長生きリスクから守ってくれるセーフティーネット、公的年金!その仕組みと有効性って? 投資初心者が知らなかった資産運用
(RIA JAPAN広報部記述)
このシリーズは、4年以上RIA JAPANのコラムを読んだ投資初心者に依頼して、「なるほど!と感じたポイント」や「投資を始める前に知っておきたい!」と感じた内容について執筆いただきます。
投資初心者さんの執筆記事は第191回目になります。
今回はトルコリラ建ての債券について執筆いただきました。
誤解が無いように一部表現を校正した箇所があります(*)は編集部校正。
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利回りが20%と書かれていたら「これなら儲かる!」と思ってしまうかもしれません。
でも、世の中はそんなに甘くありません。
支払いコストがかかれば、20%なんて軽く飛んでいくかもしれないからです。
外貨建ての新興国債券投資では現実に起こりえることなんです。
利回り20%超という魅力?
「利回り20%以上」
そんなのあるなら見てみたいという人もいっぱいいるのではないでしょうか。
すごいですよね。これが実際にトルコ・リラ債券で販売されている一例です。
*トルコリラ建ゼロクーポン債の利回り年23.876%記載(2026/1/27時点)
「こんなに儲かるなら、両替手数料があってもプラスが大きい!」
そう思うのも無理はありません。
ちゃんと計算していないからこそ、安心してしまうわけです。
そこでコストがどのくらいなのか、実際に計算してみましょう。
100万円を投資した場合のシミュレーション
このトルコリラ建て債券に仮に100万円を投資したらどうなるのか、順を追ってシミュレーションしてみましょう。
ステップ1:購入時の為替スプレッド(行き)
まず、日本円をトルコリラに両替する必要があります。
この証券会社(A社)の場合、2026年1月27日時点で、1トルコリラの基準レートは*約3.6円です。
(*厳密には3.585円だが、計算をわかりやすくするため、本記事では3.6円で計算)
A社の買付時の為替スプレッドは0.25円です。
・基準レート:3.6円 ・買付スプレッド:+0.25円
・A社の実際の購入レート:3.85円
【100万円で購入できるトルコリラ】
・スプレッドなしの場合:100万円 ÷ 3.6円 = 約277,778トルコリラ
・実際(スプレッドあり):100万円 ÷ 3.85円 = 約259,740トルコリラ
差額は約18,038トルコリラで、円換算すると約6.5万円のコストです。
これは投資額100万円に対して約6.5%の為替スプレッドになります。
ステップ2:約6年4ヶ月後の償還(帰り)
満期を迎えると、ゼロクーポン債はトルコリラ額面の100%で償還されます。
日本円100万円分購入時は約26万トルコリラでしたが、
償還時には約99万トルコリラ*を受け取れます。
これがトルコリラベースでの利益です。
(*実際の購入額は259,740トルコリラ、償還時に受け取れる額面は989,000トルコリラ。額面26.247が100で償還の前提)
仮に日本円に戻す場合には、再び為替スプレッドがかかります。
償還時の為替スプレッドは0.5円です。
仮に為替レートが購入時と同じ3.6円だった場合
・基準レート:3.6円 ・償還時スプレッド:-0.5円
・実際の円転レート:3.1円
【989,000トルコリラを円転した場合】
・スプレッドなしの場合:989,000トルコリラ × 3.6円 = 約356万円
・実際(スプレッドあり):989,000トルコリラ × 3.1円 = 約307万円
差額は約49万円で、これは受取額356万円に対して約13.8%の為替スプレッドになります。
往復の為替スプレッド合計
・行き(買付時):約6.5%
・帰り(償還時):約13.8%
・合計:約20.3%
表面利回りが23,875%あっても、為替スプレッドだけで約20%も目減りしてしまうのです。
ステップ3:税金も忘れてはいけない
さらに重要なのが税金です。
外貨建て債券の償還差益は譲渡所得として課税され、
円ベースの利益に対して20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかります。
【100万円投資した場合の税金計算】
A:投資額:100万円
B:償還時円換算額(スプレッド適用後):約307万円
C:税引き前円ベースの利益:約207万円 (B-A:約307万円ー100万円)
D:税金:C×20.315%
約207万円 × 20.315% = 約42万円
E:実際の手取り:B-D
約265万円(約307万円-約42万円)
