「前脚がぐらぐらの椅子を直したいのですが・・・。」
「引き出しの木の取手が外れたんですよ・・・。」
「なんとか、丈夫に取り付け直しはできませんか?」
「香川県から来たので、すぐに作業してくれると嬉しいです。」
と、香川県観音寺市・S様が、事前にお電話をいただいたのちにご来店してくれました。
修理作業前/S様が持参してくれた引き出しです。
下の写真が、S様が持ってきてくれた引き出しです。
取手付きの引き出しを、永年使っていますと、どうしても取手のネジ締めが緩んでしまいます。
定期的に確認して、1年に1回でもドライバーで締め直していますと、メネジが抜けてしまうことは少ないです。
木製取手ですと、なおさらこの確認作業が大切だと想います。木製取手だと、締めすぎは禁物ですが・・・。
この木製取手の場合、木製取手がある程度の大きさがあるのに対し、メネジの長さが短すぎるのも外れてしまった原因です。
修理作業中/メネジの取り替え+取り付け作業
S様は、香川県から事前にお電話をいただいてのご来店でしたので、早急に作業を進めました。
TOKI家具館メンテナンスでは、家具を作ったり・修理したりする最低限の部品在庫を心がけています。
そのため、S様の木製取手に合う長くて丈夫なメネジの在庫もありました。
右側に置いている長めのメネジが今回用意したメネジです。左に置いてある今までのものとは、サイズがかなり違うのがわかると思います。
長めのメネジを取り付けするため、ネジ穴を電動ドリルで深堀りして、2液性の接着剤を少し入れて、ネジ込んでいきました。
私は、コニシボンドさんの2液性の接着剤を使っています。
木と金属を接着するためには、2液性の接着剤が有効なんです。
こんな工程を経て、無事に木製取手に長くて丈夫なメネジを取り付けることができました。
修理作業後/木製取手が丈夫に取り付けできました。
ここまでの作業時間は、約30分くらいです。
香川県からお電話をいただいてのご来店でしたので、「より正確に!」+「より早く!」の作業を心がけました。
下の写真が、木製取手の取り付けができた引き出しです。
S様、ご依頼いただきありがとうございました。土岐泰弘
宇和島高等技術専門校へ通っていた時、先生によく言われたこと!
私の家業は家具店です。
そのため、小学生くらいのころから、親父の仕事の手伝いをさされていました。
当時は、高度経済成長の時代のため、家具がよく売れたとのことで、子どもも手伝うのが当たり前の時代でした。
(当時、子どもの私は、とってもイヤでしたが・・・。)
でも、家具の作り方だけは、知らず知らずのうちに覚えることができたんですね・・・。
その後、神奈川大学を卒業後、静岡県浜松市で3年間の修行を経たのち、約20年もの間、親父の下で家具屋をしていましたが、40歳を越したある日・・・
「基本から家具づくりを学びたい!」という想いが沸いたんです。
当時の私は、結婚もして子どもも3人もいましたので、一番近い愛媛県立宇和島高等技術専門校・木工クラフト科の門を叩きました。
この宇和島時代、先生に言い続けられた言葉が・・・
「もっと作業スピードを考えろ!」でした。
愛媛県立宇和島高等技術専門校・木工クラフト科は、職業訓練校ですので、当然のように実技テストがたくさんありました。
テストですので、制限時間があります。
それまでの私の考え方は、「神は細部に宿る」的な考え方で、あまり時間を気にせずに、仕上がった家具の出来栄えだけを考えていたのです。
でも、この時以降・・・基本的な考え方は、そうは変わらないものの、少しずつ作業スピードを気にかけるようになれたんです。
長い時間をかけての作業は、お客様の大切な時間を横取りしてしまうことにもなりますから・・・。
今日の作業をしていて、愛媛県立宇和島高等技術専門校・木工クラフト科時代のことを思い出したんです。
M先生、お世話になりました。ありがとうございました。土岐泰弘