令和2年度税制改正 税逃れ阻止第三弾!  <浦安・市川の中小企業支援コラム>

和泉俊郎

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テーマ:令和二年度税制改正

各省庁からの来年度税制改正要望が例年なら出揃っているところ、コロナ禍で1ヶ月程度遅れる見通しであり、今回も、令和2年度税制改正より、税逃れ封じの措置である「子会社からの配当と子会社株式の譲渡損を組み合わせた国際的な租税回避への対応」を、以下にて取り上げたいと思います。

改正の背景

ソフトバンクグループ(SBG)はアーム・リミテッド株の4分の3 をアーム・ホールディングからの現物配当により取得しました。アーム・ホールディングはその主要資産たるアーム・リミテッド株をSBGに配当したため、その株式価値は大きく下落しました。この現物配当は海外子会社からのものである為、配当の益金不算入措置で95%は非課税でした。SBGは多額の資金で高値のアーム・ホールディングを買収しており、時価を大幅に減価させた後に別の子会社等に時価で売却することにより、多額の売却損を発生させ、その損失による赤字を他の事業で得た黒字と相殺し、SBGの法人税負担をゼロにしました。アーム・リミッテドは親会社が変わったものの、SBGの傘下にあることに変わりなく、SBGの法人税等を減少させる為だけの租税回避行為として、再発防止策を求める声が上がっていました。

改正の内容

法人がその法人グループで株式等の50%超を有する子会社(その設立から支配関係発生までの間において90%以上を内国法人・居住者等が保有しているものを除く)から、配当を受ける場合、子会社の株式等の帳簿価額から、その配当額のうち益金不算入相当額を減額することとされます。但し、以下の配当は除かれます。

①支配関係発生から10年経過後に受けるもの
②一事業年度の配当額が株式の帳簿価格の10%以下或いは支配関係発生後の利益剰余金の純増額以下であるもの
③2千万円以下であもの

また、支配関係発生後の利益剰余金から支払われたと認められる部分の金額は減額しないことが出来ます。

改正の効果

配当の非課税部分と同額を株式の帳簿価額から減額することにより、理論上は譲渡時に譲渡損失を発生させないことが出来ます。

適用時期

令和2年4月1日以降開始事業年度から適用となります。


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