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小川哲也プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

趣味的住宅がほしい場合の注意点

小川哲也

小川哲也

テーマ:住宅

本来、不動産鑑定士は、通常一般の方が考える合理的かつ合法的な最有効使用に基づく市場価値を評価するものなのですが、今回は少し不動産鑑定士の範疇からズレてしまいますが、趣味性を持った戸建住宅に興味のある方に読んで頂ければと思います。
そもそも、趣味性が高いということは、無駄な出費をある程度覚悟しなければなりません。
坪70万円も出せばそこそこの家は建ちますが、趣味性を思いっきり反映すると坪100万円なんてあっと言う間に越えてきます。
中古住宅を思いっきりリノベーションしても自分の思う通りの家が出来ると思いますが、気が付いたら新築の住宅を建てる費用とそんなに変わりがなくなってしまう可能性もございます。
(某TV番組の事例では驚くようなコストになっているケースが多いですよね。)

でも、長い期間のローンを組んで家を購入するのであれば、やはりどこか拘って計画した方が楽しいと思うのです。ある意味、計画している時こそが一番悩み、一番楽しい時間を過ごせます。
もちろん、家は普通に住めて長持ちすればいいという考え方も否定しません。ある意味、この考え方こそが一番効率的であり、リスクが少ないと言えますから。

冒頭に述べましたが、以下は、趣味性を家に反映したい方向けの内容になっておりますので、ご了承下さい。

目次


A.留意点について

1.資産価値の下がりにくい家(土地)を探す
2.お金を掛けないところを明確に
3.不動産仲介の仕組みを理解
4.希望エリアをあまり限定しない
5.予算(ローン)の目安を明確に

B.おまけ(私の新築体験談)

・体験談
・上記まとめとして、私の5つの失敗

C.趣味的リンク集




A.留意点について


まず戸建(または戸建用地)を買う場合に心がけておくべきことを列挙します。趣味性が強い戸建てを希望しても以下の点は考慮したほうが良いと思います。

1.資産価値が下がりづらい家(土地)を探す。

やはり将来の売却可能性を考慮した方がよろしいかと思います。例えば、再建築不可の旧法借地権付中古住宅は都心でも驚くほど安く購入できたりします。リフォームであれば再建築不可物件でも思いっきりリノベーションできますので、当初は非常に満足度が高いと思います。
しかし、家の経年劣化は避けることは出来ません。ご本人がご存命のうちは問題なくても、次の代の方が困ることになります。なぜなら、再建築不可でしかも旧法借地権付中古住宅を売るのは大変難しいからです。従って、土地価格を抑えたい場合でも、以下のことは気に留めて頂ければと思います。人生何が起きるか分かりませんので、可能性が少なくても再販可能な立地を選びましょう。
ア.建築基準法上の道路(役所に聞かないと分かりません)に間口2m以上接していること。
イ.同法43条但書道路は、次の建築申請で受理されない場合もあるので避けること。
ウ.駅から15分以内で歩けること。(できれば10分以内)
エ.歩いてスーパー等に行ける立地であること。
オ.大雨が降っても浸水の心配がないこと。(ハザードマップ等を調査)

2.お金をかけないところを明確に。
(土地の形状、規模、建物築年、建物の仕様等)

ア.土地について
例えば、住宅地は南向きが一番人気なので一番割高です。しかし、本当に南向きがいいでしょうか?これは好みの問題も大きいと思います。私は暑がりなので、あまり日当たりが良すぎても困ります。最近の夏は亜熱帯地域のような日の当たり方をするので、南向きだと外壁のダメージも心配になります。ちなみに私の好みは東向きですが、購入したのは西向きでした。西向きは確かに西日が凄いですが、夕方なのでそれほど気温は上昇しませんし、眩しいのはカーテンを閉めれば解決します。
また、土地の形状ですが、三角や複雑な形状ですと建築計画に支障が出ますのでNGですが、建築計画に殆ど影響の無い範囲であれば、多少の不整形でもよいと思います。また、路地状敷地のある土地(旗竿地)は、車が通る道路から奥に入るので静かだというメリットがあります。しかし、奥にあるので、せっかく拘って作った家の外観が、歩行者から全然見られないという残念な面もございます。
土地についてはこの辺りの折り合いをどうつけるか、ご自身の中に基準を作って、できるだけ安い土地を見つけて頂ければと思います。
また、土地の規模ですが、確かに戸建住宅ですから庭が欲しいと思います。イングリッシュガーデンのような庭を作りたい等のご希望があったり、大家族であればある程度の規模がほしいですが、そうでなければ個人的には30~40坪程度でいいかなと感じています。

