マイベストプロ山梨
伊藤龍吾

「日本人の心」を追求する空手指導のプロ

伊藤龍吾(いとうりょうご) / 格闘家

新國際空手拳法道「士衛塾」山梨県支部

コラム

~ 士衛塾空手を通して、伝えたいこと 34 ~

2020年7月8日

テーマ:伝えたいこと

コラムカテゴリ:スクール・習い事



士衛塾山梨の門下生に向けた、私からのメッセージを過去のニュースより転載します。

2020年 4月号 士衛塾山梨ニュースより

■新型コロナウイルスについて~ 「コロナ」になんか負けるな!■
 新型コロナウイルスに関連して、練習の休講や縮小のため、皆様にご迷惑をおかけしております。
終息の目途がわからないものなので、なかなか先の見通しが立てづらいものです。しかしながら、いつまでも停滞している訳にもいきません。出来る対策をとり、安全面に配慮しながら、練習を再開しました。練習は再開しましたが、参加は自由です。各ご家庭の方針に沿ってご参加ください。
 
 マスクがない、消毒薬もない、トイレットペーパーもない、他人のくしゃみや咳が気になる、花粉症やぜんそくの人はコロナを疑われ、感染者が発生した施設は風評被害で大変な状況、患者が陽性と判断された医療機関は閉鎖。出歩くことも許されず、イベントは中止。空手では、施設の貸し出しがストップ、練習は休講になる、目標にして一生懸命に練習してきた大会は、中止や延期、いつになったら普段通りに戻るの?ほんとに何から何まで良くないことだらけな現状です。
 確かに、そのようなマイナスばかりの状況なのです。ところが、空手ではマイナスばかりではない状況が生まれました。LINEで動画を流していますが、普段は時間がなくて教えられない、技の細かい説明や注意点を教えることができるし、動画は、後で繰り返し、見返すこともできます。また、家で練習した基本や型の動画を送ってくれる生徒もいますが、動画をスロー再生したりして、普段見逃してしまうような動きもしっかり見ることができて、とても良いです。
 本当の勉強は先生から教わるのでも、わざわざ勉強時間を保障されてするものではなく、自分で考え、探し、自分で組み立て、行動するものだと思っています。そういう意味で、この休講中、たくさんある時間をどう使うかです。
 
 こういうマイナスの状況に置かれているときに、人の本性が出ると思います。例えば、何だって、何かのせいにして、自分はやるべき事をやらない人。この人は、道場が開放されたら、ちゃんと来る人、来られなくても家で練習している人、見ていないところで努力をする人と、大きく差が出ます。何の差が出るか?それは空手じゃない。人からの信用度と人生の豊かさに差が出る。たかが細菌のコロナウイルスのせいで、今までの全てをムダにするか、試合も延期や中止になり、じっくりと練習する良い機会ととらえ、実行するかどうか。正解はみんな分かっているけど、実行する人はほんの一握り。だから、成功者は一握り。多くは挫折していく。
 
 マイナスの状況の時に、どう振舞うかで、その子の今後の人生の振る舞いが、一定予想できてしまいます。そうならないように、今、この瞬間を一生懸命に!

■大事な自主練■
 指導をしながらみんなと一緒に空手をしている時間は、とても楽しく、素敵な時間を過ごさせていただいています。そんな楽しく毎日を過ごしている私と同じ52歳は、そう多くないと思います。日々感謝です。それと同じく、月曜日と水曜日の一般部フリークラスですが、教える人がいないとき、来ている子たちを見ながらも、ほぼ自主練の時間となります。
 私は、好きな音楽を聴きながら、リズムに合わせてサンドバックを打ち、砂袋やブロック、剣山に拳などを当て部位鍛錬をしています。サンドバックでは長い時間やることで、重心や腰、足の使い方などを身体と対話しながら変化させていきます。一瞬一瞬の練習も良いけれど、長時間やることで身体の変化に気づき「これが良い」という発見ができます。
よく言われる話で1000回蹴ることで、疲れ、力がだんだんと入らなくなり、最後の方はパワーに頼らない、脱力した「良い蹴り」ができるというものです。それは、繰り返しの練習の利点ですね。長い時間をかけて行う練習も上述の通り、利点があります。動くのは自分の身体。つまり、自分の身体ときちんと対話ができるようにすることが大事です。理想や予想ばかりでは、身体は動きません。自分の身体の短所を知ること、長所を知ることが大事です。それが分かるからこそ、自分の身体にフェイントをかけ、騙すことができるのです。最後の力を振り絞ることができるのです。
 自分でメニューを決め、好きな音楽を聴き、その世界や自分「ひとり」の世界に入り、身体と対話し、時間をかけて、好きなことを、繰り返し行える自主練はとても大事な時間でもあります。これも空手道の楽しさでもあります。

■審査会■
 3月14日(土)、午後から山梨県本部道場で、昇級審査会を6名の受験者で行い、緊張感のあるとても良い審査会でした。技術的には問題なく、受験者全員が合格となりました。本当におめでとうございます。審査会は緊張するけれど、ひとつひとつしっかりと階段を上がって、立派な黒帯へと成長してください。
 
