事業的規模でない不動産所得の留意点   <浦安・市川の中小企業支援コラム>

和泉俊郎

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某ハウスメーカーの税務相談会にて相談を受けた事例の中から、事業的規模でない不動産所得があるケースで、火災によりアパートが焼失した場合の取り扱いについて、以下紹介致します。

事業的規模でない場合の取り扱い

事業的規模であるか否かは、通常、5棟10室基準(アパートが5棟、或いは、10室以上あれば事業的規模)で判定しますが、事業的規模でない場合、下記の取り扱いとなります。

(1) 賃貸用固定資産の取壊し、除却などの資産損失については、事業的規模の場合は、その全額を必要経費に算入しますが、それ以外の場合は、その年分の資産損失を差し引く前の不動産所得の金額を限度として必要経費に算入されます。

(2) 賃貸料等の回収不能による貸倒損失については、事業的規模の場合は、回収不能となった年分の必要経費に算入しますが、それ以外の場合は、収入に計上した年分までさかのぼって、その回収不能に対応する所得がなかったものとして、所得金額の計算をやり直します。

(3) 青色申告の事業専従者給与又は白色申告の事業専従者控除については、事業的規模の場合は適用がありますが、それ以外の場合には適用がありません。

(4) 青色申告特別控除については、事業的規模の場合は一定の要件の下最高65万円が控除できますが、それ以外の場合には最高10万円の控除となります。

(5) 中小企業者の退職金共済である小規模共済に加入できません。

火災で焼失した場合の取り扱い

火災でアパートが焼失した場合、上記の(1)が適用され、青色申告であっても損失の繰越控除が出来ません。また、火災保険金でその損失を補填した場合の取り扱いは下記となります。

1) 保険金は、所得税法上、非課税所得ですから、損失を超える部分の保険金は収入金額(収益)に含める必要はありません。このあたりは法人会計処理とは大きく異なります。

2) 具体的には、受け取った保険金は損失の範囲内で雑収入として計上します。結果として、差し引き利益は¥0となり、この部分の所得は発生しません。

3) 損失の額の方が多ければ、保険金を全額雑収入として計上する一方、、損失も全額必要経費に算入します。結果として、保険金を超える実質的負担部分のみが損失として反映されることになります。但し、上記(1)の縛りがあり、所得の範囲内に限ります。



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