「公認心理師の職責」の柱と 職業倫理とは
桜が満開できれいですね。新年度を迎えて、人生や環境に大きな変化のある方も多いのではないでしょうか。特に変化がないとしても、新入生のつもりで、何か新しいことを学んでみるのはいかがですか?
たとえば「今日のメンタルヘルス(‘15)」放送大学石丸昌彦教授第1回では、日本の精神医療の歴史が学べました。精神障害に関する最初の法律「精神病者監護法」は、治療でなく社会に迷惑をかけないよう監督する責任を家族に課して、座敷や小屋に監禁するもので、ドイツで科学的人道的精神医学を学んだ日本の精神医学の創立者呉秀三氏は「精神疾患をもって生まれた不幸に加え、この国に生まれた不幸」と非人道的扱いを嘆いたそうです。残念ながら、世界と比べて日本の精神医療や心理の領域に対する見方は、いまだに偏見や先入観が根強く、消極的否定的な傾向や意識の遅れがみられるのが現状です。おそらく恥の文化や、怪しげな内容も含む玉石混淆の情報や、未知の分野に対する不安もあるかと思います。
敗戦後はGHQ改革の中1950年「精神衛生法」を制定、精神病院の多くが民間で、強制入院の手続きなど社会防衛が色濃く1965年改正、1988年精神障害者の非人道的扱いが国際的非難を浴びて「精神保健法」を制定し、1995年「精神保健福祉法」で自立と社会経済活動参加へ。2005年「障害者自立支援法」から「障害者雇用促進法改正」を経て2016年「障害者差別解消法」と、閉鎖的扱いから開放的扱いに変わり、病院医療から地域医療へと流れも変わりつつあります。
誰もがストレスを抱える中、身近なメンタル不調や問題行動を見分け未然に防ぎ対応を誤らないためにも、セルフケアや障害、疾患の正しい医学・心理学的知識や理解は専門家でなくても必要な時代ですね。
意外にも日本のメンタルヘルス有病率は米国の26.4%に比べ、8.8%と低い数字です。これは専門施設やスタッフの量の不足に加え、アメリカが医療資源の活用に積極的なのに対し、日本は受診することに心理的抵抗が大きいので、実際の有病率はもっと高いといわれます。さらに疾病群別DALY値のデータからは、脳血管障害が6.8%、うつ病が6.4%、認知症が5.4%、精神障害が19%と、数年前トップのがん疾患18.5%をわずか上回って、今や精神障害、精神疾患は日本の最大の健康問題のひとつになっています。それで、正しい知識に導く心理教育がメンタル不調の予防に重要不可欠と考え、コラムなど書いています。
『 次の日のことを決して思い煩ってはなりません。次の日には次の日の思い煩いがあるのです。一日の悪いことはその日だけで十分です。 』 - マタイによる福音書 6:34 -
もし相談に心理的抵抗があるなら、まず手始めに聖書を読んだり学んでみるのも役立つかもしれません。
『 聖書全体は神の霊感を受けたもので、教え、戒め、物事を正し、義にそって訓育するのに有益です。それは、神の人が十分な能力を備え、あらゆる良い業に対して全く整えられた者となるためです。 』-テモテへの第二の手紙 3:16.17-
鍵を握るといわれる管理監督者や人事担当者はじめ、人と関わるすべてのみなさまが心理教育を含め、ふさわしいストレス管理や対処でよい環境に調整し、心身の不調を防いで健やかに暮らせますように。