【知財】【全国共通】特許料等の減免制度(補助金解説シリーズ第7回)
今回は発明者に支払われる金銭について解説します(金銭以外の場合もありますが、説明上、金銭の例とします)。
発明をすると収入が入る場合
まず日本の特許法では、「発明」は自然人しかできないとしています。
言い方を変えると会社等の法人が発明者にはなれません。
研究等により発明が完成した瞬間は研究者・エンジニアしか特許権者になる権利を持てません。この権利を「特許を受ける権利」と言います。
この「特許を受ける権利」は譲渡が可能です。
そのため、多くの発明は従業員が発明者となり、所属する会社へ「特許を受ける権利」を譲渡し、会社が出願人(権利化後は特許権者になります。)となって特許出願をするという体制を取ることが多いです。
多くの場合は下記のような体制で特許出願がされます。
権利化後、特許権に対し収入があると収入はまず特許権者に入ります。
この収入に対し、発明者に貢献度、及び、発明の寄与率を勘案した発明対価が会社から支払われます。
なお、発明対価をどのように計算するかは各会社で異なります。多くの場合、「職務発明規則」や「勤務規則」等(名称は法令等で統一されていませんので会社によって違います。)の規約・契約で定まっており、法令で決まった比率等はありません。
意匠・実用新案も同様の体制です。ただし、著作権だけは法人著作が認められているため、同様の体制ではありません。
多くの会社では、出願時等に一括して発明対価を受け取り、その後はもらわないとするか、又は、特許発明の製品売上に応じて発明対価を受け取るかを選ぶ制度であることが多いです。
これは発明者が自身で特許権者(発明者=特許権者も可能です。)になり、他の会社へ売り込むような場合でも同様です。ただし、「職務発明」はまず自社へ譲渡するようにとルールを定めている会社がほとんどです。
そのため、自社製品に関連する発明は、まず自社の知財部門・法務部門に相談するのがマナーになります。
相談の結果、会社には関係なしと認められた、又は、個人の発明家等であるならば特許出願は問題ないでしょう。
知財とFIRE
Financial Independence, Retire Early(以下「FIRE」といいます。)を目指す人で固定・定期収入の確保を狙っている場合があります。
上記の発明対価を受け取る方式のうち、「特許発明の製品売上に応じて」の方を選ぶと、理論上、特許発明の製品が販売されている限り、収入が入ってきます。作家の印税と同じ構成になります。
特許権は出願から最大20年(薬品等は「25年」の場合もあります。)存続します。そのため、長期的に固定収入が期待できる手段ではあります。
不動産や株式と比較すると、「元本割れ」のリスクがないのがメリットです。特に、会社が特許権者である体制下では、費用負担は会社ですので財務的な負担が発明者にはないリスクの低さが魅力でしょう。
また、一人一つのようなルールもありませんので、沢山出しておくことも可能です。
ただし、権利があっても製品販売中止等となれば収入はなくなります。また、権利を何年存続させるかは特許権者が決めます(特許料の納付額次第です)。
いつまでもらえるか/いくらもらえるかは技術内容次第ということになります。長く実施されるような基礎的な発明ほど長期に渡って収入が入ってくるのが期待できます。
アイディアを出して権利化し、自社を含む企業に売り込むと固定収入が確保できるかもしれません。
上記の内容で不明な点がございましたら、お手数ですがメール等でお問い合わせ下さい。
以上、ご参考まで。