Day134:相続トラブルを防ぐ!親子でできる「財産の見える化」3つのステップ

◆コラムの動画版YouTubeを、12/1月曜日 18:00より配信開始
https://youtu.be/iDACQMyMW-0
親が年齢を重ねるにつれ、「もし認知症になったらどうしよう…」と不安を抱く方は少なくありません。
特に40代・50代の“働き盛りの子世代”にとって、介護が突然始まることは、仕事・家庭・お金に大きな影響を与えます。
しかし、認知症は“事前の準備”によって、負担の大きさが大きく変わるのをご存じでしょうか?
今日は 親が認知症になる前からできる、介護・財産管理の3つの備え をまとめてお伝えします。
1.家族で話しておきたい「生活のこと」3つ
認知症になると、生活面で「本人の意向」が確認できなくなってしまいます。
そのため、まだ元気なうちに次の3つを“話し合っておくこと”が重要です。
① どこで暮らしたいか(在宅か施設か)
・最期まで自宅で暮らしたい?
・一人暮らしの場合の見守りはどうする?
・将来的な“施設入居”の選択肢は?
多くの家族が、認知症発症後に初めて話し合い、トラブルになります。
② 生活費・医療費をどう工面するか
認知症になると、医療・介護の利用が増えます。
月額費用は以下が目安です。
・在宅介護:月3〜10万円
・介護施設:月12〜20万円
・介護保険外サービス:+数万円
早めに「どこまで家計から出せるか」を話し合っておきましょう。
③ 緊急時に誰が動くか(キーパーソン決め)
・病院の付き添い
・施設との契約
・金銭の支払い
この“キーパーソン”が曖昧だと、兄弟間のトラブルが起きやすくなります。
2.財産管理のトラブルを防ぐ3つの制度
認知症になると「判断能力がなくなった」と見なされ、
銀行口座が凍結する可能性 があります。
・「親の介護費が親の口座から出せない」
・「施設の入居契約ができない」
こうした問題は、多くの家庭で現実に起きています。
そこで重要なのが、次の3つの制度です。
① 任意後見契約(にんいこうけん)
まだ元気なうちに、
“将来、自分の財産管理を任せる人”を決めておく制度です。
・契約は公正証書
・本人の判断能力が低下したら発動
・財産・契約を代わりに管理できる
最も安心度が高い制度と言えます。
② 家族信託(民事信託)
いま注目されている新しい財産管理の形です。
・親(委託者)が、子(受託者)に財産を「管理・運用」させる
・将来、親が認知症になっても、子が財産管理できる
・自宅を売って資金を作ることも可能
とくに「実家の処分問題」を抱える家庭には有効です。
③ 成年後見制度(せいねんこうけん)
判断能力がなくなってから家庭裁判所が後見人を決める制度。
注意点もあります:
・本人の判断能力が落ちてからでないと使えない
・費用が年間20万円ほどかかる
・財産の使途が厳しく管理される
“最後の手段”と考えておくのが現実的です。
3.今すぐ始められる「今日からの3ステップ」
認知症対策は、
「明日から」ではなく「今日から」できるものばかりです。
STEP① 親の“生活・医療・お金”の現状把握
最低限、次を把握しておきましょう。
・かかりつけ医、飲んでいる薬
・年金額、保険の種類
・銀行口座・証券口座
・生活費と固定費
Day148(かかりつけ医リスト化)にもつながる重要ポイントです。
STEP② 本人の意向を聞きながら、選択肢を整理する
「将来どうしたいか?」を聞くのは気まずいかもしれませんが、
“言ってくれてありがとう”と後で感謝されることがほとんどです。
STEP③ 家族で役割分担して、できるところから動く
親と話す担当
・かかりつけ医・行政との連絡窓口
・金融情報の整理
・制度(家族信託・任意後見)の検討
・兄弟の関係を守るためにも、役割分担は必須です。
4.まとめ:認知症は“備えた家庭ほど、平和になる”
認知症は、避けられない可能性があります。
しかし、怖がる必要はありません。
大事なのは、
「発症してから慌てる」のではなく、
「元気なうちに準備する」こと。
介護は“チーム戦”。
子である私たちが一歩踏み出すことで、
親の生活の質も、家族の関係も大きく守られます。
あなたの家庭が、将来の不安を減らし、安心に包まれますように。
そのための“今からできる一歩”を、ぜひ一緒に進めていきましょう。



