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関博文(せきはくぶん) / 不動産コンサルタント

有限会社創発コーポレーション

コラム

マンションにおける紛争事例 ~管理組合と区分所有者~ (2)

2011年10月17日 公開 / 2011年11月7日更新

コラムカテゴリ:住宅・建物

みなさん、こんにちは。

本日は、「専有部と共用部の境界」に関しての紛争事例です。


「専有部」といいますと、皆さんはどこまでだと思われるでしょうか?

玄関扉の外側やベランダなどは共用部であり専用部ではないとされています。
目に見える箇所はまだ良いのですが、給排水管など、床下等に設置されている場合は
どうでしょうか。以下の訴訟内容から見てみましょう。


<事実関係>

 排水管の枝管が床スラブを貫通して階下の専有部分の天井裏に設置されている。この枝
管から漏水し、階下の区分所有者Bに損害を与えたため階上の枝管を利用している区分所
有者Aは、排水管の修理費用を出して修理をした。


<訴訟内容>

 その後、区分所有者Aは階下の区分所有者Bと管理組合へ、枝管は共用部分にあたるこ
と及び水漏れによる損害賠償の支払義務のないことの確認を求め、管理組合に対して立替
支出した排水管修理費用の償還を請求しました。


<判例内容>

 この事案については、
 東京高裁(平成9年5月15日判決)、及び東京高裁の上告審判決である最高裁(平成
12年3月21日判決)で、「本件排水管は、専有部分に属さない建物の付属物として、
共用部である」との判決がなされています。
 これは、①排水管が設置された場所(空間)②排水管の機能③排水管に対する点検・清
掃・修理等の管理方法④建物全体の排水との関連などを総合的に考慮しての判決です。


 どうですか??

 自分の不注意で、シンクやお風呂場など水を溢れさせて階下に漏水をさせたなら、当然
責任を負うというケースは解りやすいですよね。
 しかし、皆さんが注意しないといけないのは「スラブと専有部の床との間にある転がし
配管であるケース」です。この判例から読み取ると、この場合は専有部分とみなされ、修
理及び損害賠償の対象になると思われます。

 「専有部分と共用部分の境界」についての考えかたにはいくつかあり、中高層共同住宅
標準管理規約では『境界部分のうち躯体部分は共用部分だが、上塗り部分など躯体部分以
外は専有部に含まれる』とする上塗説を採用しています。

 設備については専有部分の専用に供されるもので、
 
 共用部分にある部分以外のものを → 専有部
 共有部分内にあるものは     → 共用部
                   ※専用に供されるものであっても共用部分内にあるもの

 ですから、枝管は専有部と考えられるのですが、今回の事例は共用部内にある物と解され
ましたので共用部という事になりました。


 ちょっと解りづらいかもしれません。

 
 みなさんも、ご自身のマンションの専用部と共用部の境界は知っておいても良いかもし
れませんね。
 


株式会社東拓企画
http://www.totakukikaku.jp

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