コラム
相続税の申告や相続放棄など、それぞれの相続手続きにおける期限について
2016年4月8日
相続の開始とは、相続を知ったときであり、そこがさまざまな手続きの起点となります。
それ以降は、一定の期限内に手続きを済ませないと、相続人が不利益を被ってしまうこともあります。
それぞれの期限を知り、特に重要な「熟慮期間」についての詳細をご紹介します。
相続を知った日から3カ月以内に手続きを済ませないと、単純承認に
相続に関するさまざまな手続きの起点となるのは、相続される人が死亡して、相続が発生することを知ったとき(=相続の開始)であり、相続人側が手続き行わなければいけない諸々の期限は、その翌日から起算がはじまります。
この期限内に手続きを行わないと、相続が認められない、もしくは相続の放棄などの方策をとることができなくなったり、何らかの不利益を被る可能性があります。
相続人は、まず被相続人の死亡から7日以内に死亡届を提出します。この死亡届を以て、相続が始まることを公にしたと考えても良いでしょう。
相続の開始から3カ月以内に相続人を確定させ、相続の方法を決定しなければいけません。この3カ月の期間を熟慮期間と呼びます。熟慮期間中に何も手続きをしなければ、すべての相続を単純に承認したものと見なされます。
家庭裁判所への申し出で、熟慮期間は延長できることも
被相続人が多額の負債などを遺していた場合、単純承認ではこれも相続人が引き継がなければいけません。このため、相続人は相続を単純承認する以外に、すべての相続を放棄するという選択をすることもできます。
このほか、被相続人の遺した負債を弁済した上でなお財産があれば、それを相続するという、限定承認という方法をとることもできます。いずれの決定も、上記の3カ月という熟慮期間中に行わなければいけません。
なお、相続財産の状況把握に時間がかかってしまった場合など、熟慮期間中に家庭裁判所へ申し出ることで、期限をさらに3カ月延長することができます。
また、何らかの事情で相続をすること(被相続人の死亡の事実や、自分に相続権があることなど)を知ったのが遅れた場合であれば、期限の開始は「相続を知ったとき」ですから、そこから熟慮期間が始まるということになります。
相続税の申告と準確定申告は、それぞれの期限内に行わなければいけない
相続に関する期限で、もう一つ注意しなければいけないのは、相続税の申告・納付の期限です。
遺産の金額によっては、相続税を納める必要があります。その申告および納付は、相続の開始から10カ月以内に、相続人全員が行わなければいけません。
相続税納付の基準となる相続税額は、相続人全員の遺産分割の確定が必要となります。このため、上記10カ月以内には遺産分割協議・協議書を作成し、全員の相続税額を明確にしなければいけません。
また、被相続人に確定申告の義務が生じていた場合、相続人が被相続人の代理として所得税の申告=「準確定申告」を行わなければいけません。
故人が個人事業主、一時所得があった場合などの所得に対する準確定申告は、1月1日から死亡した日までの所得を基準として計算します。その申告期限は、相続人が相続の開始を知った翌日から4カ月以内と規定されています。
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