Day162:親が認知症になったら?介護・財産管理の“今からできる3つの対策”

◆コラムの動画版YouTubeを、12/29月曜日 18:00より配信開始
https://youtu.be/PBecsth-bfM
「在宅介護はできますか?」
多くのご家族が、介護を考え始めるときにまずこう質問されます。
しかし、この問いかけ自体が、実はとても危ういのです。
なぜなら、在宅介護で本当に大切なのは「できるか・できないか」ではなく、
**「続くか・続かないか」**だからです。
■ 在宅介護が苦しくなる最大の原因
在宅介護が限界を迎える多くのケースに共通するのは、
スタート時点の判断基準のズレです。
・体力的には「今はできそう」
・時間的にも「なんとかなる」
・経済的にも「まだ余裕がある」
このように「今の状況」だけで判断してしまうと、
数ヶ月〜1年後に大きな負担としてのしかかります。
介護は短距離走ではなく、長期戦です。
■ 「できる介護」は一時的、「続く介護」が現実
たとえば次のようなケースを想像してみてください。
・夜中のトイレ介助が毎日続く
・通院や買い物の付き添いが週に何度もある
・自分の体調が悪くても休めない
・仕事や家庭との両立で常に時間に追われる
最初は「親のためだから」と踏ん張れても、
心と体は確実にすり減っていきます。
ここで大切なのは、
「自分が頑張れるか」ではなく
**「無理をしなくても回る仕組みか」**という視点です。
■ 在宅介護が「続かない」サイン
次の項目に複数当てはまる場合、注意が必要です。
・介護者が一人で抱え込んでいる
・相談できる相手がいない
・自分の時間がほとんどない
・イライラや罪悪感を感じることが増えた
・「いつまで続くんだろう」と思うことがある
これは能力の問題ではありません。
仕組みと選択の問題です。
■ 「続く在宅介護」に必要な3つの視点
① 100点を目指さない
完璧な介護を目指すほど、続きません。
60点で「まあいいか」と言える余白が、結果的に長続きします。
② 外部サービスを前提に考える
訪問介護、デイサービス、ショートステイ。
「頼ること」は手抜きではなく、戦略です。
③ 限界ラインを決めておく
「この状態になったら施設を検討する」
という基準を、元気なうちに決めておくことが重要です。
■ 施設=失敗ではない
在宅介護が続かなくなったとき、
「自分が頑張れなかった」と責める方が非常に多いですが、
それは間違いです。
・親の安全が守られる
・家族関係が壊れない
・介護者の人生が守られる
これらを総合的に考えた結果の施設選択は、
前向きな決断です。
◉まとめ
在宅介護は、
「できるか・できないか」で判断するものではありません。
・続く仕組みか
・無理をしなくていいか
・家族全員が壊れないか
この視点を持つことで、
後悔のない選択ができるようになります。
一人で抱え込まず、
早めに情報を集め、相談することが何よりの備えです。



