【刑事弁護】暴行・傷害事件の弁護活動について

吉田要介

吉田要介

テーマ:暴行・傷害

ときわ綜合法律事務所の弁護士の吉田です。

今回から,解決事例を前提に,各事件の弁護活動について書きたいと思います。

第1回目は,【刑事】暴行・傷害事件についてです。

暴行・傷害事件で,事実関係に間違いがない場合

暴行・傷害事件で,事実関係に間違いがない場合,
一番のポイントは,被害者との示談です。

傷害結果が重傷でない限り,被害者との示談が成立したり,被害者から嘆願書を取得できれば,処分保留で釈放される可能性が高いです。
特に,暴行事件では,示談が成立すれば,釈放される可能性はより高くなります。

そのため,暴行・傷害事件について,罪を認めていて,示談に必要な金銭が用意できる場合は,
被害者との示談が弁護活動の中心になります。

ただ,検察官によっては,示談成立後も勾留満期まで釈放をしてくれない場合もありますので
その場合は、勾留決定に対する準抗告や勾留取消請求の申立てを行うことにより,
検察官に圧力をかけたり,裁判官の判断を仰ぐとことで,早期の釈放を求めることになります。

解決事例は,示談成立や嘆願書取得した上で,勾留決定に対する準抗告や勾留取消請求の申立てを行ったことで
検察官により,勾留満期前に釈放されたことを示す一例です。

罰金や悪くても執行猶予が見込める場合

また,暴行や傷害で傷害結果が軽微で,罰金や悪くても執行猶予が見込める場合については
罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれは少ないと思いますので
示談と平行して,勾留決定に対する準抗告や勾留取消請求を行います。
その際には,罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがないことを
裁判官に理解してもらう必要がありますので
罪証隠滅や逃亡を行わない旨の本人の誓約書や
それらの行為を本人に行わせない家族の身元引受書など
できる限りの証拠を収集することになります。

勾留決定に対する準抗告と勾留取消請求の違い

ちなみに,勾留決定に対する準抗告は,勾留決定がされた時点での勾留の要件を問題にするのに対し
勾留取消請求の申立ては,申立て時の勾留の要件を問題にします。
したがって,勾留決定後の事情について(示談の成立など)は,
原則として,勾留決定に対する準抗告では考慮されません。
もっとも,勾留決定に対する準抗告は,一度しかできないのに対し
勾留取消請求の申立ては,何度でも可能です(事情が変わらなければ,同じ結果になるとは思いますが)。
また,勾留取消請求の申立てがあった場合,
裁判官は,検察官に対して意見を求め,その意見を踏まえて判断することになります。
そのため,裁判官から意見を求められて検察官が
裁判官に勾留取消請求を認められることを防ぐために
意見を返さずに,被疑者を釈放することがあります。

解決事例は,勾留取消請求の申立てに対して
裁判官から意見を求められた検察官が
裁判官に勾留取消請求を認められることを防ぐために
意見を返さずに,被疑者を釈放された一例です。

私選弁護の依頼時の注意点

上記の活動は,国選弁護人でも当然行うべき活動だと思います。
傷害罪で資力基準を満たしている場合は,希望すれば国選弁護人が選任されますので
私選弁護を頼む場合は,国選弁護人に上記のような弁護活動を行うか,
行わないとすればどのような理由があるのか,確認してから
私選弁護を頼んでもいいかもしれません。
もっとも,勾留前だったり,勾留後国選弁護人選任後連絡がない場合などは
私選弁護を検討べきかもしれません。

他方で,暴行罪については,被疑者国選の対象外ですので
上記の活動は,私選弁護を頼む必要があります。

もっとも,資力によっては,
被疑者援助制度が使用できる場合がありますので
併せて検討すべきだと思います。

ご不明点等あれば,お気軽にお問い合わせ下さい。


【刑事弁護】【刑事】強制わいせつ・迷惑防止条例(痴漢)違反事件の弁護活動について
【刑事弁護】窃盗事件の弁護活動についての弁護活動についてもご覧下さい。



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