「一番多い家具修理は、ダイニングチェアの張り替えとぐらつき修理です!」
「来年、息子が小学校に上がるので、学習机を見て回ったんですが・・・。」
「お母さんが使っていた40年前の学習机を、ぼくも使いたい!」と言うんです。
「でも、引き出しの前板が外れかかっているのがあるんです。」
と、四国中央市・M様よりお問い合わせをいただきました。
修理作業前/前板が外れかかっている引き出しです。
この引き出しを直し、学習机全体の調整作業をして、新たな命を吹き込むことによって、
① お客様に喜ばれる!
② 学習机は末永く働けて喜ぶ!
③ 私もうれしい!
④ ゴミの減量にもつながる!
家具修理やリノベーション家具製作の仕事は、“三方よし” の仕事だと想います。
この引き出しを見ると、底板を止めているタッカー釘で、前板がかろうじて付いている感じです。
修理作業中①/引き出しの分解作業
まず初めに、玄翁と当て板を使い、前板を慎重に分解していきます。
分解後、接合部に残っている古い接着剤などはできる限り取り除きました。これは、古い接着剤が表面に付いていますと、新しい接着剤の効きが悪くなるためです。
修理作業中②/端金を使った圧着作業
長さ500mmのヤマザキ製端金を4本使い、引き出し本体と前板を圧着していきました。この作業は、引き出しに傷が付かないように、当て板を挟み込むのがコツです。
十分に接着剤を入れているため、圧着作業をしますと、余分な接着剤がはみ出てきます。
これは、濡れたウエスで拭き取りきれいにします。
約12時間の乾燥時間の末、前板と底板を、タッカー釘を打ち込み、固定していきました。
タッカー釘は、強度を上げるために、当初よりも多めに打ち込みました。
修理作業後①/引き出しの前板がきれいに取り付けできました。
前板の取り付けのほか、各引き出しのナンバー打ちやスベリロー引き作業などを経て、修理作業が完了しました。
修理作業後②/子ども部屋にお届けしました。
この学習机をお届けして、お子様やお母様は大喜びです。
メンテナンスが行き届いた40年前の学習机(40年も前の家具は、必ず日本製でした)を使うということは、お母様の思い出に、お子様の思い出を重ねていくということです。
こんなことを考えますと、私も感無量です。
K様、ご依頼いただきありがとうございました。
21世紀は、メンテナンスの時代
SDGs(持続可能な開発目標)という言葉を、よく見聞きするようになりました。
20世紀は、大量生産 → 大量消費 → 大量廃棄に時代でした。
お客様からも「家具って使い捨てじゃないの・・・」という言葉もまだまだ聞きます。
でも、これを続けていくと、SDGs(持続可能な開発目標)になりません。
コロナ渦の現在、永く使える家具を必要なだけ作り、絶えずメンテナンスを繰り返してさらに永く使う。
超高齢社会(65歳以上の人口が21%以上)の現在、
歳を重ねて使いにくくなった家具は、リノベーション(仕様変更)してより便利に使う。
または、再資源化(無垢材ヶ所を、もう一度材料に戻す作業)して、必要な家具に作り変えることへも、TOKI家具館メンテナンスはチャレンジしています。
最後までお読みいただきありがとうございました。土岐泰弘