R4年2月28日判決言渡しで㈱シレオ(代表宮上元伸)らの「詐欺が確実に認定された!」
決断や相談が早やければ、手の打ちようもあったのに!
法律に従った裁判所の非情で事務的な進行は待ってくれません!
昨今、入札日が間近かに迫った状態での相談が多くあります。いずれも問題をお一人で抱えて知人友人等の色々な方々から得た断片的つまみ食い知識をもとに素人判断で解釈し解決させようと右往左往されているうちに時間が経過したケースです。
このようなことから競売申立後の裁判所での手順について再認識して頂きたいと思い改めて整理して見ました。
№1債権者から裁判所に対し「不動産競売申立」があって。
№2【①から約10日後】 裁判官は「競売開始決定」をします。 債権者の担保権の実行として競売手続き開始されたことを意味する。
※数日後には謄本に職権で「差押・競売開始決定」と登記されると共に抵当権者以外の債権者に知らせるため「配当終期の公告」(地裁閲覧室)をします。つまり競売物件を専門にしている不動産業者や名簿屋等の業界内で知るところとなる。
№3【②から数週間後】 裁判官は執行官に占有関係等の権利の現況を、評価人に物件の価格評価を命じる。
※つまり開始決定から1ヶ月内に執行官は債務者や居住者から直に聴取したり物件に立入り占有状況を確認したりする。一方評価人は撮影したり物件としての価値を評価する。この調査日については事前に通知がありますが、当日不在であっても勝手に開錠し立入り調査します。
№4【③から約2ヶ月後】 執行官&評価人は調査結果をもとに「現況調査報告書」&「評価書」を作成し裁判官に提出します。
№5【④から約1~2ヶ月後】 これらの書類をもとに裁判官は「物件明細書」を作成する。この明細書には売却基準価額(改正民事執行法後の最低売却価格のこと)・買受可能価額(改正後、基準価額の2割減も認められたので実質の最低売却価格のこと)・入札期間・開札・売却許可等の日程が定められている。
◆この段階で債務者&債権者等の“当事者に限り”これら書類を閲覧できます。つまり一般公開前に今後の方針が検討できるのです。
=◆ここまで凡そ競売開始決定から「4ヶ月」要する=
但し、裁判所が抱えている件数等(混み具合)や事件(裁判所は一つ一つを事件と言う)の難易度によって日程が変動しますので、要注意です。
№6【⑤から約2ヶ月後】 新聞や地裁閲覧室で一般公開が開始される。
№7【⑥から1ヶ月後】 「入札」 1週間行われる。
№8【⑦から1週間後】 「開札」 入札の札を封印し始めてこの日に開札する。
◆開札日の前日が任意売却(競売申立て取下げ)の期限です。つまり競売申立人等との話合いが成立し取下げさせることのできる最終日です。
=◆ここまで凡そ競売開始決定から「6~7ヶ月」です=
つまり競売開始した時点で種々検討し決断すれば、まだ6ヶ月強の時間猶予があるということです。
№9【⑧から数日後】 一番札の落札者に対し「売却許可決定」
№10【⑨から1週間後】 落札者が債務者でないこと、能力者であること等の不服申立期間を経て「売却許可決定の確定」がなされ本当の確定となる。
№11【⑩から数日後】 裁判所は落札者に対し期限1ヶ月の落札金額の「納付書」を送付する。
№12【⑪から1ヶ月以内】 納付後速やかに、裁判所は職権で所有権移転登記
◆売却先が確定し所有権移転登記がなされた後、債務者にとってはどのようなことが起こるのでしょうか!
落札者に対し所有権が移転されますと、落札者は所有権者として面会を求めてきます。つまり引渡し(明渡し)の要求です。
落札者の立場では、「話合いで決める引渡し」と「裁判所への引渡命令申立による強制執行」の2方法があります。
私は過去二度に亘り強制執行の場面に立合ったことがあります。問答無用で執行される場面は気の毒で見るに耐えられません。できることならば落札者との話合いで決めることをお勧めします。落札者にとって引渡命令申立ては裁判所に予納金を積むことになりますので、このお金を交渉で転居費用として負担させることの方が得策だと考えるからです。
競売又は任意売却かの選択(どちらが得策か?)は各債務者の置かれている事情と対象不動産により異なりますが、いずれにしても早い時点でしっかりした弁護士又はコンサルタントに相談されて、
「置かれている立場・債務の内容等の全体像と今後起こであろう事柄や流れを客観的に正しく理解される」
ことが最も大事なことなのです。
参考事例1)時価4500万円と思われる物件に対し売却基準価格(最低売却価格)は2500万円。結果は3100万円でした。この方の場合は仮に時価相当額であってもなお債務超過状態ですので自己破産されることを決断されました。
所見:債務超過には変らないので次の破産申立ては止むを得ない。任意売却と異なり落札者への引渡しについては落札者との交渉余地(転居費用負担&期間等)が残されているので、ギリギリまで住み続けて、その間に次の段取りをされることを進めた。
参考事例2)時価8000万円超と思われる物件に対して裁判所が示した売却基準価格(最低売却価格)は3900万円で債務者は不当に安価であると言われる。何故ならばこの方の債務は2社からの借入総額6000万円、延滞利息を含め計6400万円程なので、もし安価に落とされれば債務が残り,破産を視野に入れざるを得ないことになるからです。結果は基準価格3900万円に対し7200万円で落札され、お釣りが本人に配当される結果で終わり幸運でしたが、本人は8000万円強の価値があると大いにご不満!
所見:債務超過に至っていない担保不動産でしたので、早い時点で決断し任意売却で処理されたならもっと多くのお釣りがあった筈でした。
記:大森孝成
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