東洋医学とは何か 37 -明治初期医制導入時期の医療環境-
こんにちは、京王線新宿駅から特急2駅目約15分の調布駅前にある清野鍼灸整骨院の院長清野充典です。当院は、京王線調布駅前で、鍼灸治療、柔道整復治療、瘀血吸圧治療、ヨーガ療法等の東洋医学に基づいた治療を、最新の医学と最先端の医術を基に、診療を行っています。
私は、順天堂大学大学院医学研究科の医史学研究室に在籍しています。東洋医学について長年研究をしてまいりましたので、東洋医学についてコラムを書いています。
明治7年(1874年)8月18日に医師制度(医制)が誕生してドイツ医学中心の医学・医療に変わりました。江戸時代まで鍼灸治療、薬草治療、整骨治療、按摩治療等の医療は「本道(ほんどう)」と呼ばれていましたが、国の中心となる医療ではなくなったことから、別称として「漢方」と呼ばれるようになりました。明治17年(1884年)1月1日に行われた第1回医術開業試験以降、医師国家試験には漢方に関連した問題が出題されないことから、試験に合格することを目的とした医師たちは漢方を学ぼうとしなくなったため、明治20年(1887年)以降、漢方医学は大きく衰退しました。その後、漢方の復興に関する活動が実り、明治44年(1911年)8月14日には「鍼術灸術営業取締規則」と「按摩術営業取締規則」が制定され、漢方の一つである鍼灸術や按摩術(あん摩)や徒手整復術(柔道整復術)は、正式に国家の医療として復活しました。鍼灸師や按摩師には、医師と同様に西洋医学を基本とした試験に合格または学校もしくは講習所を卒業して免許鑑札を受けることが課せられました。
明治17年から明治44年までの間、按摩術の営業は認められなかったため、按摩師の中では、徒手で行う手技を「指圧」と名称を変えて生業を維持しようとした人が出て来ました。法制化された時、按摩師は甲類と乙類に分けられました。乙類は視覚障害者に限られ簡単な試験にするか地方の状況により当分の間無試験となったことで、「指圧」と称して行っていた人との間に立場の違いや施術に対する基本理念が次第に乖離し始めたと考えられます。同時に、「指圧」以外に様々な療法が生まれ、大正4年(1915年)頃にはその数が著しく増加しました。
大正3年(1914年)に刊行された『比較研究 七大健康法』には、仁木博士腹式呼吸法、岡田式静坐法、藤田式息心調和法、裸仙人強健法(岩佐珍儀)、坐禅健康法(白隠)高野式抵抗養生法(高野大吉)、川合式強健術(川合春充)が取り上げられています。大正4年(1915年)に西川光次郎が著した『最新健康法全書』には、水治療法、日光療法、電気療法、オステオパシー、心理療法、道徳療法、心理療法等が紹介されています。大正6年(1917年)に加藤美倫が著した『国民日常 健康法大観』では、健康法を呼吸・筋骨・食物・皮膚の視点で分類しています。新たにベークマン式強肺術、鉄亜鈴体力養成法、永井式家庭体操(永井道明)、寺田式二十分間強健法(寺田勇吉)、銀月式強健法(伊藤銀月)、石塚式食養法、(村井)弦齋氏標準食養法、過食療法、断食療法等があげています。加藤美倫は大正7年(1918年)に刊行した『比較研究 廿大健康法』の中で、新たに日光浴、冷水浴、冷水摩擦、海水浴、深呼吸をあげています。同年、白井規矩郎は『心身摂養 代表的健康法』で40種ほど紹介しています。健康法や療法が、一気に増加しています。大正8年(1919年)には『健康法辞典』が刊行されました。当初7つだった健康法が、20種、40種となり辞書が出来るほど増加したわけです。
このような背景を受け、大正8年(1919年)に徳島県知事から当時の管轄であった内務省に、「電気療法」の取り締まりについて照会が行われました。内務省は、「電気療法は「未(いま)ダ医業ノ体(てい)ヲ為(な)サ」ないから医師法に抵触しない」と返答した後、「医療類似行為者ノ取締ニ関シテハ目下詮議中」と回答します。明治17年(1884年)から大正8年(1919年)まで約35年の間に生まれた健康法や療法は、初めて「医療類似行為」という名称でくくられることになります。
昭和4年(1929年)には、和歌山県知事が内務省に対し、電気治療及び温熱療法の取締について問い合わせをしました。内務省は、各府県に取締を任せる回答をしました。この回答を受け、東京府は昭和5年(1930年)に「療術行為ニ関スル取締規則」を定めました。
ここで、初めて「療術行為」という辞(ことば)が生まれました。
江戸期まで、本道の一つであった「按摩」という手技療法は、漢方の衰退と共に新たな療法が誕生し、明治期になり「指圧」、大正期に「医療類似行為」、昭和期に「療術行為」という新たな名称や法律用語が生まれました。この3つの名称は、昭和20年(1945年)8月15日の終戦後、「医業類似行為」という名称に統一されます。
(つづく)
東洋医学・東洋医療に関して、すぐに詳細をお知りになりたい方は、清野鍼灸整骨院ホームページ「東洋医学の辞書サイト」やブログをご覧頂きたく思います。「アーユルベーダ」の一つであるヨーガについては、「清野充典の東洋医学ひとりごと」のブログに掲載しています。
清野鍼灸整骨院HP http://seino-1987.jp/
清野充典の東洋医学ひとりごと https://seino1987.tamaliver.jp/c19872.html
平成31年4月5日(金)
東京・調布 清野鍼灸整骨院
院長 清野充典 記
【東京・調布 清野鍼灸整骨院】
院長:清野充典 中国学修士・鍼灸学士・社会福祉学士
はり師 きゅう師 柔道整復師 社会福祉士 精神保健福祉士 介護福祉士
開設記念日 1987年(昭和62年)2月2日(月)
場所:東京都調布市布田1-45-1 CIELOビル3階
(京王線調布駅東口北側目の前 新宿駅より特急15分2駅目)
3階総合受付
外来専門診療室
鍼灸総合治療室・整骨接骨治療室
鍼灸内科 骨折
鍼灸外科 脱臼
鍼灸整形外科 捻挫
鍼灸婦人科 打撲
鍼灸小児科 挫傷
鍼灸心療内科 スポーツ外傷
鍼灸精神科
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受付時間:平日午前9:00~12:00
午後3:00~ 7:00
木曜午前 ヨーガ教室
午後1:30~5:30
土曜午前9:00~12:00
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休診日:木曜午前・日曜・祝日
電話番号:042-481-3770
【東京・府中 清野鍼灸整骨院 府中センター】
開設記念日 1991年(平成3年)4月6日(土)
場所:東京都府中市八幡町3-3-5 大久保ビル1階
(京王線東府中駅より徒歩3分 旧甲州街道沿い)
院長:吉田卓司 鍼灸学士
はり師 きゅう師 柔道整復師
受付時間:平日午前9:00~12:00
午後3:00~7:00
土曜午前9:00~12:00
午後3:00~6:00
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【清野治療所創業記念日】 1946年(昭和21年)10月5日(土)創業73年目