イ.建物について
まず家のコンセプトを決めましょう。簡単に言えば、日本風か洋風や、古民家風かモダン、木の家かコンクリートの家か等のテーマがあった方が、計画を立てやすくなります。インテリア等を選ぶ際にも最初の方向性は重要です。
とりあえず、統一感が無いとセンスある風に見えないので、ここが肝になりますね。
ネットで色々な実例を見たり、インテリアのショールーム、水回りのショールーム等に行ってみることもお勧めです。(ブックマークに、ご自分のお気に入り集等を作ってみるといいと思います。特に家の実例は沢山見られたほうが良いと思います)

新築、中古をリノベーションする場合でもどこにお金を掛けて、どこを諦めるか明確にした方がよろしいかと思います。コスト削減する場合は、外壁にレンガやタイルを使わない、内装に無垢材等は使わない、水回りにお金を掛けない、床暖房や全館空調は付けない、間取りはシンプルにする・・・等が考えられますが、これを全部やってしまうとつまらない家になってしまうので、お金を掛けるところと掛けないところを明確にした方がよろしいかと思います。
私の場合は、浴室は普通のユニットバスにしました。やや味気ない気もしますが、私も妻も長風呂の習慣が無いので特に支障はありませんでした。逆に最近のユニットバスの汚れにくさに感心したくらいです。


3.不動産仲介の仕組みを理解する。(手数料、取引の流れ、サービス内容)
ご予算に手数料も含めているか、手数料はいつ支払うのか、買付はどんな時に入れるのか、買付を入れた後は売主が承諾したらすぐ手付契約があるのか、手付と残決済の期間はどのくらいの期間か等、取引の流れや手続き上必要なことを把握しましょう。分からなければ親切に教えてくれる仲介業者を選びましょう。
やはり信頼できる仲介会社さんを選んでおけば、例えば、購入候補地の周囲に将来的に大きい建物(マンションに限らずオフィスビルや商業施設等も)が建ちそうな土地があるかどうか等も気軽に聞くことができます。第1種低層住居専用地域でも用途境だと道路の向かいに大きいのが建つ可能性があるので注意が必要です。
また、最近は様々なサービスを行う仲介会社もありますので、有益な情報・サービスを与えてくれる不動産仲介会社を選ぶことも重要です。(金利優遇のあるローン、各種優遇制度、瑕疵保険、インスペクション等の情報)


4.希望エリアをあまり限定しない。
どうしてもこのエリアじゃないとダメというブレない気持ちがあれば無理にお勧めはしませんが、ご自身の中で一定の基準(駅距離、環境、利便性、災害リスク等)に入っていれば検討する価値はあると思います。とりあえず、現地に行ってみることをお勧めします。やはり行ってみないと分かりません。

5.予算(ローン)の目安を明確に。
銀行等のローンシミュレーションを事前にやっておきましょう。

以上、留意点を記載させて頂きました。


【豆知識:道路について】


ひとつ、土地を購入する方に知識として道路と敷地の関係を覚えて頂きたいと思います。
基本的な事ですが、戸建物件を選ぶ場合にまずどんな道路と面しているかを確認しましょう。道路には公道とか私道とか県道とか市道等と色々なカテゴリーの呼び方がありますが、重要なのは建築基準法上の道路であることが最低条件です。建築基準法上の道路ではない場合、原則的に建物の建築ができません。また建築基準法上の必要な間口は2m以上ですが、都の安全条例では旗竿地の路地上部分が20mを超える場合の間口は3m以上の間口がないと建物が建ちません。よって該当する都道府県の条例をチェックする必要があります。
また、基準法上42条2項道路というのがあり、幅員が4mに満たない場合、対象地にセットバックしなければならない場合があるので注意が必要です。
なお、上記1-イに書きましたが、43条但書道路は、建築申請で受理されない場合もあるので避けた方が無難です。(建築可能な事が判明していることもあるので、仲介会社さんによく聞いて下さい)

