クロワッサンをネタに・・・心に響く「言葉がけ」とは(後編)
ある講師が顧客企業の研修担当者から「厳しく指導してください」と言われ、講義中に態度の悪い受講生を大声で怒鳴りつけたのですが、二度と講師として招かれることはありませんでした。
原因は明らかです。その講師は担当者から言われたことをそのまま行動に移す“メッセンジャーボーイ”であり、人様に物事を教えることが生業である講師としては、失格と言わざるを得ません。
講師とは、受講生が能力(リソース=資源)を向上できるリソースフルな状態を作り出すことが仕事と言っても過言ではありません。
その企業、その受講生にとって「厳しい」とはどういうことか・・・緊張感のある雰囲気を醸し出すことなのか、演習の課題を難しく設定することなのか、短時間のディスカッションで解答を導き出させることなのか、すなわち『目的』を明確にすることが肝要です。
そして、その『目的』が受講生にとってリソースフルな状態を作り出すかどうかを、担当者と一緒に検証してから講義に臨むべきなのです。
担当者から「厳しく」「明るく」「平等に」など抽象的な依頼を受けた際は、ぜひ『目的』を明確にするよう心がけてください。