「夫が不妊治療にお金をださない」不妊治療の現実:夫婦が直面するお金と時間の問題
質問者の状況
TESE顕微にて胚盤胞移植を何度か試みています。受精卵ランク5AB以上のランクを数回移植してきましたが、まだ妊娠に至っていません。今後何か検査をした方が良いのでしょうか?あるいは、これからできることは何かあるのでしょうか?病院からは、遺伝子の問題が原因かもしれないから仕方がないと言われました。
お返事
まず、ご質問ありがとうございます。何度も挑戦しても妊娠に至らないことは非常に辛い状況だと思います。ここでは、今後の可能性について詳しく説明させていただきます。
遺伝的な精子の問題について
ご相談の内容からすると、精子の数が少なく、TESE(精巣内精子採取術)を通じて得た精子を用いて胚盤胞移植を行っていることが分かります。この場合、受精はうまくいくものの、精子に起因する染色体異常が発生しやすいため、移植した胚の発育がうまくいかない可能性があります。
今後考えられる選択肢
PGT-A(着床前胚異数性検査)の検討
PGT-Aとは、移植前の胚を検査し、染色体数の異常を確認する検査です。これにより、染色体異常を持つ胚の移植を回避し、妊娠率の向上が期待できます。現在、何度も胚盤胞移植を行っても成功に至らない場合、この検査を受けることが有効な手段となることがあります。
ただし、このPGT-Aを行うかどうかについては、取り扱いのあるクリニックに限られており、公には提供していない施設もあります。まずは担当医に相談し、PGT-Aの実施が可能かどうか確認してみることをお勧めします。
精子の質の向上を目指す治療
精子の質を向上させるために、生活習慣の見直しや特定のサプリメントの摂取などが役立つ場合があります。例えば、抗酸化作用を持つ栄養素(ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10など)は精子のDNA損傷を減らし、質の改善に寄与することが示されています。また、規則正しい生活、禁煙、アルコールの制限、適度な運動なども重要です。
中医学的な考察と診断方法について
中医学(伝統中国医学)の観点からも、不妊治療にはさまざまなアプローチがあります。中医学では、身体全体のバランスを見て「証(しょう)」と呼ばれる体質の状態を把握し、それに基づいた治療を行います。
気血のバランスの確認
中医学では、気(エネルギー)と血(けつ)のバランスが非常に重要です。不妊の原因として「気虚(ききょ)」(エネルギー不足)や「血虚(けっきょ)」(血液の不足)、または「瘀血(おけつ)」(血行の滞り)が考えられます。これらの状態があると、精子や卵子の質が低下し、胚の成長が妨げられる可能性があります。
診断方法:脈診・舌診
中医学では、**脈診(みゃくしん)や舌診(ぜっしん)**といった診断方法を用いて体内のバランスを確認します。脈を触ることでエネルギーの流れや血液の状態を把握し、舌の色や形から内臓の働きや身体の状態を判断します。
治療アプローチ
体質に応じた漢方薬が用いられます。例えば、気虚が原因であれば補気薬(ほきやく)を使用し、エネルギーを補うことで身体全体の機能を改善します。また、瘀血が原因の場合は、血行を促進する漢方薬を用いることで滞りを解消し、精子や卵子の質を向上させます。
くすりの厚生会での対応について
くすりの厚生会では、中医学に基づいた不妊治療のサポートを提供しています。具体的には、以下のような対応が可能です。
個別相談と体質診断
不妊治療に関するお悩みを丁寧に聞き取り、個々の体質や症状に合わせた漢方薬の処方を行います。体質診断には、脈診や舌診など中医学特有の方法を用い、現在の健康状態を詳しく把握します。
オーダーメイドの漢方薬
それぞれの体質に合ったオーダーメイドの漢方薬を処方し、精子の質の向上や体内環境の改善を目指します。特に、精子の質の低下に対しては、補気薬や活血薬(血行を良くする薬)が有効です。
生活習慣のアドバイス
精子の質を向上させるための生活習慣についてもアドバイスを行っています。例えば、栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレスの管理などが重要です。また、特定の栄養素(ビタミンやミネラルなど)の摂取を推奨し、精子や卵子の質を向上させるサポートも行っています。
最後に
遺伝的な問題や精子の質に関する悩みは、非常に複雑で心が折れやすいものです。しかし、今後も考えられる選択肢があります。特にPGT-Aのような検査は、胚の選別をより精密に行うことで、妊娠の可能性を高める助けになります。まずは担当医と詳細を話し合い、可能な検査や治療について確認してみてください。また、ご自身の生活習慣の改善も合わせて行うことで、より良い結果につながる可能性があります。
さらに、中医学的な観点からも体質改善や精子の質の向上を目指すアプローチが存在します。くすりの厚生会での相談を通じて、漢方薬や生活習慣改善のサポートを受けることも検討してみてください。ご自身のペースで無理なく進めていくことが大切です。一人で抱え込まず、専門家と共に最善の道を探っていけるよう応援しています。