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鑑定士になってからの「よもやま話」集

小川哲也

小川哲也

テーマ:不動産よもやま話

以前、不動産業者時代のよもやま話を書いたことがございました。

今回は、不動産鑑定士になってからの出来事を書いてみたいと思います。


よもやま話1

鑑定となると、業者時代と違ってびっくりするような出来事は激減します。
やっぱり業者さんは、人と人との商売ですから、色々と驚くことが起きますね。

驚くことが少なくなった鑑定の世界ですが、その中でも鑑定で驚いた事は、まず、評価額が想像もつかないくらい高くなる場合があること。

私の場合、1,700億円が最高額だったと思います。

一等地のオフィスビルですが、リーマンショック後でこの価格でしたから、
リーマン前でしたら、もっと高かったでしょうね。

不謹慎ですが、こうなると1億円程度は誤差の範囲になってしまいます。
四捨五入される程度の金額です。

もうこうなってしまいますと、感覚がおかしくなってしまいますね。
ただ、鑑定となるとこういう評価額を出すこともそんなに珍しいことではありません。


よもやま話2

あるレジャー施設の評価(それも関連会社間で賃貸借契約を巻くために、新規賃料の依頼)を行いました。

敷地の大きさは忘れてしまいましたが、構築物等も多く、これも含めて賃貸借の対象となることから、それはもう大変な現地調査でした。

私一人ではできないので、現地社員の方、協力鑑定士の方2名、そして私の4名で車に乗って施設内をまわりました。

途中、小さなダムみたいな施設があり、そこに行くためには山の中の下り坂を歩く必要があり、しかも舗装もしていません。

協力鑑定会社の社長が下りていくと、「あ~~~っ」という叫び声が。。。。

足を滑らせて10mくらい滑落してしまいました。スーツは泥だらけ。。

それを見ていたその会社の社員鑑定士の方は、普段、威厳のある社長のあまりに無残な姿を見て、ショックを隠しきれず、以降、ほとんど口をきかなくなってしまいました。

実際、この現地調査は、3日間、朝から夕方までやって、やっと終わりました。

多分、今ではもう出来ないかもしれませんw


よもやま話3

これは恥ずべき話題なのですが、長年不動産鑑定士をやっていると、たまに間違いを犯すこともございます。
もちろん、絶対に間違ってはいけないのですが、大きな仕事となると一つの評価を複数人で分業して行うことがございます。この分業に落とし穴があることが結構多いように思います。

某J-REITの有名なビルを評価した際、この間違いが発覚してしまいました。

簡単に言えば、収益価格の収入計算で、一部の収入がエクセルの式の間違いで
足されていなかったことが発覚してしまいました。

もちろん評価額に影響が出ますし、既に、この評価額は投資法人のホームページで公表もされています。

まだ、公表前ならよかった(よくはないですが)のですが、公表後ですから最悪でした。
結局、その投資法人に訂正のプレスリリースを出して頂くことになってしまい。
私も当時勤務していた鑑定会社に、責任を取って進退伺を提出しました。

結果的には辞めずに済んだのですが、私のチェックミスによって、大きく会社に迷惑をかけて、胃に穴が開くかと思うような体験でした。

自己弁護になりますが、この事件以降、かなりチェックには厳しくなり、鑑定評価額で間違いを犯すことは無くなりました。


よもやま話4

鑑定士も体力が必要?ってことで、現地調査で色々なことが起こります。

賃貸マンション一棟の評価を行う場合、屋上も写真を撮ります。

しかし、賃貸マンションですと、最上階の共用廊下からハシゴを立てて、廊下の天井の進入扉を開けて登ることがございます。
ある外資系ファンドが取得する賃貸マンションの現地調査の際、案内役の担当者が慣れておらず、ハシゴの用意がありませんでした。

このままだと屋上に登ることができません。

しょうがないので、私の肩に部下を乗せ、いわゆる肩車をして、部下によじ登ってもらい屋上の調査と写真を撮ってもらいました。

先日、当時の部下に会ったのですが、現在体重が85kgとのことで、当時もこんなにあったら肩車は出来なかったでしょうね。


普段は粛々と仕事を進めることが多い鑑定士ですが、たまにはこんなこともございます。
また、何かハプニングがありましたらこちらで報告させて頂きます。

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小川哲也
専門家

小川哲也(不動産鑑定士)

おがわアセットカウンセル株式会社

不動産コンサルティング会社、デベロッパーでの実務が豊富な不動産鑑定士。相続における借地権・底地の問題に強い。また、証券化案件の豊富な実績から、実態に即した価格や計画の提示で、投資判断をサポート。

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