相続税の申告や相続放棄など、それぞれの相続手続きにおける期限について
一口に遺産の相続といっても、どのタイミングで何を行うべきなのでしょうか。
ここでは、各種の手続きそれぞれの期限を時系列で紹介しますので、相続全体の大まかな流れを把握しておきましょう。
相続の開始とは、「相続のあったことを知った日」であり全てのスタート
被相続人(相続される人)が死亡したその段階から、財産の相続に関する手続きは始まります。それらの手続きには一定の期限が区切られており、期限内に行わないと相続人が不利益を被ることもあります。
相続人が被相続人の死亡を知ったとき、これが「相続のあったことを知った日」という「相続の開始」であり、相続に関する期限のスタートとなります。まずは、そこから7日以内に死亡届を提出しなければいけません。
遺言書の有無を確認し、相続の開始から3カ月以内に相続人を確定させます。相続放棄や限定承認を行う場合は、ここまでに決定しなければいけません。相続の一切を行わないという相続放棄は、相続人のうちの誰か一人でも単独で判断することができます。
しかし負債を弁済した上でもプラスがあった場合にのみ相続するという限定承認は、3カ月以内に相続人全員の申述が必要となります。
相続に関する税金の手続きは、それぞれの期限内に行うことが不可欠
亡くなった被相続人が確定申告を行う必要があった場合(個人事業主、不動産や株式などで一時所得があった、給与所得があったが退職しており年末調整を行っていない、など)に、故人に代わって相続人が行う所得税の申告を「準確定申告」と呼びます。
通常の確定申告は、所得のあった翌年の2/16~3/15の期間内に行いますが、準確定申告は1月1日から死亡した日までの所得に対して、相続人が相続の開始を知った翌日から4カ月以内に行う必要があります。
遺産に対して相続税がかかる場合には、相続の開始から10カ月以内に、相続人全員が相続税の申告および納付を行わなければいけません。相続税額を決めるため、遅くともこの期限内に遺産分割協議・協議書を作成して遺産分割を確定する必要があります。
1年もしくは3年の範囲内で守られる、法定相続人の権利とは
被相続人の配偶者は、一定の金額までは相続税が軽減される特例があります。これを受けるためには、前述の相続税申告に際して、遺産分割がまとまっていることが前提となります。
しかし、10カ月の期限までに遺産分割がまとまらない場合、未分割のまま相続したとして期限内に暫定的な申告をしなければなりません。後日、相続税額が確定すれば軽減措置を受け、納付した相続税が還付されますが、この期限が相続開始から3年と決められています。
被相続人の遺言書により、法定相続人が遺留分(相続人に保証されている相続額)未満しか受け取れていなかった場合、遺留分を侵害している相手方にその不足分を請求することができます。これを「遺留分減殺請求」と呼び、法定相続人は相続の開始から1年以内に行う必要があります。