解約停止になったプライベートクレジット!情弱が被害に遭う。リーマンショックとの相似も

安東隆司

安東隆司

テーマ:あまり報道されないニュース

ついにプライベートクレジットファンドで解約停止が発生しました。
資金を引き揚げたくても、できない状態になったということです。
これは敗戦処理と考えるべきです。
元本割れとなる覚悟をしておくべきでしょう。
 

ブルー・アウルがファンド解約停止

オルタナティブ資産運用会社の米ブルー・アウル・キャピタルは、個人投資家向けのプライベートクレジットファンド1本について、解約を制限すると発表した。

18日の発表によると、ブルー・アウル・キャピタル・コープII(OBDC II)について、これまで可能だった四半期ごとの換金請求を今後は受け付けず、ローンの返済や資産売却などで得た資金を定期的に分配することで資本を返還していく。

(ブルー・アウルの共同創業者であるクレイグ・パッカー氏)同氏はさらに、年内にOBDC IIが投資家資本の半分を返還できる可能性があると述べ、この段階で投資家に資金を返還する戦略的取引を考えることは常に想定されていたと説明。「返済資金や利益、追加的な資産売却を通じて、資本を引き続き返還していく」と続けた。

出所 Bloomberg 2026年2月19日 at 19:59 JST 更新日時:2026年2月20日 at 4:12 JST 『プライベートクレジットに激震、ブルーアウルが一部ファンド解約停止』

今回のこの騒動は、「パリバ・ショック」を想起させる出来事です。少々歴史を振り返ってみましょう。

リーマンショック前のBNPパリバ・ショックでは何が起こったか

2007年、フランスの大手銀行であるBNPパリバのファンドが解約停止になりました。
これが金融危機(日本でいうリーマンショック)の引き金の一つの事件でした。
解約停止という事象は、解約が相次いで解約資金を手当てできない時(またはその恐れがある時)に起こります。
次々にヘッジファンドなどの解約が相次いで出来なくなり、換金できないファンドが続出しました。

レバレッジ運用のツケ

金融機関から証券を担保に借入をし(レバレッジ)、運用額を増やしていた投資家は凍り付きました。
それまでファンド100に対して、例えば60%を担保として見るスタンスであったものが、いきなり担保掛目が30%や0%になる事象が発生したのです。
ヘッジファンド投資をしていた投資家は、解約できないファンドを塩漬け状態で持つことを強いられました。
そして、サブプライム関連商品は「紙くず」と化していくのです。

余力がない場合は強制決済

担保掛目が消失すると、追加で担保を出す必要が生じた投資家が発生します(レバレッジ利用者)。
追加する資金があれば良いのでしょうが、イケイケで借入を膨らませて、さらに資産を増やしたいマネーゲームの虜になった投資家には悲惨な未来しかありませんでした。
金融機関は慈善事業ではありません。更なる下落のリスクを取れないため、担保の増額や資金の回収に走ることになります。
約定に基づき、強制的に解約して返済に充当するような場合が頻発しました。
このタイミングの強制売却は痛手です。100のものが30や10という価格で、無理やり売られてしまうのです。
その後、10年単位の長期で見れば、「最悪のタイミングで損失計上」となったことが見て取れます。
しかし、金融機関は10年後の復活シナリオについて冷淡です。
担保が足りなくなれば、強制売却で返済に充てることは、レバレッジ利用者は当然に認識すべきリスクなのです。
身の丈をはるかに超えた、レバレッジ利用者は数億円を失いました。
プライベートバンカーがそばにいても、「イケイケ・プライベートバンカー」だった場合は、投資家は億円単位の損失を被る事態に陥ったのです。
(余談ですが、イケイケのバンカーの顧客が資産を失い、バンカーの収益達成が難しくなり、日本を脱出したバンカーが数多く存在しました)
ヘッジファンドやハイイールド、サブプライムといった、一見すると「オイシイ」商品への投資を行った投資家は損失を被ったのです。

流動性が大事

換金ができることを流動性と言います。
パリバ・ショックでヘッジファンドに流動性が乏しいことが露見しました。

一方でこれを機会にETFが爆発的に成長するきっかけにもなりました。
リーマンショック時にはたくさんの金融商品が換金できないという事態に陥りました。
 しかし、ETFは市場で取引をされていたため、(価格は下落したものの)売却できる状態でした。
また、担保の掛目目減りも限定的だったのです。
 高い運用コストで、スターファンドマネージャーを信じて運用するヘッジファンドが運用成績が不芳。さらには担保掛目も減少し、換金もできない。
ETFはこんな相場でも流動性や透明性、そして高い信頼で担保掛目の下落も限定的だったものが多く存在したのです。

情弱が被害に遭う。リーマンショック未経験者は大丈夫か?

「情弱(じょうじゃく)」という言葉があります。「情報弱者」のことです。
知っていれば、損しない事柄が世の中には溢れています。
一方で情報弱者は、知らないので損する道を選んでしまう場合が往々にしてあります。

情弱は販売者からすると「カモ」

情弱は販売者にとっては良いカモです。
販売者の「これが最近流行っている」というセールストークに乗せられ、わかっていないのに投資をする人が何と多いことか。
 プライベートクレジットも、米国での解約停止は最近の話ではないのです。
しかし、情報にうとい日本人の多くがその事実を知らずに投資をしています。
販売者は、わざわざセールスしにくくなる、「不都合な真実」を述べないのです。
 また、メディアも広告主に忖度して悪いニュースを積極的に伝えることを期待しにくいのです。

リスクをわかった上で、高いリターンを期待して投資したのなら、仕方がないでしょう。
しかし情弱が販売員のセールスに乗って投資をし、結果的に失敗してしまうのは、気の毒だと思うのです。

なお、あなたがアドバイザーだと思って取引している人のほとんどは販売者です。
そして運用の経験もなく、セールスしている商品のリスクを深く理解しているとは言えない場合が多いと思います。


「あまり報道されないニュース」として記事の執筆をし続けてきましたが、大きな損失が出るタイミングで「ヤバいニュース」として報道されるようになってきます。

筆者のプライベートクレジットへの警鐘は2025年6月から特集をしています。
過去「プライベートクレジットに投資する前に知っておくべきことシリーズの特集は下記リンクから参照可能です。

(1)サブプライム構造と同じか?
(2)その会社の格付を信用して大丈夫?
(3)損切り実施の動きも
(4)米国では逆風か?
(5)人気は本当なのか?

米金融界「ゴキブリ」論争? (1) プライベート・バンカー・
米金融界「ゴキブリ」論争?(2)、融資対象不動産が別事業体に
プライベートクレジット、デフォルト率急上昇の可能性が…

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※ 特定の会社に対する攻撃や悪意のアンチコラムなどではありません。
  実際に発生している事柄を報道を引用しつつお伝えしました。
※ 特定の銘柄の分析や推奨などではありません。

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安東隆司
専門家

安東隆司(投資顧問)

おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN)

富裕層の資産の管理や運用、承継などを行う。売買手数料0などお客様と利益相反の少ないサービスを追求。また、海外ETFを中心とした資産形成の知識・経験が豊富。テーラーメードの投資助言を大切にしている。

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