ワンフレーズで部下のやる気を引き出すペップトーク(前編)
ペップトークとは、「ポジティブで、分かりやすく、相手の心情や状況を考えながら、行動指針を明確に伝えるショートスピーチ」であり、上司が部下に指示・命令を出すときや、動機づけをする際に有効な言葉がけです。
したがって、職場でうまく使うと “組織の活性化” や “業績の向上” につながる便利で価値ある手法と言えます。私が特に企業の現場でペップトークをお勧めする理由は、「行動指針を明確に伝える」というコンセプトが、成果を挙げるための行動変容に確実につながるからです。
本質を考えた教育・指導を心がけよう
「責任は私が取るから、思い切ってやれ!」という言葉がけが、一見理想的な上司のひと言に思われがちではあるものの、前編・中編を通して私がなかなか肯定しないのは、
①勢いはあるけれど、行動指針や具体的な方策を示していないこと
②今回は勢いに乗って上手く行くかも知れないけれど、次回以降の教育効果と継続性が見えないこと
といった理由からです。
管理職の大きな職務のひとつに、「責任感をもって仕事にチャレンジする部下を育成すること」があります。そうであれば、日頃から「何のために働いているか(目的意識)」「どこまで任されているか(責任感)」を教え、具体的な行動指針や方策を指示することが肝要です。
【タイプ別の声がけパターン】
ひと口に部下と言ってもさまざまなタイプに分かれるはずです。ここでは、営業や商品開発で見られるような積極果敢にチャレンジしていく『狩猟型』と、人事や総務で見られるようなコツコツと成果を積み上げる『農耕型』に分けて説明します。
大切な場面で言葉がけをする場合、次のように内容が変わります。
・狩猟型
→君なら責任を全うできる(励まし)、○○を強調してプレゼンしよう(行動指針)
・農耕型
→いつも正確な書類作成、ありがとう(感謝)、今回も数字が合っているか確認して提出しよう(行動指針)
狩猟型の社員には、より短期間にモチベーションがアップするように“成功イメージ”を描きやすい声が気が良いでしょう。
農耕型の社員には、いつも努力しているところを見ていることを伝えて“存在承認”をしてあげると、モチベーションが持続しやすくなります。
次回作のコンセプトは、上司の悩みに寄り添うこと
今回の出版は、前作「ビジネス・ペップトーク」が組織全般に当てはまる総論だったのに対し、管理職に的を絞った内容であり、『管理職研修のサブ・テキスト』として、広くご活用いただける内容です。
書き始めが「上司の皆さん!部下との接し方や言葉のかけ方で悩んでいませんか?管理職・監督者・リーダーなど、呼び方は様々ですが、人の上に立つ立場の人間にとって、現在は困難な時代だと言えるでしょう。」となっており、部下の教育・指導に悩んでいる上司に寄り添うことがコンセプトです。
「部下にどう仕事を頼めばいいか分からない」「部下をどう叱ったらいいか分からない」「年上の部下と、どう接したらいいのか分からない」など、大勢の現役の管理職にヒアリングし、多くの方々が共通に悩まれているケースを取り上げ、具体的な言葉がけを紹介し、考え方を解説しています。
ただし、寄り添うからと言って、場当たり的な“慰め”をするつもりはありません。管理職の皆さんに、ワンステップでもツーステップでもスキルアップしてもらえるよう、徹底して具体論を書きました。
管理職が行うべき「マネジメントの本質とは何か」、「本質に沿った言葉がけとは何か」を追究した本になっていますので、10月5日、ぜひご購読ください。
ワンフレーズで部下のやる気を引き出すペップトーク(前編)
ワンフレーズで部下のやる気を引き出すペップトーク(中編)