理想は市道や区道として役所に認定されていて、建築基準法42条1項1号道路に該当する道路に接面する土地を選びたいです。幅員4m以上の通り抜けで、不特定多数が通る普通の市道等はこの42条1項1号であることが多いです。ただ、たまに見た目では普通の市道等に見えても、42条1項5号(位置指定道路)になっている場合があって、この場合、原則的には私道ですので、建物を建てる敷地以外に、私道部分の一部の所有権又は共有持分等が必要になりますし、その私道に面している所有者の方から掘削承諾を取る必要がある場合も出るので注意が必要です。さらに、公道認定されていないと、管理等を所有者負担で行う可能性が高いです。
幅員についてですが、住宅の場合、理想は6mだと思います。4mでは街区の雰囲気が窮屈ですし、エリアとしての付加価値が出にくいと思います。また、幅員が広すぎると車の交通量が多く、居住環境が低下することが多いです。ただ、机上の数字はあくまで判断材料とすべきで、実際は現地で雰囲気を感じることが重要です


B:おまけ(私の新築体験談)




私は8年前に土地を買い、7年前に家を新築しました。家はかなり拘り、同業者には恥ずかしくて言えないくらいの坪単価になってしまいました。ただ、それでも、諦めたことは結構あります。以下、土地、建物についての概要を記載します。失敗している点も正直に記載します。

①土地について
都民でしたが、予算の都合もあり、通勤利便性(当時は市ヶ谷に勤務する会社員でした)を考えてTX線に狙いを定めました。環境、災害リスク等を考慮して最終的には決定しました。購入当初はそこそこ割安に買えたと思っていました。
・最寄駅:TX線「流山おおたかの森」
・駅距離:徒歩10分
・土地規模:40坪強
・形状:やや平行四辺形のような形状
・土地単価:坪50万円
・道路:当初は幅員3mでしたが、区画整理地のため現在は6mとなりました。(当方のセットバックはなし)
・方位:西向き(やはり西日はきついです。その他弊害はなし)
・地盤:地盤面から7m下に軟弱地盤があり、迷ったのですが地盤改良を行いました。費用は120万円。
・インフラ:当初は下水が通っておらず、浄化槽を設置しました。設置費は70万円。しかし、現在、下水道は通り、浄化槽は撤去しました。撤去費用は30万円ほど補償が出ました。また、浄化槽撤去時に外構を一部やり直し、約100万円追加出費がありました。
・近所の区画整理地について、購入時には原野だったところが宅地開発され、宅地化されたところに土盛りをされたため、自宅付近が地域の中でやや低地になってしまった。(特に支障はありませんが・・)

②建物について
・建築延べ面積:120㎡(木造2階建)
・工法:ツーバイフォー
・間取り:3LDK+納戸+ロフト
・建築坪単価;100万円
私自身はデザイナー系の家か、古民家風の家に興味がありましたが、妻は洋風な家に興味があり、妻の意見を全面採用致しました。いわゆる輸入住宅というジャンルの家で、ロンドンに旅行に行った際に写真を撮ってあったお気に入りの建物をモチーフにしてデザインすることに致しました。
施工会社はデザインが素晴らしく、コストも色々と考えてくれて大変いい会社だと思っていたのですが、施工管理に問題があり、工事途中で大工さんが交代したり、タイル業者さんから私に文句が来たり、一週間以上工事がストップしたり色々と大変でした。多少、私も怒鳴ったりなだめたりし、なんとか工事もほぼ工期通りに終わり、施工の質も一定程度以上のものが出来上がりました。
しかし、施工後一年点検を過ぎて、なんと施工会社が倒産してしまいました。倒産後のメンテンナンスはありません。(現在、特に支障はありませんが。。)

建物の外観はイギリスのチューダー式(ハーフティンバー式)のもので、レンガをスライスしたタイル状のものと、モルタルをコテで塗る仕上がりにしました。
内装については、天井と壁の間にモールディングを設置し、洋風感を高めました。また、壁はドライウォールという塗壁に、床は1Fがメイプル材、2Fがオーク材のフローリングにしました。
建物の断熱については、内断熱になってしまいましたが、建物内部全域に渡って発砲吹き付け断熱材をサービスでやって頂きました。
空調については、部屋にエアコンが見えるのに抵抗があり、全館空調にしました。全館空調は120万円くらいかかり、毎月のメンテ代が5,000円くらいかかります。さらに電気代は真冬が一番かかるのですが、月3万円近く掛かることがあります。これはちょっと我が家においてはオーバースペックかなと反省していますが、家の中は年中同じ気温なので快適です。ただし、冬は乾燥がすごくて、無垢材が縮むという弊害もございます。

