プライベートクレジットへ投資前に知っておくべきこと(2)その会社の格付を信用して大丈夫?
7%といった高い配当をTVCM等で謳い、約4万人の個人投資家から1500億円あまりを集めた「みんなで大家さん」。
不動産会社「共生バンク」が手掛ける投資商品です。
2025年7月末~10月末の4か月間、分配金が支払われていないと報道されています。
2025年11月27日、成田空港近くの開発用地の約4割ほどを貸している成田国際空港会社は記者会見で土地の賃貸借契約を11月で終了することを表明しました。
成田空港周辺の開発プロジェクトについて、開発用地の一部を貸していた成田空港会社は、(中略)27日に開かれた定例会見で藤井直樹 社長は「事業者に残りの造成工事を遂行できる能力があると確認できなかった」などと述べ今月末で土地の賃貸借契約を終了することを正式に明らかにしました。
引用:NHKニュース 2025年11月27日 『成田空港会社が「みんなで大家さん」事業者と契約終了表明』
成田市長「市はあくまで許認可」
2025年11月26日、開発許可を出した成田市は記者会見を開き、市は許認可のみで責任を負う立場でないことを表明しました。
「例えば、食堂に入って食中毒を起こした、または食中毒になってしまったとき、その飲食店の許認可を出した保健所の責任か。(市は)あくまで許認可を出したことであって、その行為自体は責任を負うものではないと考えている」
(中略)
ーー成田市がお墨付きを与えたように受け取っている出資者もいるが?
「それは投資家の勉強不足だと思いますよ、はっきり言って。我々としては『みんなで大家さん』の許認可を出しているわけではないので、ここは全く別に、市としては考えている」
引用:TBSニュース 2025年11月27日『「みんなで大家さん」投資トラブル 成田国際空港会社が“土地の貸付”終了する方針』
運営元は解約・返金業務停止中、出資者約1200人が集団訴訟に
2025年11月26日時点で、「みんなで大家さん」シリーズは運営元の資金難から出資金の解約・返金業務も事実上停止している状態です。
また、11月7日には出資者およそ1200人が110億円あまりの返還を求める集団訴訟を起こしたことが報じられています。
出資者のうち全国のおよそ1200人が6日、会社側に合わせて110億円余りの返還や契約の解除を求める訴えを大阪地方裁判所に起こしました。訴えによりますと、原告側は「不適切な財産管理で分配金の支払いが遅れた」などと主張していて、弁護団の事務局長を務める小幡歩弁護士も「出資金の返還だけでなく、集めた巨額の資金がどう管理されていたかも追及したい」と話しています。
引用:2025/11/07 NHKニュース『「みんなで大家さん」出資者約1200人 110億円余の返還求め提訴』
TVCMなど高い認知度があっても、必ずうまくいくとは限らない
筆者は日曜日の朝の人気ニュース番組でTVCMを目にしたことがあります。
時代劇風のCMで「ていへんだ!ていへんだ!」と不安をあおり、
「みんなで大家さん」をやっているから大丈夫 といったシナリオでした。
このTVCMを見た時の筆者の感想は
・これほど高い利回り(年 7.0%)をTVCMで宣伝して大丈夫か?
・著しく有利と誤認させる広告 という気がする。
・TV局の考査部門は、よくわからずCM放送OKを出したのでは?
ということでした。
視聴者の多い人気ニュース番組は、宣伝効果が高いでしょう。
資産運用に詳しくない視聴者ならば、「TVでCMやっているから、大丈夫」と思ってしまう場合もあるでしょう。
投資者のインタビューでは、TVCMで知りチラシを取り寄せたと語っていました。
有名人や著名人が広告塔になり、トラブルになるケースと似ていると思います。
販売者は、都合の悪いことは、わざわざ伝えない
金融商品の販売に関して、「不都合な真実は語られない」ことがよくあります。
儲けさせてくれる、イイ人っぽいと投資を決定してしまうケースがあります。
しかし、「イイ人」だと思った関係者は、実際に起こっている不都合な深部を、わざわざ投資家には伝えません。
更に言えば、経営不振は従業員にすら知らされないでしょう。
勤務先の企業買収や経営破綻を、ニュースで知った従業員も多いでしょう。
悪い情報を、わざわざ多くの人には知らせないのです。
資産運用に、ウマい話は無いと考えることが無難
「あなただけ特別に」「富裕層が投資している」
このようなセールストークは要注意です。
ウマ過ぎる投資話は、極めて高いリスクを取る投資なのです。
かつて、いくつもの投資詐欺案件を破綻前から見抜いてきた筆者は思います。
「そんなにウマく儲かるならば、自分自身でやればよい。
なぜ、わざわざ沢山の人々の出資を、手間と費用をかけて行う必要があるのか?」
小口で投資家が多いほど、そのビジネスにかかるコストは高くなるのです。
別件ですが、フィリピンの海外債券でも問題が発生しているようです。
海外からわざわざ渡航費をかけてセールスしてくるようなケースは、
「何かおかしいのでは?」と疑う注意が必要です。
「富裕層な何かウマい事をして、儲けている」
こんなイメージを富裕層に対して持っている人もいるかもしれません。
しかし筆者は全くそうは思っておりません。
一攫千金で大金を手にした人が、その後凋落するケースも多い印象があります
富裕層は慎重な態度の方が、長年富裕層となっている印象です。
長年の富裕層は安定的な運用で、透明性、換金性(流動性)の高い資産運用をメインで行っているケースが多いと感じています。
資産運用を相談する相手選びは、慎重に行う必要があるのです。
※ 特定の会社に対する攻撃や悪意のアンチコラムなどではありません。
実際に発生している事柄を報道を引用しつつお伝えしました。
※ 特定の銘柄の分析や推奨などではありません。
本コラムは信頼できると判断された情報をもとに作成しておりますが、正確性、完全性を保証するものではありません。



