STEP5 対策を立てる【事例】「包装変更」か「味改善」か―AIと人が導いた解決策

釜剛史

釜剛史

テーマ:AI時代の問題解決メソッド

問題解決の現場では、「どの対策を優先すべきか」で意見が割れることが少なくありません。
今回は食品メーカーで実際にあった「売上が伸びないパン商品」のケースを題材に、AIと人間の協働で導かれた解決策をご紹介します。



ケース概要:「包装」か「味」か

あるパンメーカーで、発売から半年経っても売上が伸びない新商品がありました。
社内では次のように意見が対立していました。

  • 包装変更派:「パッケージが地味で目立たない。陳列棚で埋もれている」
  • 味改善派:「見た目よりも、そもそも味が好みに合っていないのでは」


両方を同時に変える余裕はなく、どちらを優先すべきか判断に迷っていました。

AIによる分析と仮説

AIにPOSデータと顧客アンケートを入力し、分析を依頼しました。

  • 包装に関する気づき:初回購入率は低いが、リピート率は高め
  • 味に関する気づき:試食イベントでの評価は好評だった


AIは「味そのものよりも、購買までの入口で損をしている可能性が高い」と仮説を提示しました。

人間による補完と検証

しかし、現場の担当者は「一部の顧客から『少し辛すぎる』という声もある」と指摘。
そこで追加調査を実施すると、確かに一部顧客層(子ども連れファミリー層)にとっては味のハードルがあることが分かりました。

つまり、真因は「入口(包装)の弱さ」+「一部層に合わない味」という複合要因でした。

導かれた解決策

最終的に、以下の2段階施策が採用されました。
1.短期対策:包装の刷新
 → デザインを一新し、棚での視認性を高める。
2.中期対策:味のバリエーション展開
 → ファミリー層向けに「マイルド版」を追加。
結果として、新規顧客の獲得とリピート購入の両立に成功し、売上は3か月で1.5倍に増加しました。

教訓:AIと人の役割分担

  • AIはデータから「入口の課題」を見抜いた
  • 人間は現場感覚から「一部層の味の問題」を補完した
  • 双方の知見を統合することで、単独では見えなかった複合的な解決策が生まれた



まとめ:AIと人の協働がカギ

  • 対策選択は「どちらか」ではなく「両方の順序づけ」が正解になることがある
  • AIはデータ面での仮説を提示し、人間は現場感覚で補完する
  • この協働こそが、実効性ある解決策を導くプロセスとなる





AI時代の問題解決メソッド(35/50)

次回予告
【コラム】チームでAIを使いこなすコツと落とし穴

AIが示した答えに頼り切るのではなく、人間が意思を持って決断するための視点を考えていきます。
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専門家

釜剛史(イノベーションコンサルタント)

株式会社あくるひ

企業研修、コーチング、技術経営コンサルティングの三つのアプローチでイノベーションを実践的に支援。富士写真フイルムやトヨタ自動車での実体験を基に、「横から目線」でクライアントの愉快創造を活性化します。

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