Day155:エンディングノートを書いてもらうきっかけの作り方!

川元伸一

川元伸一

テーマ:親の終活

Day155
◆コラムの動画版YouTubeを、11/24月曜日 18:00より配信開始!
https://youtu.be/1MyxdcDvWyk


「エンディングノートを書いてほしいけど、なかなか話題に出せない」
「言ったら“縁起でもない”と怒られそう…」
そんな悩みを持つ40〜50代はとても多いものです。

しかし実際は、
親本人も『気になっているけど手をつけられない』だけ
というケースがほとんどです。

今日は、スムーズに “書き始めてもらうきっかけ” の作り方をお伝えします。
決して「書かせる」のではなく、自然に「書きたい気持ち」を引き出す方法です。


1|いきなり「書いて」と言うと失敗する理由

多くの家庭でつまずくポイントはここです。
いきなり「エンディングノート書いてよ」と言うと、ほぼ100%拒否されます。

理由はシンプルです。

・死を連想してしまう
・「まだ元気なのに」とプライドが傷つく
・自分で老いを認めたくない
・子どもに迷惑をかけたと思いたくない

つまり、
「自分の価値が下がった」と感じた瞬間に心が閉じてしまう のです。

だからこそ、まず必要なのは
“会話の入口を変えること”
です。


2|最初の一歩は「物の整理」から入る

エンディングノートより何倍も言いやすいきっかけがあります。
それが “モノの整理” です。

例えば…

・「最近片付けの本を読んで、自分も整理しようと思ってるんだよね」
・「写真のデータ化をしようと思って。ついでにお父さんの写真もやっておこうか?」

このような会話から自然に話が進みます。

なぜなら、
モノの整理=今の人生の棚卸し
だからです。

部屋の整理中に、必ずこういったセリフが出てきます。

「これ、誰かに譲ったほうがいいかな?」
「これ残しておこうか悩むな…」

こうした“判断”が積み重なると、
「自分の人生のまとめ」に興味が向き始める のです。

ここで初めてエンディングノートが自然に話題に上がります。


3|親が「書いてみようかな」と思う瞬間を逃さない

親がエンディングノートに意識が向くのは、実はかなり短いです。

きっかけは以下のような瞬間。

・同年代の知人が亡くなった
・自分が入院した
・健康診断で引っかかった
・友人の家族が相続トラブルで揉めていた
・身の回りの整理を始めた
・孫が生まれた・成長した
・実家の片付けをして“物の多さ”を感じた

このタイミングで
「最近、エンディングノートってよく聞くよね…お父さんは興味ある?」
と“一歩引いた問いかけ”をすると心にスッと入りやすいです。

決して押さない。
寄り添うだけ。


4|“親の負担が減る”と伝えると動き出す

エンディングノートは
「家族のために書くもの」
と思われがちですが、実は違います。

本質はこうです。

エンディングノートは「親自身がラクになるためのもの」。

だから呼びかけはこう変えるべきです。

×「私が困るから書いて」

◯「お父さんが入院した時に、スムーズに動けるようにしておこうよ」

×「相続で揉めるから書いて」

◯「お父さんの希望が伝われば、家族も安心できるよ」

親は「迷惑をかけたくない」という気持ちが強いもの。
その気持ちに寄り添う言葉が効果的です。


5|プレゼントを“口実”にする方法が一番スムーズ

会話で誘導する自信がない場合は、
エンディングノートをプレゼントする
というのが非常に自然な方法です。

ただし、ここで大事なポイントがひとつ。

渡すときは必ず「理由」を添える。

例)
「最近、仕事で終活の話を聞くことが増えてね。勉強のために買ったらすごく良かったから、お父さんにもどうかなと思って」

「自分の分を書き始めたら、頭の整理になってスッキリしたよ。良かったら一緒にどう?」

“自分も書いている”というスタンスが最強です。

親は「子どもだけが知らない話」が山ほどあります。
それを思い出した時、「ちょっと書いておこうかな…」と思い始めます。


6|最初から全部書いてもらおうとしない

ここも重要なポイント。

エンディングノートは、
最初から全部書かせようとすると挫折します。

おすすめは、以下の3つだけです。

①かかりつけ医・服用中の薬
②金融機関の一覧(残高は不要)
③緊急連絡先(親戚・兄弟・友人)

この3つは “家族が確実に困るところ”。
書いてもらえると本人も家族も安心度が一気に上がります。


7|まとめ:目的は「書かせること」ではない

今日の結論です。

目的は、親の人生を大切にするきっかけをつくること。

エンディングノートは、そのための“入口”にすぎません。

・強引に言わない
・タイミングを逃さない
・親のプライドを尊重する
・自分も同じ作業をする
・小さなステップから始める

この5つを守るだけで、親の心は自然と開きます。

エンディングノートは
「死の準備」ではありません。

“これからどう生きたいか”を考えるノートです。

そのきっかけを作れるのは、
一番近くで見てきたあなたしかいません。

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川元伸一
専門家

川元伸一(ウェルネス&オンライン起業コンサルタント)

KIS zero株式会社(ケーアイエスゼロ)

45歳以上のウェルネスライフを実現する、健康・起業・終活を支援するコンサルティングを提供。豊富な経営経験に基づくサポートで行動につなげます。運動や食生活、メンタルをテーマにしたオンライン講座も開催。

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