クロワッサンをネタに・・・心に響く「言葉がけ」とは(後編)
皆さんは下図を見た時に、最初にどこへ目がいきますか?おそらく多くの人が「欠けている部分」に注目したのではないでしょうか。なぜなら、人は「足りている部分」「出来ている部分」よりも、「足りない部分」「出来ていない部分」に注意が行きがちだからです。
しかし、こうした傾向を教育現場や会社に持ち込むとどうなるでしょう。相手の足りない部分ばかりに目が行き、「なぜ、出来ないんだ?」と問い詰めたり、「だからおまえはダメなんだ!」と非難することになりがちです。
あるいは、せっかく長所があるにもかかわらず、「自分は人より劣っているんだ」という思い込みを自分自身に課してしまうことも多々あるでしょう。
能力向上で気を付けたいこと
足りない部分や出来ていない部分に注意が行き過ぎると、人間関係を悪化させたり、能力向上を阻害したりしてしまいます。
こうした状態を「角を矯めて牛を殺す」といいます。すなわち、牛の角がちょっと曲がっているからといって、無理に真っすぐにしようとして押さえつけた結果、殺してしまうことを指します。
人間に置き換えると、指導者が相手の短所を無理に直そうとして自分の考えを押し付け、かえって長所まで潰してしまう状態が考えられます。
まずは、「いま足りている部分」「いま出来ている部分」を評価して、伸ばしていく算段をつけましょう。その上で、あとどの部分を改善したら、より一層ベストなのかを相手と一緒に考えてみてください。
相手の能力を引き出す素敵な表現
メジャーリーグのファンは、ミスをした選手に対して「Don’t mind!」とは言わないそうです。私たちが見習いたい素敵な表現・・・「Nice try!」、出来なかったことに目を向けるより、出来るところまでベストを尽くしたことへの賞賛が、次の「Nice Play」を生むことを知っているのです。
ドンマイ) 失敗して落ち込んでいることに注目
ナイストライ) 出来ている部分(ベストを尽くしたこと)に注目
ぜひ、会社で部下に対して、学校で生徒に対して、家庭でお子さんに対して・・・「いま出来ていること」について、「思い切ってチャレンジしたこと」について、「ナイストライ!」と言ってあげてください。
勇気づける言葉がけ「ペップトーク」
「ナイストライ!」のように、相手や自分を勇気づけ、ベストな状態で仕事や勉強に取り組めるようにする言葉がけを「ペップトーク」と呼びます。
アメリカのプロスポーツ界で生まれたポジティブな言葉がけですが、今では日本のスポーツ界はもちろん、教育界やビジネス界でも広まりつつあります。
もっと長いフレーズのペップトークもありますので、今後、特にビジネスの世界で成果につながるようなペップトークについて、考え方や事例をご紹介します。