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コラム

高層マンションの相続対策広告に見る時価の欠如

分譲マンション

2015年7月3日

最近は高層マンションの購入が相続対策に有効として新聞や雑誌を賑わしている。直近でも完売との記事を目にした。確かに、相続対策としては有効なのだが、問題は実際の価値と販売価格との乖離さが大きいのは何を意味するのかを考えてみたい。
安倍ノミクスの経済再生を邪魔するために高層マンションにケチを付けるわけではない。大きな相続対策効果があると言う事に対する高層マンションの実際の価値について言及されていないからである。
不動産の価値は当然に公共的な機関で決められる代物ではない。一般的には、需給と供給のバランスや収益不動産ならば築年数や利回りなどで決まる。欧州では1600年代に発明されたキャッシュフローから見た現在価値の手法もバブル経済崩壊後に日本でも一般化しているのに、高層マンションだけは別世界の様に喧伝されているのは不思議な感じがする。経済の崩壊はチョットした切っ掛けと言われるので、経済の安定を望む中小企業としては、敢えて高層マンションの誰も触れない実際の価値について言及したい。高層マンションの真実が実体経済を不安に陥れない為である。
不動産は土地+建物で構成される。高層マンションも同様だ。高層マンションが何故相続対策に有効かと言えば、高層に成れば成るほど一戸当たりに付帯する土地持分が少なるからである。勿論、その分建物の工事費が高くなるので、家屋に対する評価は中低層マンションよりは高くなる。
一般的には、分譲マンションは原価に対して30%程度(過去は20%程度)の利益を載せて販売されている。原価とは土地取得費+建設費+経費である。高層マンションも基本的には同様な図式と思われるが、問題は土地取得費が中低層マンションと比べてどうなのかと言う点である。勿論、土地の価値は容積率と比例することは百も承知だが、高層マンションは特別に容積率を緩和を受けて建築されると考えられるので、土地の取得原価は高層マンションの建築許容容積率で取得はしていないとことだ。尤も、入札方式による高値掴みも全くないとは言えないので、土地の取得価格には幅があるとは思われる。
何れにしても多くの大手デベロッパーが高層マンションの建築を推進しているのは旨味があるからであり、相続対策に成りえる程の利益を貪っていると言っても過言ではない。大地震が懸念される首都圏で最初に高層マンション販売をおこなったのは中堅デベロッパーの大京で、埼玉県の川口市に建築したマンションである。高層マンション建設が本格化したのは東京のベイエリア開発に伴ったもので億ションとして人気が高まった。バベルの塔ではないが、人は高い場所から下界を見下ろす優越感を持ちたいものらしい。しかし、東日本大地震で高層マンションは値崩れして一時は購入時の価格の30%以上も下落した物件も現れた。ところが、地震時の対策を考慮した高層マンションを建築し手安全性を強調したことあり、また安倍ミクスと東京オリンピック誘致で不動産価格の上昇も見込まれると考えた富裕層が相続対策のメリットを加わったので需要が急上昇している。
話を戻すと、高層マンションは一坪当たり600万~700万円に上昇しており、1戸当たりの価格は1億2千万~2億1千円となっている。推定だが、1億2千万円クラスで相続税評価額は7千万円前後と見られており、実に5千万円の節税商品となっている。マンション価格が大きい程節税金額は大きくなると思料されるので、富裕層にとっては魅力なのであろう。しかし、常識的に考えて、不動産における相続税評価額と時価の乖離は20%~30%と推定されるので、上記の例にとれば少なくても22%~12%高層マンションは実際の価値より高いと考えられる。高額な高層マンション程差額は大きくなるのは自明である。
さて、実際の価格との乖離より問題なのは、築年数が経過する程高層マンションは修繕費の支出と比例して売却価格が下がると思われるので、中低層マンションとは比較にならないほど資産変動が大きい商品として考える必要があるという事を最後に付け加えたい。

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