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コラム

父親や専業主婦でも得られる、離婚における親権の獲得について

2016年5月7日

テーマ:離婚問題の一般知識と知っておくべき知識

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 親権 離婚

離婚に伴って子どもの親権者を決める際には、子どもの利益を最大限に考慮しなければいけません。
父親・専業主婦は親権獲得に向けては不利と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、両親の状況や子どもの意思によっては有利に働く場合もあります。
実際の事例を元に、それぞれの親権獲得の条件を見ていきましょう。

子どもの養育におけるさまざまな条件を考慮し、親権者が決まる

子どものいる夫婦が離婚する事態となったとき、父母のどちらが子どもの親権を持つのかが重要な問題となります。

親権とは、子どもが成人するまで健全に養育するという、親が持つ子どもに対する権利と義務の総称です。法律的には子どもを監督・保護・教育するという身上監護権と、子どもの財産管理および法律行為に対する同意権を持つ財産管理権に分類されます。

父母のいずれを親権者とするのかは、離婚時に夫婦間で決めておく必要があります。親権者の記載がなければ、離婚届は受理されません。夫婦間の協議で決まらなければ調停、さらには裁判所での審判もしくは裁判で決まることとなります。裁判などでの判断には、子どもへの愛情・監護能力、経済力、健康状態、生活環境といったさまざまな要件が総合的に考慮されることになります。

圧倒的に不利とされる父親が、親権者となるための条件

一般的な事例では、母親が親権者として認められることが多く(8割以上)、父親は不利であるとされます。

しかし、既に夫婦が別居状態であって、子どもが父親と生活している状態であれば、父親が親権者として認められる可能性が高くなります。また、子どもが概ね10歳を超えていれば「どちらの親と住みたいか」という子どもの意見が加味される傾向にありますし、15歳以上であれば裁判所は子ども自身の意思を確認しなければなりません。

さらに、子どもの現状を維持するという原則があるため、生活環境が大きく変わる場合には、その点が考慮されて父親有利に働くこともあります。

このほか、母親側に人格上の問題(虐待や極端な浪費など)や健康上の重大な問題があるなど、子どもの健全な成育に支障を来すと判断される場合は、父親の親権が認められる公算が高くなります。

専業主婦でも親権獲得には不利はないが、生活面の課題解決が不可欠

経済力が弱いとされる専業主婦ですが、親権獲得においてはそのこと自体が不利に働くことはありません。特に子どもが幼児期にあれば、調停や裁判においても母親有利である傾向は顕著になります。

しかし実際上の問題においては、収入や住む場所(実家で生活できるか、もしくは新たな物件が借りられるか)など、離婚後の生活面での課題が大きくなります。専業主婦が親権を獲得する場合には、あらかじめ勤め先を確保し、養育費や各種の公的な助成金(生活保護、児童手当、児童扶養手当など)を活用する必要があると言えます。

なお親権者の変更は、子どもの養育に不適切な状態(虐待や育児放棄など)にある場合、一方が家庭裁判所に申し立てることで可能となります。
ただし、親権者の変更は戸籍の変更を伴うこともあり、非常に難しいとされます。親権者選びは、大人の事情だけでなく、将来にわたる子どもの利益を考えて慎重に行う必要があるのです。

この記事を書いたプロ

吉田要介

依頼者の正当な利益を守るためにあらゆる可能性を追求する町弁

吉田要介(ときわ綜合法律事務所)

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