運用プラスの顧客 大手証券79.4%、ネット証券72.3%、大手銀行80.9%、直販運用会社89.8%。 100%の会社はどこ?
7%といった高い配当をTVCM等で謳い、約4万人の個人投資家から2000億円あまりを集めた「みんなで大家さん」。
2025年7月末~10月末の4か月間、分配金が支払われていないと報道がありました。
また、2025年11月7日時点で、「みんなで大家さん」シリーズは運営元の資金難から出資金の解約・返金業務も事実上停止している状態です。
出資者およそ1200人が110億円あまりの返還を求める集団訴訟を起こしたことが報じられています。
出資者のうち全国のおよそ1200人が6日、会社側に合わせて110億円余りの返還や契約の解除を求める訴えを大阪地方裁判所に起こしました。訴えによりますと、原告側は「不適切な財産管理で分配金の支払いが遅れた」などと主張していて、弁護団の事務局長を務める小幡歩弁護士も「出資金の返還だけでなく、集めた巨額の資金がどう管理されていたかも追及したい」と話しています。
引用:2025/11/07 NHKニュース『「みんなで大家さん」出資者約1200人 110億円余の返還求め提訴』
運営元提案の解約スキームも実効性に疑問が
その中で、運営グループ代表は出資分の「第三者譲渡契約」を新たな解約スキームとして提案したと報じられています。
しかし、その内容は同じ共生バンクのグループ会社への保険付き債券での譲渡というものでした。
更に、額面の代金はすぐに支払われず、債券上場で得た利益から支払われ、
年7%の利息で提供すると報じられています。
投資家がそれぞれの出資持ち分(1口あたり100万円)を、(中略)都市綜研インベストバンク(東京・千代田)が設立する子会社に譲渡。元利金の全額を保証する「保険付き債券」を担保として交付するというものだ。(つまり、「第三者譲渡」といっても、その先は共生バンクのグループ会社である)。譲渡代金は即時に支払わず、半年以内を目標とする債券の上場で得た利益をもって支払うという。さらに、年7%相当の利息を提供する、としている。
(中略)投資家による集団訴訟の準備を進める小幡歩弁護士は、(中略)「グループ代表が資金難を認める中で、その一員である都市綜研インベストバンクが単独で資金を供給できるとは考えにくく、まともな保険会社が保険を付けるとは思えない」と述べる。
引用:2025/10/15 日経不動産マーケット情報『【トラブル】「みんなで大家さん」の解約提案に行政指導、大阪府が8項目の質問状』
東京都・大阪府が解約に対して具体的かつわかりやすく説明するように行政指導を実施
この一連の提案は投資家への支払いを先延ばしにし、時間稼ぎをしていると報じられています。
また、この新たな解約スキームについて、東京都と大阪府が具体的かつ分かりやすく説明するように行政指導を行ったことを10月14日に公表しました。
東京都と大阪府は14日、事業を手がける共生バンク(東京都千代田区)のグループ会社2社に対し、解約対応の説明が不十分だとして行政指導したと発表した。
引用:2025/10/14 東京新聞『【解約申請殺到の「みんなで大家さん」が示した「対応策」 出資者側の弁護士は「訴訟回避の時間稼ぎ」』
弁護士に相談した出資者は1000人を超えた
成田の遅配は3か月連続で、他商品も合わせると27商品で遅配が起きている。出資金の返金を求める提訴が相次いでおり、弁護士に相談している出資者は少なくとも1000人に上る。
引用:読売新聞 2025/10/02『不動産投資「みんなで大家さん」、計27商品で配当遅れ…弁護士に相談1000人超』
資金繰り悪化で資産売却を計画だが、実現には疑問も
運営元の共生バンクは分配金再開に向けて、
グループ会社が保有している物件の売却を目指すと報道されていました。
しかし、その値段設定はかなり強気と報道されています。
共生バンクの財務状況は今年の春先には深刻化し、資産売却に向けて東奔西走している様子が漏れ聞こえていた。
(中略)それでも、足元での値付けは強気だ。25年春時点の物件概要書には460億円との記載があるが、直近では500億円、1坪あたり約4400万円に達するとの情報もある。仕入れ値の2.3から2.5倍、24年度の固定資産税路線価の10倍前後に相当
引用:日経不動産マーケット情報 2025/08/29『【トラブル】みんなで大家さん「換金性資産」600億円の内容判明』
資金繰りを考えると、高値で売りたい希望なのでしょう。
しかし実態とかけ離れた値付けであれば、「絵に描いた餅」となりかねません。
TVCMなど高い認知度があっても、必ずうまくいくとは限らない
筆者は日曜日の朝の人気ニュース番組でTVCMを目にしたことがあります。
時代劇風のCMで「ていへんだ!ていへんだ!」と不安をあおり、
「みんなで大家さん」をやっているから大丈夫 といったシナリオでした。
このTVCMを見た時の筆者の感想は
・これほど高い利回り(年 7.0%)をTVCMで宣伝して大丈夫か?
・著しく有利と誤認させる広告 という気がする。
・TV局の考査部門は、よくわからずCM放送OKを出したのでは?
ということでした。
視聴者の多い人気ニュース番組は、宣伝効果が高いでしょう。
資産運用に詳しくない視聴者ならば、「TVでCMやっているから、大丈夫」と思ってしまう場合もあるでしょう。
投資者のインタビューでは、TVCMで知りチラシを取り寄せたと語っていました。
有名人や著名人が広告塔になり、トラブルになるケースと似ていると思います。
販売者は、都合の悪いことは、わざわざ伝えない
金融商品の販売に関して、「不都合な真実は語られない」ことがよくあります。
儲けさせてくれる、イイ人っぽいと投資を決定してしまうケースがあります。
しかし、「イイ人」だと思った関係者は、実際に起こっている不都合な深部を、わざわざ投資家には伝えません。
更に言えば、経営不振は従業員にすら知らされないでしょう。
勤務先の企業買収や経営破綻を、ニュースで知った従業員も多いでしょう。
悪い情報を、わざわざ多くの人には知らせないのです。
資産運用に、ウマい話は無いと考えることが無難
「あなただけ特別に」「富裕層が投資している」
このようなセールストークは要注意です。
ウマ過ぎる投資話は、極めて高いリスクを取る投資なのです。
かつて、いくつもの投資詐欺案件を破綻前から見抜いてきた筆者は思います。
「そんなにウマく儲かるならば、自分自身でやればよい。
なぜ、わざわざ沢山の人々の出資を、手間と費用をかけて行う必要があるのか?」
小口で投資家が多いほど、そのビジネスにかかるコストは高くなるのです。
別件ですが、フィリピンの海外債券でも問題が発生しているようです。
海外からわざわざ渡航費をかけてセールスしてくるようなケースは、
「何かおかしいのでは?」と疑う注意が必要です。
「富裕層な何かウマい事をして、儲けている」
こんなイメージを富裕層に対して持っている人もいるかもしれません。
しかし筆者は全くそうは思っておりません。
一攫千金で大金を手にした人が、その後凋落するケースも多い印象があります
富裕層は慎重な態度の方が、長年富裕層となっている印象です。
長年の富裕層は安定的な運用で、透明性、換金性(流動性)の高い資産運用をメインで行っているケースが多いと感じています。
資産運用を相談する相手選びは、慎重に行う必要があるのです。
※ 特定の会社に対する攻撃や悪意のアンチコラムなどではありません。
実際に発生している事柄を報道を引用しつつお伝えしました。
※ 特定の銘柄の分析や推奨などではありません。
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