
「既製品では、入れたいものが、ちゃんと入りません・・・。」
などなどと言われて、特注家具のお問い合わせが増えています。
TOKI家具館メンテナンスでは、「直す・リノベーションする・作る」など、“めんどくさい系” の家具専門店です。
「家具で困っている」という方がおられましたら、お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは、とってもカンタンです。電話または、ホームページのお問い合わせホームから送信するだけです。
最後までお読みいただきありがとうございました。土岐泰弘