もし勾留されたら・・・
ときわ綜合法律事務所の弁護士の吉田です。
本日の午後,パソコンの遠隔操作事件の被疑者について
勾留理由開示公判が開かれるようです。
そこで,この勾留理由開示手続について
説明したいと思います。
簡単にいうと,
勾留理由開示手続は
被疑者が自身が勾留されている理由について
公開の法廷で,明らかにしてもらう手続です。
この勾留理由開示手続は,
憲法34条後段(「又、何人も、正当な理由がなければ拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない」)に由来する
重要な権利に基づくものです。
もっとも,実務上
勾留理由開示手続はほとんど使われていません。
古いデータですが
平成21年の司法統計によると全国で532件しか
実施されていません。
ほとんどの弁護士は勾留理由開示手続をしたことがないというのが実情だと思います。
なぜ行われないのかというと
実効性がないと考えられているからです。
実際,勾留理由開示手続では
裁判官から,最低限の勾留の理由が読み上げられるだけです。
事前に,求釈明といって
具体的な理由についての説明を求める書面を提出しても
裁判官によって異なりますが
多くは,ほとんど答えてくれません。
もっとも,本来の目的とは,若干異なりますが
勾留理由開示手続には,メリットもあります。
①被疑者への励まし
勾留理由開示手続は公開の法廷で行われるので
家族や支援者などがその手続を傍聴することができます。
会話をすることはできませんが
被疑者は家族や支援者の顔を見ることができ
それにより元気づけられることがあります。
特に接見禁止がついていると弁護人以外とは会うことができないので
より重要です。
②検察官への圧力(被疑者の取調べからの解放)
勾留理由開示手続は,公開の法廷,すなわち裁判所で行われるので
被疑者を勾留している警察署から裁判所に押送しなければいけません。
また,事件の記録を裁判所に送らなければ行けません。
これにより,通常,1日,捜査機関が被疑者の取調べをすることができなくなります。
被疑者からすると,1日,取調べから解放されることになります。
勾留満期の前日に,検察官は上司に被疑者の処分について
決裁をとるのですが,
勾留理由開示手続をその日にぶつけて
処分保留に持ち込むことができた弁護人もいるそうです。
③早期の釈放につながる可能性がある
裁判官によっては,きちんと勾留の理由を説明してくれることがあり
その理由に対する対策をたてることで
勾留取消請求などの別の法的手段の認容の可能性が高まります。
また,勾留理由開示手続を行うことが負担なのか
勾留理由開示手続の前日や,当日の朝に
釈放されることがあります。
検察官は,通常満期日の夕方まで被疑者を釈放しないことが多いので
半日でも早く釈放されることは大きなメリットだと思います。
④被疑者の言い分をきちんと書面に残せる
勾留理由開示公判での被疑者の言い分は,裁面調書という極めて証拠能力の高い書面に残されます。
他方でデメリットとしては
公開の法廷で開かれるので
有名な事件だと
傍聴者が殺到して
多くの無関係な人にも
自分の姿をさらすことになることでしょうか。
私は,上記内容を被疑者に説明した上で
被疑者が了承すれば,
勾留理由開示手続を積極的に行うようにしています。
デメリットを被疑者が了承している以上,
メリットの方が大きいからです。
昨年,私は勾留理由開示手続の申立てを8件行い,そのうち4件が実施されました。
実施されなかった4件のうち3件は,
満期当日の朝等,若干早く釈放されたケースです。
勾留理由開示の成果なのかは不明ですが
少しでも早く釈放されたことは良いことだと思っています。
勾留理由開示手続が負担になる裁判官もいるせいか
埼玉の弁護士会では,会を上げて勾留理由開示手続に取り組んだ結果
裁判官が勾留について,より慎重になったという成果も上げています。
もっと多くの弁護士が勾留理由開示手続を行うようになって
安易な勾留が少なくなればいいと思います。
私の所属する
ときわ綜合法律事務所は
松戸での実績が19年間と長く、在籍している弁護士の数も東葛地域最大の
綜合法律事務所です。
※東葛地域(松戸市,柏市,流山市,我孫子市,鎌ケ谷市,野田市)
弁護士10名、事務局8名が所属しており、
弁護士の年齢層も30~60代で、女性弁護士も在籍しています。
さまざまなご相談にワンストップで対応でき、対応スピードが速いのも特徴です。
秘密厳守,迅速対応,実績多数。
初回相談無料。当日相談,日曜相談枠あり。
松戸駅徒歩1分のアクセス。
詳細は,事務所のホームページないし私のホームページをご覧下さい。
相談日の1日前から約2週間前までの一部の時間帯について
WEB予約受付中。
WEB予約で予約不可になっている時間帯でも
お電話等でお問い合せ頂ければ
相談可能な場合もございますので
WEB予約でご希望の日時が埋まっている場合は
お電話等でお問い合わせ下さい。
******************************************************************
〒271-0091
千葉県松戸市本町18−4 NBF松戸ビル5階
ときわ綜合法律事務所
弁護士 吉 田 要 介
電話:047-367-5544 FAX:047-367-5592
*****************************************************************