Day134:相続トラブルを防ぐ!親子でできる「財産の見える化」3つのステップ

◆コラムの動画版YouTubeを、11/24月曜日 18:00より配信開始!
https://youtu.be/1MyxdcDvWyk
「エンディングノートを書いてほしいけど、なかなか話題に出せない」
「言ったら“縁起でもない”と怒られそう…」
そんな悩みを持つ40〜50代はとても多いものです。
しかし実際は、
親本人も『気になっているけど手をつけられない』だけ
というケースがほとんどです。
今日は、スムーズに “書き始めてもらうきっかけ” の作り方をお伝えします。
決して「書かせる」のではなく、自然に「書きたい気持ち」を引き出す方法です。
1|いきなり「書いて」と言うと失敗する理由
多くの家庭でつまずくポイントはここです。
いきなり「エンディングノート書いてよ」と言うと、ほぼ100%拒否されます。
理由はシンプルです。
・死を連想してしまう
・「まだ元気なのに」とプライドが傷つく
・自分で老いを認めたくない
・子どもに迷惑をかけたと思いたくない
つまり、
「自分の価値が下がった」と感じた瞬間に心が閉じてしまう のです。
だからこそ、まず必要なのは
“会話の入口を変えること”
です。
2|最初の一歩は「物の整理」から入る
エンディングノートより何倍も言いやすいきっかけがあります。
それが “モノの整理” です。
例えば…
・「最近片付けの本を読んで、自分も整理しようと思ってるんだよね」
・「写真のデータ化をしようと思って。ついでにお父さんの写真もやっておこうか?」
このような会話から自然に話が進みます。
なぜなら、
モノの整理=今の人生の棚卸し
だからです。
部屋の整理中に、必ずこういったセリフが出てきます。
「これ、誰かに譲ったほうがいいかな?」
「これ残しておこうか悩むな…」
こうした“判断”が積み重なると、
「自分の人生のまとめ」に興味が向き始める のです。
ここで初めてエンディングノートが自然に話題に上がります。
3|親が「書いてみようかな」と思う瞬間を逃さない
親がエンディングノートに意識が向くのは、実はかなり短いです。
きっかけは以下のような瞬間。
・同年代の知人が亡くなった
・自分が入院した
・健康診断で引っかかった
・友人の家族が相続トラブルで揉めていた
・身の回りの整理を始めた
・孫が生まれた・成長した
・実家の片付けをして“物の多さ”を感じた
このタイミングで
「最近、エンディングノートってよく聞くよね…お父さんは興味ある?」
と“一歩引いた問いかけ”をすると心にスッと入りやすいです。
決して押さない。
寄り添うだけ。
4|“親の負担が減る”と伝えると動き出す
エンディングノートは
「家族のために書くもの」
と思われがちですが、実は違います。
本質はこうです。
エンディングノートは「親自身がラクになるためのもの」。
だから呼びかけはこう変えるべきです。
×「私が困るから書いて」
↓
◯「お父さんが入院した時に、スムーズに動けるようにしておこうよ」
×「相続で揉めるから書いて」
↓
◯「お父さんの希望が伝われば、家族も安心できるよ」
親は「迷惑をかけたくない」という気持ちが強いもの。
その気持ちに寄り添う言葉が効果的です。
5|プレゼントを“口実”にする方法が一番スムーズ
会話で誘導する自信がない場合は、
エンディングノートをプレゼントする
というのが非常に自然な方法です。
ただし、ここで大事なポイントがひとつ。
渡すときは必ず「理由」を添える。
例)
「最近、仕事で終活の話を聞くことが増えてね。勉強のために買ったらすごく良かったから、お父さんにもどうかなと思って」
「自分の分を書き始めたら、頭の整理になってスッキリしたよ。良かったら一緒にどう?」
“自分も書いている”というスタンスが最強です。
親は「子どもだけが知らない話」が山ほどあります。
それを思い出した時、「ちょっと書いておこうかな…」と思い始めます。
6|最初から全部書いてもらおうとしない
ここも重要なポイント。
エンディングノートは、
最初から全部書かせようとすると挫折します。
おすすめは、以下の3つだけです。
①かかりつけ医・服用中の薬
②金融機関の一覧(残高は不要)
③緊急連絡先(親戚・兄弟・友人)
この3つは “家族が確実に困るところ”。
書いてもらえると本人も家族も安心度が一気に上がります。
7|まとめ:目的は「書かせること」ではない
今日の結論です。
目的は、親の人生を大切にするきっかけをつくること。
エンディングノートは、そのための“入口”にすぎません。
・強引に言わない
・タイミングを逃さない
・親のプライドを尊重する
・自分も同じ作業をする
・小さなステップから始める
この5つを守るだけで、親の心は自然と開きます。
エンディングノートは
「死の準備」ではありません。
“これからどう生きたいか”を考えるノートです。
そのきっかけを作れるのは、
一番近くで見てきたあなたしかいません。



