「みんなで大家さん」 税金滞納で資産差し押さえ、1,440億円集めたが現金は0.0046%の660万円しか残っていない

安東隆司

安東隆司

テーマ:あまり報道されないニュース

「みんなで大家さん 宗右衛門町商品の土地につきまして、大阪国税局より差押書を受けました」

「成田2号 管理口座579円」

引用A:テレビ朝日NEWS 2025/12/27 『「みんなで大家さん」税金滞納 国税局が大阪の土地を差し押さえ 配当停止続くなか』

2025年12月25日に、「みんなで大家さん」の投資家たちに衝撃的なメールが届きました。
「みんなで大家さん」を運営する共生バンクグループが、税金約*2億7000万円を滞納し、
大阪国税局と大阪府から資産を差し押さえられた
ことが明らかになったのです。
そして22億円を集めたプロジェクトの預金残高が500円ほどだというのです。

*2025/12/27テレビ朝日NEWSの報道で示された「1億7200万円超」「8400万円」「1400万円近い」という個別の差し押さえ金額を合算

7%といった高い配当をTVCM等で謳い、約4万人の個人投資家から2,000億円あまりを集めた不動産投資商品「みんなで大家さん」。
私見では再生の道は、既に閉ざされていると考えます。

成田P 1,440億円が残高660万円に。現金等は0.0046%しか残らず

22億円を集めた投資商品の口座(*成田2号)には、500円ほどしかありません。
成田6号では45億円を集めて、残高1400円ほど。成田16号は290億円を集めて、残高は6万5000円ほどです。
大家さん側は19の商品でおよそ1440億円を集めていますが、19の口座残高を足しても660万円ほどしかありません。

引用A:テレビ朝日NEWS 2025/12/27

不動産開発プロジェクトですから、手持ちの現金ではなく不動産購入や建物建築等に資金が充当されることはあるでしょう。
しかし、成田プロジェクトはまだ、更地のままで開発が進んでいるとは言えない案件です。

約1440億円の資金を募った成田プロジェクトの現在の口座残高は
* 0.0046%に当たる約660万円しかない

との報道でした。
(*テレビ朝日NEWSの報道内容を基にRIA JAPAN算出)

土地評価の過大計上も判明。実勢価格の数十倍~百数十倍に過大計上

2025年12月17日の読売新聞での調査報道では、
共生バンクが投資対象の土地を実勢価格の数十倍から百数十倍に評価して出資を募っていたことが明らかになっています。
みんなで大家さん評価: 約171万円/㎡ 
前所有者売却額: 約0.8万円/㎡ 
実勢価格: 0.2~1万円

事業者が投資対象とした土地について、ホテルや国際展示場などが完成すれば大きな利益を生むとして、実勢価格の数十倍~百数十倍に評価して出資を募っていた
(中略)
成田16号で出資を募ったのは、山林や原野計2万1229平方メートル。この土地の多くは駐車場や自然緑地とされ、利益を生みにくい用途だ。だが、評価額は363億2500万円で、1平方メートルあたり約171万円に上る。
(中略)
2020年8月に土地計1万461平方メートルを「成田ゲートウェイプロジェクト5号」に売った地権者は取材に対し、「契約額は約7900万円」と証言した。1平方メートルあたり約7600円の計算となる。
(中略)
国土交通省が運営するサイト「不動産情報ライブラリ」でも、
成田市小菅の不動産価格は1平方メートルあたり2000円~1万円程度。
「大家さん」では実勢価格の数十倍~百数十倍に評価して出資を募ったことになる。

引用B:読売新聞 2025年12月17日『「みんなで大家さん」成田、実勢の数十~百数十倍で過大評価し出資募る…地元「利益生み出すにはほど遠い」』

TVCMなど高い認知度があっても、必ずうまくいくとは限らない

以前、筆者は日曜日の朝の人気ニュース番組でTVCMを目にしたことがあります。
時代劇風のCMで「ていへんだ!ていへんだ!」と不安をあおり、
「みんなで大家さん」をやっているから大丈夫 といったシナリオでした。
このTVCMを見た時の筆者の感想は
・これほど高い利回り(年 7.0%)をTVCMで宣伝して大丈夫か?
・著しく有利と誤認させる広告 という気がする。
・TV局の考査部門は、よくわからずCM放送OKを出したのでは?
ということでした。

視聴者の多い人気ニュース番組は、宣伝効果が高いでしょう。
資産運用に詳しくない視聴者ならば、「TVでCMやっているから、大丈夫」と思ってしまう場合もあるでしょう。
投資者のインタビューでは、TVCMで知りチラシを取り寄せたと語っていました。
有名人や著名人が広告塔になり、トラブルになるケースと似ていると思います。

販売者は、都合の悪いことは、わざわざ伝えない

金融商品の販売に関して、「不都合な真実は語られない」ことがよくあります。
儲けさせてくれる、イイ人っぽいと投資を決定してしまうケースがあります。
しかし、「イイ人」だと思った関係者は、実際に起こっている不都合な深部を、わざわざ投資家には伝えません。
更に言えば、経営不振は従業員にすら知らされないでしょう。
勤務先の企業買収や経営破綻を、ニュースで知った従業員も多いでしょう。
悪い情報を、わざわざ多くの人には知らせないのです。

資産運用に、ウマい話は無いと考えることが無難

「あなただけ特別に」「富裕層が投資している」
このようなセールストークは要注意です。
ウマ過ぎる投資話は、極めて高いリスクを取る投資なのです。
かつて、いくつもの投資詐欺案件を破綻前から見抜いてきた筆者は思います。
「そんなにウマく儲かるならば、自分自身でやればよい。
なぜ、わざわざ沢山の人々の出資を、手間と費用をかけて行う必要があるのか?」

小口で投資家が多いほど、そのビジネスにかかるコストは高くなるのです。

「富裕層は何かウマい事をして、儲けている」
こんなイメージを富裕層に対して持っている人もいるかもしれません。
しかし筆者は全くそうは思っておりません。
一攫千金で大金を手にした人が、その後凋落するケースも多い印象があります。
富裕層は慎重な態度の方が、長年富裕層となっている印象です。

長年の富裕層は安定的な運用で、透明性、換金性(流動性)の高い資産運用をメインで行っているケースが多いと感じています。

資産運用を相談する相手選びは、慎重に行う必要があるのです。

※ 特定の会社に対する攻撃や悪意のアンチコラムなどではありません。
  実際に発生している事柄を報道を引用しつつお伝えしました。
※ 特定の銘柄の分析や推奨などではありません。

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安東隆司
専門家

安東隆司(投資顧問)

おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN)

富裕層の資産の管理や運用、承継などを行う。売買手数料0などお客様と利益相反の少ないサービスを追求。また、海外ETFを中心とした資産形成の知識・経験が豊富。テーラーメードの投資助言を大切にしている。

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