10月1日より70歳以上被用者該当届を提出しなければならない方の範囲が拡大されました
こんにちは、今日は当事務所に寄せられた御質問より、パート・アルバイト従業員を社会保険に加入させなければならないかについてお話ししたいと思います。
労働日数・労働時間によって加入しなければなりません
時々、以下のような発言をされる事業主の方がいらっしゃいます。
・うちは正社員だけ社会保険に加入させている。保険料の会社負担がもったいないから。
・パート従業員から、社会保険料を給与から引かれたくないので社会保険に加入しないと申し出があった。だから社会保険には加入させていない。合意があるからいいんでしょ。
上記、2つの発言にはどちらにも問題があります。
社会保険というのは一般の生命保険等とは異なり、事業主や従業員の方が任意で加入・未加入を決めることはできません。パート・アルバイト従業員であっても、一定の労働日数・労働時間以上働いている方は社会保険に加入しなければなりません。
どのくらい働いていたら、加入しなければいけないの?
実務上の扱いとして、
①1日または1週の所定労働時間が、同じ仕事をする正社員の所定労働時間のおおむね4分の3以上であること。
②1ヵ月の所定労働日数が、同じ仕事をする正社員の所定労働日数のおおむね4分の3以上であること。
上記①及び②の2つとも満たしている場合には従業員が希望する、しないにかかわらず、社会保険の加入手続きをしなければなりません。
例えば、正社員の労働時間が週40時間、労働日数が月23日の場合ですと、
①労働時間が30時間以上 ②労働日数が18日以上 両方の条件を満たしている場合となります。
あと、注意していただきたいのですが、上記の条件には2つとも「おおむね」という言葉が入っていますので、実際には、残業や遅刻・早退などと合わせて、総合的に判断することとなります。ボーダーライン付近の従業員の方がいて判断に迷った場合には、最寄りの年金事務所に確認を取ることをお勧めいたします。
加入をさせなかった場合のリスクは?
近年、社会保険料の徴収を強化すべく、年金事務所による総合調査が定期的・大々的に行われています。
その際に、本来加入すべき従業員を加入させていなかった場合、2年間さかのぼって保険料を徴収されることになります。
例えば月給10万円の従業員の保険加入を怠っていた場合
10万円×28%×24か月=67万2千円
※過去2年間の社会保険料は、未加入を指摘された労働者の過去2年分の賃金額の28%(原則的には、半分は従業員負担)で計算しています(概算)
が請求されることとなります。
半分は従業員負担となっていますが、従業員に請求しても支払ってくれるケースはまれです。実際のケースですと社会保険に加入することを従業員から辞退していた場合でも、実際の話し合いの段になると、会社が社会保険に加入させてくれなかったと前言を翻すことがほとんどです。こうした事態になると、従業員からの保険料の徴収は絶望的です。
ワンポイントアドバイス
社会保険加入を希望していなかった従業員でも、傷病手当金・出産手当等、健康保険独自の制度を知ると、会社が社会保険に加入させてくれなかったと年金事務所に申告するケースは珍しくありません。そうしたリスクを避けるためにも、適切な保険加入をお願いいたします。
その他、御質問等がございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。
本日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。