計画する際に一番大変だったのはインテリアの仕様を決めることでした。施工会社に優秀なインテリアコーディネーターがいらっしゃったので、大変助かりました。内壁の色目、一部設計の微調整、各種建具やサッシの選択、照明やカーテン、水栓、ドアのぶ、各種小物類を膨大なカタログから我々の好みにあうように提案して頂き、この優秀なインテリアコーディネーターがいらっしゃったので、我々の新築計画はうまく纏まったと感じています。

以上、私の体験を通じ、何か皆さまのご参考になればと思い記載させて頂きました。
私は不動産評価のプロでありますが、この新築計画の中にも色々な失敗がございました。
上記のまとめとして以下に失敗を5つ列挙します。


私の5つの失敗


Ⅰ.下水が通ってなくてもあまり気にしなかった。近い将来に浄化槽を撤去して下水に付け替えることは分かっていましたが、なぜかあまり気にしませんでした。

Ⅱ.地盤改良が本当に必要かどうか、セカンドオピニオンを取らなかった。当時は言われるままという感じになってしまいました。

Ⅲ.区画整理の他のエリアに土盛りがされることを予想していなかった。区画整理でまだ造成予定がある場合は、購入前によく確認することが必要だと痛感しました。

Ⅳ.施工会社が倒産した。これは予想できませんでした。正直、購入前に営業マンに聞いたのですが、全然大丈夫という感触でした。実際の注文件数は多いようでしたが、施工管理が悪く、工期が遅れ、資金回収が遅れたため資金繰りが苦しくなって倒産した様です。デザインばかり気を取られず、施工管理の状態、評判等も注意しておくべきでした。

Ⅴ.全館空調の経費がかかる点もある意味失敗かもしれません。ただ、これによる内部の美観、快適さは否定できません。


では、最後に私が当時参考にした住宅系リンク集です。とりあえず一般的な有名なサイトは乗せていません。かなり趣味的で輸入住宅に偏っております。(依頼した施工業者は倒産したので載せていません)


C:趣味的リンク集


***建築ビルダー***

・クラフトメイドハウス
階段、各種造作、ドライウォール施工でお世話になりました。社長は大工・営業・設計
の全てをこなします。多摩地区の会社なのに柏レイソルの熱烈なファンのようです。


・ドンナハウス
当初はここにしようと思っていました。なぜ、ここにしなかったのかは、
単なる御縁だけだと思います。施工の質が高そうです。


・コッツワールド
イギリス好きで忠実にむこうの家を再現するならココ。我が家は予算的にここでは無理でした。


・レッドハウス
色々な様式を選べそうです。


・レジェンダリーホーム
個性的でハイセンスな社長さんがいます。シークレットガーデンというアンティークのお店も必見。


***資材・設備等***

・キャン'エンタープライゼズ
内装のブリック、照明、等色々とお世話になりました。


・スマート・ブリック
外壁レンガはここでお世話になりました。


・松原工業
レンガ、コッツウォルズストーン等、色々参考になります。


・世界の建材ドットコム
建築資材、照明など色々参考になります。


・メタルクリエイト
アイアン各種、ステンドグラスを割安で作成することが出来ました。


・ゲーテハウス
外壁の塗り壁材でお世話になりました。


・アイシネン
発砲吹き付け断熱材です。


・モンタージュ
樹脂サッシを使うにはお奨めのメーカーです。



***その他***

・開運方位学
参考にしたこともあり、参考にできなかったこともあり・・・・


・データ・ユニオン
地盤調査・改良業者さんです。

以上、やや不動産鑑定士の職域からズレていますが、自称不動産のプロでもこんなにバタバタした感じで自宅を購入したという実例でした。

おがわアセットカウンセル: 不動産鑑定士 小川

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小川哲也
専門家

小川哲也(不動産鑑定士)

おがわアセットカウンセル株式会社

不動産コンサルティング会社、デベロッパーでの実務が豊富な不動産鑑定士。相続における借地権・底地の問題に強い。また、証券化案件の豊富な実績から、実態に即した価格や計画の提示で、投資判断をサポート。

小川哲也プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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