忙しいイメージのある先生は、今も忙しいのか?
GIGAスクール構想で子どもたち一人ひとりにタブレットが配られているのは皆様ご存知の通りです。
授業でのICT活用も当たり前になってきました。ご家庭でも「うちの子、今日は授業で動画を作ってきた」といった話を聞く方も多いのではないでしょうか。
補助金と予算
ところで、そのGIGAスクール構想では当初、「先生にはタブレットを配らない」と判断した自治体があったことをご存知でしょうか。
なぜなら、「児童生徒の台数分補助金を出す」という国の方針だったため、壊れたときの予備機や先生用のタブレットを揃えようとすると、その分自治体が負担しなければならなかったからです。
子どもは1人1台タブレットを持っているけれど、先生が持っていなければ活用は進みません。インターネットに接続できるノートパソコンも学校には限られた台数しかないことも多く、画面の配置や操作が子どもたちのタブレットと違えば指示も通りにくいことはご理解いただけると思います。
現場でいくら不便を訴えても、「金がない」と言われればそれ以上何も言えなくなります。
教育委員会は予算を削られやすい部署です。理由はまた今後お話しします。
職員室で使っているパソコン
金がない、から続く文脈としてもう予想がついている方も多いでしょうけれど、先生たちが職員室で使っているパソコンも何年も前の古い機種を使っていることが多いのです。起動に数分以上かかり、ワードやエクセルを開くだけでも重たく、ちょっとした資料を作るのにも時間がかかる、ということは度々お聞きします。
一方で、保護者や地域からは「先生もタブレットを使って授業してほしい」「もっとデジタルに慣れてほしい」といった声も聞かれます。けれど、支給された機器が古く、十分な研修の時間も取れない中で、現場の先生たちは試行錯誤を続けています。
予算がないから先生が何とか工夫する
が積もりに積もりすぎて今先生の仕事は大変なことになっています。一つ一つはちょっとしたことでも、それが何十、何百と重なれば大変になるのはお分かりいただけると思います。(例えば、ゴミを捨てる時は分別して、ゴミの袋はそれぞれ違うからそれぞれ違うものに入れて、ゴミを出したらゴミ箱に袋をかけて、ペットボトルの包装ははがして、キャップはここに入れて、毎月第3木曜日に出して、新聞は紙紐でくくって、ホッチキスの付いたチラシは雑誌に分けて、ということを全部一度にやれ、というのは大変な人にとっては大変です。家族にいくら言ってもちゃんとやってくれない! と嘆く方もいらっしゃるでしょう)
ICTの利活用というと、やればいいじゃない、やらない理由がわからない、という話になりがちですが、一人ひとりの先生の努力と工夫がとてもされていることもご理解いただきたいです。子どもたちの未来のために、誰よりも必死で学び、行動しているのは現場の先生たちです。
「先生がもっと工夫すればいい」と求める前に、「先生が安心してICTを活用できる環境が整っているか」を問い直すべき時です。子どもたちにとって本当に良い教育とは、現場の先生たちが余計な負担を強いられず、安心して授業に集中できる状態から始まるのではないでしょうか。