管理職は専門家ではなく「気づき、つなぐ人」へ ーストレスチェック義務化拡大を「活かす」へ③―

テーマ:メンタルヘルス




今回は、ラインによるケアにおける
管理職の役割を取り上げてみたいと思います。

従業員のメンタル不調に、
最初に違和感を覚えるのは、
産業医やカウンセラーではなく、
日々顔を合わせている管理職であることが
多いのではないでしょうか。

「最近、表情が暗い」
「ミスが増えている」
「メールの文面がいつもと違う」

そんな小さな変化は、
近くにいる人だからこそ
気づけるサインかもしれません。

ただ、管理職からは
戸惑いの声もよく聞かれます。

「どこまで踏み込んでいいのか」
「自分はメンタルの専門家ではない」
「声をかけて、かえって傷つけたらどうしよう」

その不安は、とても自然なものです。

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ここで大切なのは、
管理職はメンタルヘルスの専門家に
なる必要はない、ということです。

ラインによるケアで求められるのは、
治療やカウンセリングをすることではありません。

  • 変化に気づくこと。
  • 声をかけること。
  • 必要に応じて人事や産業保健スタッフにつなぐこと。



そして、職場環境を見直すこと
です。

管理職は、
すべてを一人で解決する人ではなく、
現場と支援をつなぐ
“ハブ”のような役割

だと考えると、
少し肩の力が抜けるかもしれません。

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早期の気づきは、
特別な観察力が必要なわけではありません。

大切なのは、
「いつもとの違い」に目を向けることです。

・出社頻度が変わった。
・遅刻や欠勤が増えた。
・表情が硬くなった。
・会議での発言が減った。

・報告が遅れる。
・小さなミスが続く。
・メールの返信が極端に短くなる。

こうした変化は、
本人の性格ややる気の問題と
決めつける前に、
少し立ち止まって見たいところです。

ただ、気づいても声をかけるのは
簡単ではありません。

「大丈夫?」と聞くと、
相手は反射的に
「大丈夫です」と答えるかもしれません。

そんなときは、
事実をもとにした声かけが役立ちます。

「最近、残業が続いているようだけど、
 負担が大きくなっていない?」

「このところ、少し疲れているようにみえるけど、
 何かできることはある?」

このように、
見えている事実から入ると、
相手も受け止めやすくなります。

________________________________________

声かけのあとの面談では、
すぐにアドバイスをしようとしなくても
大丈夫です。

まず必要なのは、
状況を理解することです。

何に困っているのか。
いつ頃から負担が増えているのか。
仕事量なのか、人間関係なのか。
体調面の不安があるのか。

本人の話を聞くときには、
「事実」と「感情」を分けて受け止めると、
整理しやすくなります。

たとえば、
「業務量が増えている」は事実に近い情報です。

「もう無理かもしれない」は、
その人のつらさや不安を表す言葉です。

どちらも大切ですが、
混ぜて受け止めてしまうと、
対応があいまいになりやすくなります。

感情には、まず受け止める。
事実には、確認して整理する。

この順番があると、
面談は少し進めやすくなります。

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また、必要に応じて
記録を残すことも大切です。

ただし、記録は
本人を管理するためではありません。

後から状況を確認し、
人事や産業保健スタッフと連携するための
手がかりです。

いつ、どのような変化があったか。
どんな話をしたか。
どのような業務上の配慮を行ったか。

この程度を、
事実中心に簡潔に残しておくとよいでしょう。

一方で、本人の感情や私生活の情報を
必要以上に書き残すことは、
慎重に扱いたいところです。

個人情報に関わる内容は、
関係者だけで共有することが基本です。

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ラインによるケアで忘れてはいけないのが、
業務調整です。

メンタルヘルス対策というと、
声かけや相談対応に目が向きがちです。

けれども、現場で大きな意味を持つのは、
仕事の量や進め方を
見直すことかもしれません。

業務量を一時的に減らす。
難易度の高い仕事を分担する。
締切を調整する。
役割を明確にする。

こうした対応は、
管理職だからこそできるケアです。

もちろん、本人だけを特別扱いすると、
周囲のメンバーに負担感が生まれることもあります。

そのため、チーム全体への説明や、
公平感のバランスも必要です。

大事なのは、
「本人のがんばり」に頼りすぎないことです。

本人が限界まで耐えるのではなく、
仕事の仕組みとして支えられる形を
考えていくこと
が、
ラインケアの実践につながります。

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管理職自身のストレスにも、
目を向ける必要があります。

部下の不調に気づく。
声をかける。
業務を調整する。
チーム全体のバランスも見る。

これらを一人で抱え込めば、
管理職自身が疲弊してしまいます。

ラインケアは、
管理職だけが背負うものではありません。



人事、産業保健スタッフ、
必要に応じた外部資源とつながりながら、
進めていくものです。

「自分で何とかしなければ」と思いすぎず、
早めに相談することも、
管理職にとって大切な行動です。

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ラインによるケアとは、
メンタル不調を見つけて
診断することではありません。

日々の変化に気づき、
声をかけ、
必要な支援につなぎ、
仕事の進め方を調整することです。

その意味で、管理職は
メンタルの専門家ではなく、
職場のいちばん近くにいる観察者であり、
支援への入口をつくる人です。
________________________________________

あなたの組織の管理職は、
「メンタルの専門家」ではなく、
「早期に気づき、つなぐ役割」としての
ラインケアを、
どれだけ安心して実行できているでしょうか。

明日からできる
“ひと言の声かけ”を挙げるとしたら、
どのような言葉になりますか。

*****************************************
次回は、
事業場内保健スタッフによるケアについて
考えていきます。

管理職が一人で抱え込まないためにも、
どのタイミングで専門職につなぐのか。

この視点は、
ラインケアを安心して進めるうえで
大切なポイントになりそうです。

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Mybestpro Members

近藤ひろえ
専門家

近藤ひろえ(人材教育・メンタルヘルス講師)

人材育成研修「リベル」

わかりやすく納得感が高まる体験型の研修で職場の課題解決をサポート。現場ですぐに生かせる具体的な方法を伝え、新入社員から管理職まで、すべての人が働きやすく生産性の高い職場づくりを提案。

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