R4年2月28日判決言渡しで㈱シレオ(代表宮上元伸)らの「詐欺が確実に認定された!」
手放す覚悟を決めたら「管理費・修繕積立金等を払わない!」
競売や任意売却の場面では、管理費等の滞納があって当り前なのです。住宅ローン等の返済が滞った結果、このような場面になったわけですから。
好き好んで「払わない」のではなく「払えない」のです。この状況を私たちはよく理解する必要があります。長い人生のなかで何が起こるか分りません。「明日は我が身」という言葉がありますように!
私は考えます。
「知る」と「知らない」とでは大違い! この問題の仕組みをよく理解しておいてください。稀ですが周囲の目を気にされ無理無理支払っておられる方も見受けられますが、覚悟を決めたら「払らわないように!」と。
何故ならば、滞納債務は(売却した場合)次の区分所有者に継承される。管理組合は他の債権(例えば住宅ローン)より優先して取れる先取り特権があると法律は定めています。従って基本的には管理組合に迷惑が及ばないからです。(この次の所有者である継承者を法律用語で特定承継人といいます。)
◆では「区分所有法」は?※(「建物の区分所有等に関する法律」 長ったらしいので略して「区分所有法」という)
管理組合は区分所有者全員が構成員(組合員)です。管理費等が滞納となればマンションの維持管理に支障をきたすので、一般的に管理規約で「滞納の管理費等は特定承継人が負担する。」の規定があります。この規定は区分所有法第7条、第8条、第54条が根拠となっています。
この範囲は管理費・修繕積立金のほかに規約や総会で決議されているほぼ全部に及びます。例えば専用使用料(駐車・駐輪・専用庭・・・遅延損害金など)
参考までに次に区分所有法の該当条項の原文をご覧ください。
第7条(先取り特権)
①区分所有者は、共用部分、建物の敷地もしくは共用部分以外の建物の付属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約もしくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取り特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても同様とする。
②前項の先取り特権は、優先権の順序及び効力については、共益費用の先取り特権とみなす。
上記原文は解りにくいので勝手に簡略化し校正してみました。
①区分所有者(実質:管理組合)は、共用部分、建物の敷地等について区分所有者個々人が持っている債権(例えば住宅ローン)又は規約や集会の決議に基づき区分所有者個々人が持っている債権(管理費等の滞納金)について、債務者(当人)の区分所有権等のうえに(他の債権より優先して)先取り特権を持つ。管理組合がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権(管理費等の滞納金)についても先取り特権を持つ。
②前項の先取り特権は、優先権の順序及び効力については、共益費用の先取り特権とみなす。
第8条(特定承継人の責任)
前条の第1項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
(注意)この「も」が曲者です。つまり「特定承継人に対しても」ですので、債務者自身が債務免除されることを意味してません。承継者がその債務を払うと承継者は債務者に対し求償権を有することになるので、売却時に解決つけておく必要があります。
◆では任意売却上ではどのように処理されるのでしょうか?
売買代金の全部が債権者の弁済に当てられるということではない。債権者が認めている経費を差引いた残りが弁済原資となります。
また債権者は原則として管理費等の債権を弁済しないと売却できないわけですので優先的に弁済に応じてくれます。但し、なかには駐車・駐輪・遅延損害金を認めないと言う債権者もいますので要注意です。
なお債権者が売買代金から差引くことを認める経費内訳は次のとおりです。
◇抵当権抹消費用(登録免許税+司法書士報酬)
◇住居表示変更登記費用 *先に転居し住所を移した場合
◇契約書貼付の印紙代 *認めない債権者もあり、その場合他の方法あり
◇引越費用 *限度があります。(見積り又は領収書要)
◇固定資産税等の税金 法的には納期限日と権利設定日の後か先かで決まりますが、差押え登記がある場合は話合いとなります。
◇仲介手数料
以上の通りですが、買主からみれば、抵当権等や管理費等の債務を継承するような物件は相手にしませんので、債権者も協力せざるを得ないわけです。
また管理費に限らず売買契約書の次の条項が絶対条件となりますので、決済時(引渡の日)に、所有権移転と同時に全ての負の権利を抹消&除去する登記や支払を行ないます。
売買契約書の条項
第○条(完全なる所有権の移転)
「売主は引渡しの日までに抵当権、質権、先取り特権、賃借権、差押え等の所有権の完全なる所有権を阻害する一切の法律上或いは事実上の瑕疵があるときはこれを除去抹消し、何ら制限のない完全なる所有権を引渡さなければなりません。」
私として売主さん(債務者)の窮状を真に考えつつ、買主を探索し、また債権者との同意交渉や債権者が複数のときは債権者間の配分調整など落し所を模索し、また一方であらゆる不測の事態も想定しつつ、全部に目を配らねばならないという意外に精神的に疲れる作業であることを知っておいて下さい。
以上 記:大森孝成
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