 この間、新型コロナウイルスにより、休講を余儀なくされていましたが、受験者のほとんどは、LINEを利用して型や基本の動画を送ってきて、指導していたので、休講で練習ができていないにもかかわらず、ずいぶんと上手になりました。家での自主練の成果ですね。この間、私からもLINEを活用して基本や型などの動画を配信しています。そして受験者以外にも何人も動画を送ってきてくれます。大変ありがたいことです。
 この休みの期間、がっつり休むのか、練習するのか。休めば、帯色に関係なく落ちます。特に上の帯はそれがよーく分かっているはずです。休み明けがとても楽しみです(^^) 落ちると分かっているのに、やらない。何なんですかね。
 やらないことに慣れると、そこから這い上がってくるのは、相当大変です。週に5回来ていた人が、4回に落ちたら、3回に落ちたら、5回には戻れません。戻すには相当な努力が必要です。つまり、頑張る方にベクトルが向いていた人が、一旦反対の楽をする方にベクトルが向いてしまうと急降下するように落ちていきます。そういう人、たくさんいます。特に上の帯。だから私はそれが怖くて自分ではできない。落ちていく人と自分は一緒にはなりたくない。
 
 私が、自主練が大事だよと言っている。それに応えて、頑張って動画を送ってくる人、こっちが言ったことにYesと言って、行動してくれる人。それは可愛いですよ。
生徒 「先生、上手になりたいです。試合に勝ちたいです」。 私 「じゃあ、練習回数を増やそうか。試合にも出てみて。家でこんな練習してみて」。 生徒 「・・・」。これでは無理です。
 勉強に例えると、 塾の先生 「塾に行く回数を増やそうか。実力を試すために試験を受けてみて。家で課題をやってみて」。 生徒 「・・・」。 どんな、実力を兼ね備えた先生でも頭を良くするのは無理です。

 つまり、行動しなくちゃならないのは、先生ではなく「生徒」自身です。

■パキスタンセミナー■
 2月19日出国、22日帰国の日程で、木村最高師範とパキスタン・ラホールに行ってきました。士衛塾パキスタン支部のセミナーのためです。
パキスタンというと、「なんだか危ない国」というイメージがあります。パキスタンの仲間は「私の国は、平和で安全だ」と言います。
 
 ラホールという町の私が見た特徴は、2月の気候は日本の4月とか5月くらい。建物はとても古く、そして綺麗ではない。町が土ぼこりでほこりっぽい。道路には車とバイク、オートリクシャー(三輪の車)などが、ひしめき合い、ぐちゃぐちゃ。車線は無視、常にクラクションが鳴りっぱなし、車線変更もウインカーもつけずにどんどんする。信号機はほぼ無い。あっても無視。テールランプやウインカーは玉切れで、夜は怖い。この国には交通のルールは存在しないのか?いや、法律というルールはあるのだろうが、それぞれ個人のルール(自己主張)が通る。車線変更をされて、クラクションを鳴らしても怒っていない。路駐をして車が通れずにいて待っていても大きなトラブルにはならない。クラクションは自分が「ここにいるよ」という合図?交通トラブルなんて些細なことで怒らない?三日間、車での移動でしたが、事故も見ていない。車は日本車ばかり、トヨタが多い、スズキもある、ホンダもある。バイクはホンダのCD70ばかり。プリウスとかが人気が高いらしい。しかし、日本からの中古ばかり、後ろにの窓には車庫証明やらのシールが貼ってある。勝手な予想だけど、この中に何台も日本から盗まれた車があるのかな?と思ってしまった。私たちの乗ったプリウス。ずっとサイドブレーキのランプやらエンジン警告灯などなどが点灯しっぱなしで、メーターの所がなんだか煌びやか。というか、こんなに警告灯がついていても車は走る。日本車すごい!などと感心している場合でなく、私の乗った後部座席に、なぜ4人も乗る。狭いんですけど。私たちの泊まったホテルは割と高級なホテル。セキュリティもしっかりしている。軍や警察が24時間屋根の上で見張っている。もちろん銃もある。しかし、その高級ホテルに来る。新車の車は「ホンダ シビック」。それが高級車らしい。この国の所得レベルが分かりますね。立派なホテル、部屋の窓の鍵を閉めても5ミリくらい空いているし。とにかく色々とクオリティーは低いです。
 一般庶民でも、良い建物に住んでいるわけではありませんが、貧困層は、土の上でテントを張り、コミュニティーを作り生活。ごみ拾いを仕事とし、生活場所はゴミだらけ。この子たちは、明日を、未来を夢見ることができるのか?生きていくことすら危険にさらされ、命がけ。これで、「平和?」、「安全?」。日本とは安全や平和と言うレベルが違う。この子たちの将来はどうなってしまうのだろう。

 でもね、私からすれば、「可哀そう」な子たちですが、「目が死んでない」のです。なぜかは分かりません。かえって日本の子たちの方が「目が死んでいる」かもしれない。
人間的には日本人は負けています。私たちへのパキスタンの門下生の挨拶、礼儀、一生懸命さ、それは素晴らしいものです。この子たちに比べたら、日本の子は全くできていないに等しい。
コロンビアの時もそうでしたが、私は相当な危機感を持ちました。日本よりもモノやカネで劣っている国の人間力は、日本よりも素晴らしいです。このままだと日本の将来はどうなることやら・・・。だからこそ、武道教育がとても大事になっていると思います。
 
 最後に、私たちの歓迎っぷり(笑)。夜についた空港では、すごい人数の空手着を着た集団で出迎え、首飾りをかけられ、写真撮影の嵐。どんな時も写真撮影の嵐。こんな「じじい」と一緒に撮って何が良いのか?でも、ヒーローになった気分になれた。「ありがとう」。

そして

「日本の子たち!もっと夢を見ようよ!努力しようよ!」 

この記事を書いたプロ

伊藤龍吾

「日本人の心」を追求する空手指導のプロ

伊藤龍吾(新國際空手拳法道「士衛塾」山梨県支部)

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