F:実際の利益:E-A
約265万円ー100万円=約165万円
税引前は207万円の利益でしたが、税金42万円を引かれると実際の手取りは165万円の利益になります。
為替スプレッドと税金を差し引くと、表面利回り23.876%は実質年利回り約16%に下がってしまいます。
ただし、これは為替が全く変動しなかった前提での話です。
変動しやすい新興国為替 過去の暴落に注意
しかし、最大のリスクは為替の変動です。 新興国の相場の変動は読みにくいうえに、水準が大きく揺れ動くのです。
トルコリラの為替推移 約7年で82.7%暴落
実際のトルコリラの為替推移を見てみましょう。
・2018年12月28日 20.97円
・2024年12月27日 4.51円
・2026年1月16日 3.63円
*TTM(仲値)、三菱UFJリサーチ&コンサルティングより
つまり2018年末に20.97円でトルコリラを購入していた場合、
2026年1月16日には3.63円まで下落しており、為替の下落率は▼(マイナス)82.7%にもなります。
【計算式】
下落率 = (3.63円 - 20.97円) ÷ 20.97円 × 100 = -82.7%
仮に100万円分のトルコリラを2018年末に購入していた場合、
運用せず、為替変動だけで100万円が約17.3万円まで目減りしてしまう計算です。
表面利率が20%や30%近くあったとしても、
為替の下落の影響で約80%もの損失になってしまう可能性があるのです。
為替次第で元本割れの可能性も
それでは、償還時の為替レートによってそれぞれどう変わるかシミュレーションしてみましょう。
ケース1:為替が現状維持(約3.6円)の場合
・投資額:100万円
・償還時円換算額(税引前):約307万円
・円ベースの利益:約207万円
・税金:約42万円
・実際の手取り:約265万円
・実質利益:+約165万円(+165%)
・実質年利回り:約16.7%
ケース2:為替が2.5円まで下落した場合
・投資額:100万円
・償還時円換算額(税引前・スプレッド適用後):約198万円(989,000TRY × 2.0円)
・円ベースの利益:約98万円 ・税金:約20万円
・実際の手取り:約178万円
・実質利益:+約78万円(+78%)
・実質年利回り:約9.6%
利益は出るものの、大幅に目減りします。
ケース3:為替が1.5円まで下落した場合
・投資額:100万円
・償還時円換算額(税引前・スプレッド適用後):約99万円(989,000TRY × 1.0円)
・円ベースの利益:-約1万円(損失)
・税金:0円(損失のため源泉徴収なし)
・実際の手取り:約99万円
・実質損失:-約1万円(-1%)
→ 利回り23.876%でも元本割れ!
過去7年で82.7%下落した事実があります。
償還時の2032年に1円台突入する可能性もあり得るかもしれません。
その場合、高利回りでも損失を被る可能性があるのです。
「高利回り」の落とし穴 コストを%で理解する
為替スプレッド、税金、そして為替変動で利益は簡単に吹き飛んでしまいました。
「為替スプレッドは0.25円ですよ」とセールスされたら安く感じてしまいがちです。
しかし、計算する時には単位を揃えて考える。
円という単位ではなく、コストを%で理解することが重要です。
表面利回り23.876%という数字だけに惑わされず、
実際のコストと為替リスクをしっかり理解することが大切だといえるでしょう。
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(以下、編集後記)
今回、投資初心者さんには、トルコリラ建ての債券について執筆いただきました。
トルコ・リラ等の新興国通貨の両替手数料、為替変動リスクに注意してほしいと思います。
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P214「10%のトルコ・リラ債券なら負けない?」にて解説しています。
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P34よりトルコリラについて解説しています。
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繰り返しになりますが、本記事はRIA JAPANが、投資初心者に弊社発信のコラムで、「なるほど!と感じたポイント」や「投資を始める前に知っておきたい!」と感じた内容について記述してもらったものです(第191回目)。
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