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【知財】新規性を調べるには 特許分類

2024年2月11日

テーマ:知的財産

コラムカテゴリ:法律関連

新規性を調べるには

特許出願をする際に必ず悩む点の1つに「この出願はちゃんと特許になるか?」という疑問点です。
この疑問を解消するには既に公開されている公開特許文献に同一のものがない(=新規性がある)かを調べることが第一歩になります。

(出願の段取りは下記ページで解説しています。)
https://mbp-japan.com/chiba/tsuboi/column/5091867/
https://mbp-japan.com/chiba/tsuboi/column/5089067/
(新規性・進歩性は下記ページで解説しています。)
https://mbp-japan.com/chiba/tsuboi/column/5087445/

先行文献を調べるには

公知技術・先行文献を調べるには下記のようなツールで調べることができます。「特許文献」と呼ばれる資料の検索エンジン・無料で使用できます。
 特許情報プラットフォーム
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
 GooglePatents
 https://patents.google.com/

一般的な検索エンジンと同様に、キーワードで調べることも可能です。
このような検索方法も有効ですが、特許書面(特に請求項)では、一般的な用語ではない言葉を使っている場合が多いです。
例えば、「鉄」「銀」等を「鉄」「銀」でなく上位概念化して「金属」等と表現している場合等があります。
同じものを指す言葉が複数種類ある場合もあります。
特許書面は、できるだけ一般的・公式な言葉である学術用語を使うことが推奨されています(特施規様式29[備考]7)。
ただし、特許は新しい技術を扱う場合も多く、言葉が決まっていない場合等もあるため、独自の表現がされる場合も多くあります。

このように、まだ言葉が確定していない・様々な表現をされる技術を検索する上で役に立つのが「特許分類」というものです。

特許分類

特許分類は、例えば、以下のようなものが代表的なものです。
特許分類

特許分類の使い方 具体例

AIの技術を例にすると、IPCではAIは下記のように分類されています。
 G06N20/00 機械学習[2019.01]
AIを広く見た場合、AIコアとなる発明は、この分類がされます。
国際分類例
一方で、例えば、画像認識等の画像に特化したAIは、例えば、下記に分類、又は、両方に分類されています(分類は複数設定される場合が多いです)。
 G06V10/00 イメージまたはビデオの認識または理解のための装置(イメージまたはビデオにおける文字認識G06V30/10)

「画像処理」ぐらいの広い技術分野であれば「G06V10/00」で十分絞れていますが、これではまだ広い・調査範囲が広い場合には、例えば、照明に絞るとすると下記のように詳細化します。
国際分類 詳細化
以上のように分類を使用すると、言葉等で指定するのでなく、「技術分野」や「課題」等で調査を行うことができます。

特許分類の特定方法

例えば、IPCは特許・実用新案分類照会(PMGS)/特許情報プラットフォームでキーワードから検索できます。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p1101

詳しくは特許庁ホームページで特許分類の解説がされています。
https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/developing/training/textbook/document/index/Knowledge_of_Patent_Classifications_2013_jp.pdf

また、特許公報の冒頭部分にも特許分類は明記されています。
類似する技術の文献をまず1つ見つけて、それに付与されている特許分類を参考に探すというやり方も先行文献のやり方の1つです。
調査会社等に調査を依頼する場合でも通常は分類でしてもらうことができます(調査会社によります)。

以上のように、特許文献を探す場合には通常の検索とは異なり、特許分類を上手く使うと簡易に・素早く調査できます。

なお、上記の例は、説明のため簡略化しております。そのため、もちろん例外があります。詳しくは一度弁理士等へ相談するのを強くお薦めします。
上記の内容で不明な点がございましたら、お手数ですがメール等でお問い合わせ下さい。
以上、ご参考まで。

この記事を書いたプロ

坪井央樹

弁理士・中小企業診断士の資格を持つ知財関連の専門家

坪井央樹(武和国際特許事務所)

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