現役施設長が伝える。介護保険サービスのお金の話VOL7
こんにちはケアホームカナン 馬場田です。
今回も前回に引き続き、現役、施設長が語る。もしあなたの親や大事な人が倒れたら準備する事
~Vol.2 入院についてお話ししていきたいと思います。
●入院の種類と入院期間
私は老人ホームの施設長をする前に、病院に勤務しておりました。
社会福祉士という資格を活かし患者さんが
病院から自宅へスムーズに退院できるように支援する「退院支援」という仕事をしていましたので
今日は、その経験を活かし親が脳卒中で倒れたという想定で、入院・転院の流れをお話していきたいと思います。
皆さんは、病院の「3か月ルール」をご存じでしょうか?
入院生活を送っていた患者が「治療が終了」すると90日以内に
退院を催促されます。といったように
じつは入院には、「種類」「期間」等に、厳密にルールが設定してあります。
そこで今日は、入院の「種類」と「期間」にテーマを絞ってお話ししていきたいと思います。
まず初めに、入院した場合、急性期を専門とする病院で治療を受けます。
急性期は命を救うための治療を行う病院です。
●急性期病院
急性期病院は、救急車で運ばれて最初に向かう病院で、検査や処置、手術を行うこともあり、これらの対応を24時間体制で行う病院が「急性期病院」といい、急患や重症な病気に対する治療や手術を行うこともあります。
※急性期とは、症状が急に現れる時期、病気になり始めの時期を言います。
●回復期リハビリテーション病院
そして、発症後1か月少々して病状が安定したら、「回復期リハビリテーション病院」に転院します。集中的なリハビリを行い、低下した能力を再び獲得する事を目的とする病院です。脳卒中の場合は発症後2か月以内の入院が原則。最大の特徴は、
土日祝日も含めて毎日リハが受けられます。密度の高いリハを受ける事が出来、早期自宅復帰を目指します。
各リハビリ専門職種(理学療法士 作業療法士 言語聴覚士)による個別の集中訓練を受ける事ができます。
入院できる期間は、疾患や傷病名によって日数が決められています
例えば、脳梗塞やの出血などは150日以内、高次機能障害 脳がダメージをうけ
記憶、思考、言語などの機能が低下した状態や脳卒中の重症例は180日以内となっています。
自宅に戻った後も安心して療養できるよう、医療介護サービスを利用するのが
一般的です。
ここで一つポイントがあり。入院期間中、病院は長居させてくれないのが現実です
病院側の立場から申し上げますと診療報酬(病院側が対価としてもらえる報酬)は
入院期間が長引けば段階的に下げられます。
例えば脳梗塞で回復期リハビリテーション病院に入院した場合の入院期間は
150日以内。大腿骨頸部骨折などで入院した場合は、それより短い90日以内です。
一方、最初に入院する事が多い「急性期病院」は、具体的な入院期間が定められて
いるわけではありません。病院側から見ると、入院して最初の2週間は
高い診療報酬がつくのですが、段階的に引き下げられ、30日を超えると加算が無くなる
仕組みになっています。
その為、比較的早期の退院が一般的になっています。
90日を超えると退院・転院となるのは病院側が受け取る報酬が変わらないという問題があります。
また入院期間は最長三か月が目安と、よく聞きますが、これにも理由があります。
診療報酬には「出来高払い」と「包括払い」があります。
●出来高払い
出来高払いは
単純に足し算で支払うスタイルをいいます。
例でいうと、コンビニのレジで、コーヒー1つ、おにぎり1つ、と
足し算で計算していく感じです。
●包括払い
一方包括払いは食べ放題や飲み放題、携帯電話の定額かけ放題プランのような感じで
いくら食べても飲んでも1人3000円、いくらかけても定額3000円といったような料金設定です。
日本の医療費用は出来高払いが基本ですが、入院に関しては包括払いが
主流となっています。投薬や点滴、検査などをどれだけやっても病院の受け取る総額は
あまり変わらないので病院側は長居を歓迎しない背景があります。過剰診療が抑えられる
一方、すぐに退院しないといけない。という厳しい現状を招いている側面もあります。
●今日のおさらい
最後に今日のおさらいです。今日覚えてほしい用語は
急患等に対応する急性期病院と
集中的なリハビリを行い、低下した能力を再び獲得する事を目的とする
回復期リハビリテーション病院です。
こんな感じで、定期的に介護のお役立ち情報も今年は発信していきたいと思いますので
よろしくお願いします。