プライベートクレジット、解約リクエストも解約できない? ブラックロックでも

安東隆司

安東隆司

テーマ:あまり報道されないニュース

プライベートクレジットで投資家の*解約が増加し、解約制限される事象が発生しています。
(注* 本稿では記事中で一部、償還請求を解約と表記します)

ブラックロックが運用する260億ドル規模の「HPSコーポレート・レンディング・ファンド」は、業界でも有数の非上場ビジネス開発会社(BDC)の一つ。6日の声明によると、株主が保有株の9.3% の買い戻しを求めたが、運用側は上限の5%までにとどめた。ブルームバーグの試算によれば、本来の対象株式の総額は約12億ドル相当だが、投資家が受け取れるのは昨年末時点で同ファンドが保有していた約6億2000万ドルにとどまる見通しだ。

出所:Bloomberg 2026/03/07 『ブラックロック、ノンバンク融資ファンドで解約に上限-償還請求が急増』

プライベートクレジットはそもそも換金性が見込めない投資対象

2025年後半から、大型の破綻が発生しました。また「SaaSの死」「原油価格上昇による景気悪化懸念」などの悪材料も加わり2026年3月は、リスクオフ相場を迎えています。

投資家から資金を集め、信用度の低い企業も含めて投資を行う、プライベートクレジットに対する懸念がさらに増加しています。

ファンドを運営する上では、大量の解約は運用者泣かせの事象です。
解約請求に対応するため資金化を手配する必要があります。
本来では売りたくない優良な銘柄も、資金化に対応するために売却せざるを得ないことがあるからです。
 しかも、そもそも換金性に乏しい信用度の低い融資に資金投資をしているプライベートクレジットは、どのように換金を行うのでしょうか?
筆者はその業界に在籍したことが無いのですが、換金が難航するであろうことは想像できます。
そもそも、換金性の乏しい資産を対象とする投資商品なのです。

ブルーアウルでは解約制限で先行

2026/02/18、米ブルー・アウル・キャピタルのプライベートクレジットファンド1本について、解約制限がありました。
今回、資産運用大手のブラックロックのプライベートクレジットファンドにも解約申込が発生しています。
その背景は不良債権の発生です。

ブラックロックが評価ゼロに。3か月で100がゼロ評価に変化

世界最大の資産運用会社である、ブラックロックもプライベートクレジット部門を持ち、その融資対象の評価を引き下げていました。

3カ月前に満額評価していた法人向け融資債権を全額償却した。
同社は昨年11月にも、別のローン債権で価値をゼロに引き下げる減損処理を行っている。

ブラックロックTCPキャピタルは先週、10-12月(第4四半期)の事業報告で、約2500万ドル(約40億円)のインフィニート融資の価値をゼロに引き下げたことを明らかにした。

ブラックロックは1月下旬、同社のノンバンク融資ファンドが純資産価値を19%引き下げる準備を進めていることを開示し、より広範なローン損失を示唆していた。

出所:Bloomberg 2026/03/06 『ブラックロック、またプライベート融資で全額償却-満額がゼロに』

プライベートクレジット部門の商品はこのように不振事例が現れています。
 銀行が貸し出しをしないような、いわゆる信用度が低い会社にも貸し付ける。
そのお金は投資家から集める。 これがプライベートクレジットなのです。

セールスパーソンは不都合な真実を、わざわざ語らない

 プライベートクレジットの、米国での解約停止は最近の話ではないのです。
しかし、情報に疎い日本人の多くがその事実を知らずに投資をしてしまいました。
全てのプライベートクレジットのファンドで不芳事例が起こっているわけではないでしょう。
しかし、リスクオフ局面で投資を解約したいときに解約できない側面を多く持つことは、ほとんどのプライベートクレジットに共通するものと言えるでしょう。

販売者は、わざわざセールスしにくくなる、「不都合な真実」を述べないのです。
 また、メディアも広告主に忖度して悪いニュースを積極的に伝えることを期待しにくいのです。

リスクをわかった上で、高いリターンを期待して投資したのなら、仕方がないでしょう。
しかし情報弱者が販売員のセールスに乗って投資をし、結果的に失敗してしまうのは、気の毒だと思うのです。

なお、あなたがアドバイザーだと思って取引している人のほとんどは販売者です。
そして運用の経験もなく、セールスしている商品のリスクを深く理解しているとは言えない場合が多いと思います。


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「あまり報道されないニュース」として記事の執筆をし続けてきましたが、大きな損失が出るタイミングで「ヤバいニュース」として報道されるようになってきます。

筆者のプライベートクレジットへの警鐘は2025年6月から特集をしています。
過去「プライベートクレジットに投資する前に知っておくべきことシリーズの特集は下記リンクから参照可能です。

(1)サブプライム構造と同じか?
(2)その会社の格付を信用して大丈夫?
(3)損切り実施の動きも
(4)米国では逆風か?
(5)人気は本当なのか?

米金融界「ゴキブリ」論争? (1) プライベート・バンカー・
米金融界「ゴキブリ」論争?(2)、融資対象不動産が別事業体に
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解約停止になったプライベートクレジット!情弱が被害に遭う…
自爆補填!? 世界最大のプライベートクレジット、Bストーン…

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※ 特定の会社に対する攻撃や悪意のアンチコラムなどではありません。
  実際に発生している事柄の報道を引用しつつお伝えしました。
※ 特定の銘柄の分析や推奨などではありません。

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安東隆司
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安東隆司(投資顧問)

おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN)

富裕層の資産の管理や運用、承継などを行う。売買手数料0などお客様と利益相反の少ないサービスを追求。また、海外ETFを中心とした資産形成の知識・経験が豊富。テーラーメードの投資助言を大切にしている。

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