3つの構造計画の違いついて
当社は一級建築士事務所として発注者の意向を踏まえて工事入札を取り仕切ることが多い。私の経験から言えば、工事資金が潤沢な時に競争入札で発注し、工事資金の手当てが厳しいときは随意契約で発注した方が結果的には良い施工となる。この様に書くと一斉に逆だろうと反論が来ると思われる。しかし、プロパティマネジメント業務で築浅のビルやマンションを最近見ると施工が杜撰で、この物件が築5年以内の建物かと見間違うほど劣化しているのを見かけるので発注方式に問題があると思うからである。この現象は日本人特有かもしれないが、競争入札で受注した建設会社の現場は感謝の気持ちが少なく、丁寧な工事を行っていないのではないかと疑ってしまうのである。殆どが競争入札の時代に隋契約方式の発注をなぜ話題にするのかと言えば、設計事務所として多くの施工監理を請負い、建設会社の現場担当と接してきた結果であり、更に今の日本人には競争入札は価格の問題としか捉えていないと思われるからである。競争入札は本来は単なる価格の問題だけではない。今は特に、過去の様に実施設計で仕様を全て決めて一様に入札している訳ではないので、建設会社の提案に違いによる価格差も重要となる。競争入札を建設的な提案型として活用すれば、結果的に低い価格の受注となってもそのやり取りが現場担当にも伝わり手抜き工事が少なくなると思われる。一方、工事資金が潤沢でないときには随意契約方式が良いと考えるのは、一つには建設会社の現場担当が意気を感じて丁寧な工事を行ってくれることは勿論だが、発注金額以上の工事内容をもたらしてくれるケースが多いからだ。理由としては今後とも随意契約で仕事が来ることを期待してのことだ。競争入札の場合にはその期待が少ない。尤も、何れの発注の場合でも設計事務所が間に介在することは必要なので、会社の宣伝かと言われる恐れもあるが、競争入札の建物の劣化がひどい外階段を見れば一目瞭然なので疑いを持つ方は確認して頂きたい。安倍ノミクスで不動産価格が上昇しているらしいが、投資案件として建物を診断する場合には、①工事写真の有無、②竣工図面の有無、③竣工図面の内容と建物の施工が同じかどうかなど先ず確認してください。基本が出来ていない建物は買うのは修繕費を多く見た方が無難と思われます。
株式会社東拓企画
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