EXPOエコマネーの目指したもの

谷口庄一

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テーマ:循環型社会



2005年に開催された愛知万博から10年。計画段階から会期中まで関わる機会があった身としてはいろいろな想いが巡ってきます。

ここで、循環型環境社会実現のツールとして社会実験を愛知万博会場内で行っていた「EXPOエコマネー」についてお話したいと思います。

エコマネーという概念は愛知万博で新しく作られたものではなく、1999年にNHKで放送された「エンデの遺言」というドキュメンタリーをきっかけにして活動が日本でも活発になってきた「地域通貨」運動から始まりました。もともと地域経済の立て直し手法であり、そこから福祉などにも幅を広げてきました。日本では環境問題を重ねるようになって「地域通貨」を「エコマネー」と称するグループも増えてきました。

制度やシステムには統一されたものはなく、それぞれの事情に応じたカスタマイズがなされているのが特徴です。EXPOエコマネーはポイント制度を採用し、愛知万博の入場券にICカードが採用されたことを活用してITを使った地域通貨の実験を行ったのです。

EXPOエコマネーの特徴は、レジ袋を断ったり、エコ活動に参加するとポイントが与えられるため、老若男女・所得に影響されずにポイントを貯めることができるというものです。そのポイント数がエコ活動の可視化されていることになります。また集めたポイントは自分が価値があると感じるものと交換することができます。その価値について自分にとって効用があるとする行動と植樹やボランティア活動などに寄付をするという利他的な行動を選択することができるようになっています。

ただ、効用については基軸通貨である「円」と同じにしなことが重要でした。例えば「1ポイント=1円」というような事をしない訳です。これが近年よく行われている「エコポイント」との大きな違いとなります。

交換できる商品の価値を通貨換算できないようにすることが難問でした。そこで、商品を提供していただく企業・団体には市場で販売されていないものの提供をお願いしました。できれば市場投入前のモニターのような形で提供していただく事が理想です。多くの企業・団体さんはその理念をご理解していただき、またその商品の意味をEXPOエコマネープロジェクトに参加してくださった愛知万博来場者に説明をさせて頂いていたのです。

EXPOエコマネーが最も重視したのは、現在の基軸通貨の経済と併存できる利他的な行動を活性化させるための循環型社会における基軸通貨となるべきものに成長させることにありました。

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