猛烈な変化を楽しめ!   <浦安・市川の中小企業支援コラム>

和泉俊郎

和泉俊郎

生命科学やAI等、様々な技術分野で猛烈な変化が起き、ビジネスや生活が大きく変わろうとする中、ファーストリテイリンク・゙柳井社長と京都大学IPS研究所長の山中教授が、プレジデント7月号の特集で、「変化と普遍」「失敗と成功」をテーマに熱く語っています。以下要約抜粋して紹介させて頂きます。

柳井:
誰にも変化は予測できません。そもそも世の中のほとんどのことは未だ解明されてませんよね。人体でも宇宙でも、何でもそうでしょう。AIがブームになって何か万能のように言われているけど、本当にそうなのかと思います。

山中:
同感です。私が医学部を卒業したのは1987年ですが、その頃ガンに関する画期的な発見が相次いでいて、「2000年にはガンが克服されているだろう」と未来予測が信じられていました。然し、30年経った今も克服されていない。予想は完全に外れです。人体についても、その真実が100としたら、今分かっているのは1くらい。そうした前提に立つと、大切なのは、未来を決めてかからずに、どんなことが起きても対応出来るように、「受け皿」を用意しておくことじゃないでしょうか。

柳井:
僕は今年で69歳になりましたが、これまで、「変化に飛びつく」ことをして来た訳ではなく、世の中がどうなろうともやっていけるように、人間として普遍的な能力を高めた方が良いだろうと考えやってきました。最後まで答えられないかも知れないけど、沢山努力しながら、「あなたは何故生きているのですか?」そう問い続けることで、自分は成長するし、回りの人達も成長する。問いが大きすぎるなら、「何故この仕事を選んだのですか?」でもいい。そう問いながら日々の仕事をしたら、凄く良くなると思う。そう問いかけ続けると、変化に対して受け身ではなくなり、むしろ、自分から変化を起こすようになるはずです。そもそも変化や困難に挑むのは楽しいことじゃないですか。自分の能力を高めて変化を楽しむ、困難を楽しむ。そういう精神が特に日本人には必要だと思います。

山中:
研究者は実験をするのが仕事ですが、ときには失敗が見えてることもあります。でも、失敗したらどうなるのか見てみたい気持ちがある。コカ・コーラもリーバイスのジーンズも、実は、他のものを作ろうとして失敗した結果生まれたものです。成功するとか、失敗するとかに関係なく、まず動く。そうしないと、次に繋がる何かは産まれないんです。実験で予想と違う結果が出たときに、ただ失敗だと嘆くのではなく、実は面白いことが起こっているんじゃないかと思えてくるかどうか。失敗ではあっても、記録に残して後に検証出来るようにしておけるかどうか。いい結果を得るには、「失敗の流儀」を身に付けることが大事なのだと思います。

柳井:
僕は「一勝九敗」と云う本を書きましたが、本当は99敗、いや999敗。失敗してもその過程を楽しんで続けて来たんです。こういう方向だと思って行ってみても、壁にぶつかり、よじ登ったり、地を這ったりして進んで行く。目の前のビジネスを動かすには、不十分な準備しか出来なくても、今日やれることをやるしかない。ビジネスの世界でもそのことを分かっていない人が多すぎると思います。

山中:
研究でも、最初に調べ過ぎるのは良くないんです。調べ過ぎると、IPS細胞を作ったときのようなリスクの高いことが出来なくなってしまいます。成功の確率が低いと分かると研究を続けるのが怖くなります。それよりも、前へ進むことが大事です。


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