【知財】【補助金】【東京都世田谷区】シリーズ(第27回)知的財産権取得支援補助金
特許権を取得した場合には「凄い」製品であることをアピールする材料に使いたいものです。
このようなアピールをする上でもルールが存在します。今回は法律上のルールを解説します。
特許表示とは?
まず特許法上、「特許に係る物」等には特許表示を記載する努力義務があります。
これは訓示規定であり、必ず記載しなければならないものではありません。
特許法第187条 特許表示
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000121#Mp-At_187
工業所有権法(産業財産権法)逐条解説第21版 特許法 P.663 https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/kaisetu/kogyoshoyu/document/chikujokaisetsu21/tokkyo.pdf
特許表示は、「特許」の文字、及び、特許番号をいうと定まっています。
特許法施行規則 第68条 特許表示
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335M50000400010
「特許」という文字を使うと「特許表示」に該当する可能性があるため、「特許出願中」や「特許取得」のようなものも特許表示になり得ます。
「特許第〇〇〇号」という番号を表示するものも該当します。
また、「PAT」というのは、「特許」の英語にあたる「Patent」の略称のため、「特許登録済」と同義に用いられます。
なお、下図のような「R」マークを付す場合があります。「R」マークは、「Registered Trademark」の意味で和訳で「登録商標」です。
「商標」ですので「特許」を対象とするものではありません。そのため、「R」マークは一般的に特許発明品には付しません。
表示上の注意点
表示する上で最も注意すべき点は、「虚偽表示の禁止」の法令です。
特許発明品等でないものに、特許表示(紛らわしい表示を含みます。)を表示することが禁じられています。
この虚偽表示の禁止には刑事罰があります。
特許法第188条 虚偽表示の禁止
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000121#Mp-At_188
特許法第198条 虚偽表示の罪
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000121#Mp-At_198
注意点1:請求項が示す技術的範囲に属しているか?
特許権は、審査の過程等で範囲を減縮している場合があります。そのため、出願した時点の希望通りに権利が取れていない場合があります。
特に設計変更、バージョンアップ、又は、改良を重ねていくと徐々に違うものになっていきます。
そのため、対象となる製品等が権利化されている内容に該当するかはよく確認する必要があります。
なお、技術的範囲に属するか否かは弁理士による「鑑定」、又は、特許庁の「判定制度」等で確認できます。
特許法第71条 特許発明の技術的範囲
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000121#Mp-At_71
注意点2:外国の特許とは別
特許権は国ごとに違う権利です。そのため、他の国で権利化できても日本では権利にできていない等のケースもあります。
逆に、日本で権利を取得していても外国の権利を取得していない場合もあります。また、権利化できても全く同じ権利内容ではないこともあります。
したがって、輸出・輸入や海外へアピールするような場合には対象とする国の権利があるか/どのような権利内容かは確認が必要です。
注意点3:権利の存続
特許権は原則20年で満了します。満了後は「特許発明」と言えなくなりますのでいつまで権利が存続しているかは管理が必要です。
また、特許権は特許料を納付しない場合も権利が存続しなくなります。登録時に最低限3年分は納付しますが、逆を言えば最短で3年後には権利が無くなります。
権利が存続しているか、特許料を納付する手続きをしているか等の事務的な管理が必要です。
注意点4:「出願中」か「登録済み」か
特許は出願しただけでは特許権にはなっていません。
したがって「出願中」であっても、まだ審査が完了して「特許権が付与された」特許発明品でなければ厳密には「特許取得」ではありません。
特許は、簡単には出願→審査→特許査定→登録手続という過程が完了しないと付与されません。
ちなみに登録まで完了すると、特許番号(特許第〇〇〇号)という番号がつきます。この番号があるということは「特許権がある」ものと言えます。
一方で「特願2021-〇〇〇」は特許出願番号であって、特許権が付与されているか否かは、この番号を見ただけでは分かりません。
なお、外国・他の法域(意匠法/商標法等)でも同じような法令があります。
上記の内容で不明な点がございましたら、お手数ですがメール等でお問い合わせ下さい。
以上、ご参考まで。