社内だけで抱え込まないメンタルヘルス対策へ-ストレスチェック義務化拡大を「活かす」へ⑤―

近藤ひろえ

近藤ひろえ

テーマ:メンタルヘルス



シリーズ最終回では、
事業場外資源によるケアと、
中小企業でも取り組みやすい
現実的な進め方を取り上げます。

すべての企業が、
十分な産業保健体制や
社内の相談窓口を持てるわけではありません。

特に中小企業や小規模事業場では、

「不調らしき社員がいるけれど、
社内では対応しきれない」

「人事も管理職も経験が少なく、
どう動けばよいか分からない」

そんな悩みが、
とても現実的な課題として
出てくることがあります。

このとき大切なのは、
社内だけで何とかしようと
抱え込みすぎないことです。

職場のメンタルヘルス対策は、
自社の中だけで
完結させるものではありません。

必要なときに、
外部の力を借りることも、
大切な仕組みづくりの一つです。

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事業場外資源には、
いくつかの種類があります。

たとえば、企業向けの
EAPサービスがあります。

従業員が外部の専門家に相談できる仕組みや、
管理職・人事向けの相談、
研修などを組み合わせて
利用できる場合があります。

また、産業保健総合支援センターのような
公的な支援もあります。

自社に専門スタッフが少ない場合、
こうした外部の知見を活用することで、
対応の方向性を整理しやすくなります。

そのほかにも、
自治体、医療機関、NPOなどの
相談窓口が選択肢になることもあります。

大切なのは、
「どこに相談できるか」を
困ってから探すのではなく、
あらかじめ把握しておく

ことです。
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外部資源を使うときには、
確認しておきたいことがあります。

費用はどのくらいか。
利用回数に制限はあるのか。
相談内容の守秘義務はどうなっているのか。
会社に報告される範囲はどこまでか。

このあたりが曖昧なままだと、
従業員は安心して利用しにくくなります。

「相談したら会社に全部知られるのではないか」
「評価に影響するのではないか」

そんな不安があると、
せっかく窓口を用意しても、
実際には使われにくくなります。

だからこそ、
外部相談窓口を導入するだけでなく、
どう伝えるかも大切です。

「困った人が行く場所」ではなく、
「早めに相談してよい場所」
として案内する。

「不調になってから使うもの」ではなく、
「悩みが小さいうちに整理できる場所」
として伝える。

この一言の違いが、
相談のしやすさを変えていくように思います。

________________________________________
外部資源を検討したいタイミングは、
いくつかあります。

まず、社内に産業保健スタッフがいない、
または人数が少ない場合です。

人事や管理職だけで対応していると、
判断に迷う場面が増えていきます。

「声はかけたけれど、
 この先どうすればよいのか」

「本人の話を聞いたが、
 どこまで会社として関わるべきなのか」

こうした場面では、
外部の専門家に相談できるだけでも、
対応の安心感が変わります。

また、心理的に複雑な問題や、
家庭の問題、生活上の困りごとが
関係している場合もあります。

そのようなとき、
職場だけで解決しようとすると、
かえって抱え込みすぎてしまいます。

長期的なサポートが必要と思われる場合も、
外部資源との連携を考えたいところです。

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今まで、

4つのケア、
・セルフケア
・ラインによるケア
・事業場内保健スタッフによるケア
・事業場外資源によるケア

を説明してきました。

中小企業こそ、
「4つのケア」をすべて自社だけで
担うのではなく、
外部の力を組み合わせて
考えることが大切です。

大切なのは、
自社でできることと、
外部に頼ることを分けて考えること

です。

たとえば、セルフケアは、
社内で情報発信をしながら、
研修やセミナーは外部講師に依頼する。

ラインによるケアは、
日常の声かけや業務調整は
管理職が担いながら、
基礎知識や面談スキルは
外部研修で学ぶ。

事業場内保健スタッフがいない場合は、
公的支援や外部相談窓口を活用し、
必要なときに専門家につながれる
ルートをつくっておく。

このように組み合わせることで、
限られた体制でも、
メンタルヘルス対策の土台は
整えやすくなります。

完璧な仕組みを一気につくる必要はありません。

「ここは自社でやる」
「ここは外部の力を借りる」

その切り分けを考えることが、
現実的な一歩になります。
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事業場外資源を使うことは、
限られた人員や時間の中で、
働く人を守るための賢い選択
とも言えます。

特に中小企業では、
すべてを自社で持つことよりも、
必要な支援につながれる状態を
つくっておくことが大切です。

「困ったら、ここに相談できる」

従業員にとっても、
管理職にとっても、
そのルートがあるだけで、
心の負担は軽くなるかもしれません。

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今の体制のままで、
従業員や管理職が
「本当に困ったときに安心して相談できるルート」は、
いくつ用意されているでしょうか。

社内だけで抱え込まずに済むように、
今年中に整えたい
“外部の相談先”を一つ挙げるとしたら、
どのような機関・サービスが
思い浮かびますか。

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さて、
この5回を通して見えてくるのは、
メンタルヘルス対策は
一つの制度だけで成り立つものではない、
ということです。

ストレスチェックを実施する。
従業員が自分の状態に気づく。
管理職が早めに声をかける。
社内の専門職につなぐ。
必要なときに外部の力を借りる。

こうした一つひとつがつながって、
ようやく職場の支援体制として
働きはじめます。

制度はある。
研修もある。
相談窓口もある。

けれども、
従業員や管理職が
「いつ、どこに、どう相談すればよいか」を
知らなければ、
仕組みは力を発揮しにくくなります。

だからこそ、
今回の法改正をきっかけに、
自社の支援の流れを
一度見直してみることが大切

です。

ストレスチェックの結果は、
職場改善に活かされているでしょうか。

従業員がセルフケアを学ぶ機会は、
用意されているでしょうか。

管理職は、
不調のサインに気づいたとき、
どこに相談すればよいか知っているでしょうか。

産業医や保健師などは、
早めに相談できる存在として
認識されているでしょうか。

社内で対応しきれないときの
外部相談先は、
具体的に決まっているでしょうか。

もちろん、
これらすべてを一度に整えるのは
簡単ではありません。

だからこそ、まずは一つ。

今の職場で見直せそうなところから
始めてみることが、
安心して働ける職場づくりの
第一歩
になります。

その小さな見直しの積み重ねが、
働く人の安心を支え、
職場が無理なく続いていくための
土台になっていくのだと思います。

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あなたの職場で
まず一歩、取り組むとしたら何をしますか?

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近藤ひろえ
専門家

近藤ひろえ(人材教育・メンタルヘルス講師)

人材育成研修「リベル」

わかりやすく納得感が高まる体験型の研修で職場の課題解決をサポート。現場ですぐに生かせる具体的な方法を伝え、新入社員から管理職まで、すべての人が働きやすく生産性の高い職場づくりを提案。

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