5年かけて積み重ねられたものは「文化」です!
新型コロナウィルスの蔓延により、講師業界ではセミナーや研修の延期・中止が相次いで大打撃を受けており、こうした中で、オンラインによる講義が注目を集めています。
法律や会計などの知識を与えるだけの内容であればオンラインの講義で十分ですが、コミュニケーション系やモチベーション系の研修のように、双方向でやり取りしながらスキルアップを図る研修では、オンラインの難しさがクローズアップされます。
大人数での受講ほど差が出る講師力
今週、ある企業の若手214名を対象に「ロジカル・コミュニケーション研修」を8:30~17:00の7時間半で実施しました。
緊急事態宣言が出ていますので、受講生はすべて自宅で一日中受講することになりますが、7回のグループワークを繰り返しながら、一人も居眠りなどすることなく、最終ワークでは非常に高いレベルのスピーチが次々に飛び出て、お客様から高い評価をいただきました。
やはり最大の課題となるのは集中力の維持であり、講師の腕の見せ所となります。課題をクリアするポイントは次の3点です。
1)インプット:画面の向こう側の受講生の雰囲気や理解度を把握できるか
2)キープオン:緩急を付けながら、受講生の興味や緊張感を維持できるか
3)アウトプット:的確なアドバイスにより受講生がスキルアップできるか
1)インプット
画面の向こう側の受講生の雰囲気や理解度を把握するためには、『瞬時に優秀な受講生やワークの状態を見極める力』が必要です。
集中力を維持するためにも、そして何よりもスキルアップを果たすためにも、個人ワーク・グループワークが大切ですが、慣れていないと “ただ単にワークをやらせて、何となく盛り上がった” ということになりかねません。
200名もいると30~40グループができることになり、各グループでのワーク実施状況を「サッと見て、パッと見極める力」が講師に求められます。
私は日頃から「ロジカル・ライティング研修」において即興添削をしています。すなわち受講生が持ってくる文章を「サッと読んで、パッと添削する」ことに慣れており、この経験がオンライン研修でも活かされています。
2)キープオン
緩急を付けながら、受講生の興味や緊張感を維持するためには、受講生が現場での話し方や動き方をイメージできることが大切です。
すなわち、「この講師の話を聴いていたら得をするぞ」という気にさせるような、具体的な事例をどれだけ盛り込めるかが勝負の分かれ目です。
またワークのやり方も様々な種類を “引き出し” として持っておくことも重要です。特に、個人ワークとグループワークを交互に織り交ぜながら、個人での集中とグループでの一体感をいかに演出するかがポイントです。
これまで講師としての仕事を30年以上経験してきた中で、事例や引き出しを蓄積してきたことが、ここにきて大きな成果を生み出していると考え、これまでお付き合いしていただいたお客様やお取引先の皆さまに感謝しています。
3)アウトプット
的確なアドバイスにより受講生にスキルアップしていただくためにも、ヤル気を高める具体的な伝え方が不可欠です。
インプットの部分で、ワークにおける各受講生の出来栄えが十分に把握できているからこそ、全員を集めた画面でのアドバイスが輝きます。
「第7グループのAさん、論点が明確で分かりやすかったですね」「第24グループのワークは、結論をもっと明確に打ち出すとさらにGoodです」など、具体的であればあるほど受講生の心と頭脳の両方に響きます。
言うまでもなく、受講生に「そんなに詳しく自分たちのことを見てくれているんだ」「ほめてもらえるよう頑張ろう」という気持ちになってもらえます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
世の中は閉塞的な状況が続いていて、経営面で苦しい局面が多いものの、人材の育成は待ったなしです。
新入社員研修を二年目になって実施して意味があるでしょうか? 営業研修は、営業活動がなかなか進めにくい今こそ、実施時ではないでしょうか?
オンラインという有効な手段がある以上、これを有効活用し、コロナ禍が去った時にスタートダッシュできるよう、従来通りとはいかないまでも、研修の実施をご検討いただければと思います。