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高齢者 歩行困難

加藤武範

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テーマ:高齢者 介護 問題

先日、ケアマネジャーとして担当している方(92歳女性)の家族さんから電話が入りました。

「午前中に転んだみたいで、夕方から歩けなくなってしまいました。左足の付け根が痛いようです。車いすを借りたいのですが…」
「車いすは手配しますが、歩けない原因を把握した方が良いです。病院受診をしてください。連れて行くのが難しければ、救急車を呼んでください!急に歩けなくなるのは、絶対におかしいです。足の付け根の骨折が疑われます!」

その後、救急車で病院に行き、医師も骨折を疑い、レントゲン、CT、MRIを撮影したそうです。

が、画像所見では異常なし!!!!!
骨折もしていないということで、入院はかなわず、歩けなくなったご本人を自宅に連れ戻ってきました。

翌日、車いすをお持ちし、本人さんにお会いしました。
本人さんはベッドで横になっている状態でした。動かさなければ、痛くない様子です。
本人に声掛けし、左ひざを少し伸ばそうとすると「いたあー!」と今まで聞いたことないような大きな声を出されます。こちらもびっくりです。こんな大きな声、2年以上かかわっていますが、はじめて聞きました。
「こんなに痛がっているのに、骨折してないんですね…でも、痛みの原因が何かあるはずです。もう一度、病院受診をおすすめします。できれば整形外科が良いと思います。大腿骨が折れていなくても、骨盤の骨折もありえます。もしくはひびが入っているとか…痛みの原因が分からないままなのは気持ち悪いですよね?」
その日は、日曜日でしたので、翌日に病院受診を考えてくださることになりました。

次の日、家族さんから電話がありました。
「受診はしなかったのですが、救急搬送された病院に電話・相談しました。整形外科の先生に画像を見てもらったところ、恥骨骨折だということが分かりました。入院してもじっとしておくだけだそうですので、このまま家で見ます」と
救急搬送時は外科の先生が診察したため、恥骨の骨折は分からなかったそうです…

歩けないほど、痛みがある場合は、何か原因があります。大腿骨骨折だけでなく、骨盤(腸骨、座骨、恥骨)骨折や脊椎圧迫骨折もなども念頭におくべきです。

また、ちょっとした段差に高齢者はつまずきやすいです。転倒を防止する環境整備も大切です。

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加藤武範
専門家

加藤武範(ケアマネジャー)

合同会社福寿想

リハビリ病院で医療ソーシャルワーカーをしていた経験から、地域のネットワークとも連携。従来の福祉的な視点に捕らわれない柔軟な発想で、介護を必要としている方やその家族にとって本当に必要な介護を提案します。

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