「みんなで大家さん」シリーズ3ヶ月連続で分配金停止 弁護士に相談人数は1000人超との報道

安東隆司

安東隆司

テーマ:あまり報道されないニュース

7%といった高い配当をTVCM等でを謳い、約4万人の個人投資家から2000億円あまりを集めた「みんなで大家さん」。
2025年7月末に予定していた分配金が支払われず、8月末・9月末も分配金が支払われなかったと報道がありました。

「みんなで大家さん」9月末に支払い予定だった全ての商品で分配金が支払われていませんでした。
(中略)出資者への分配金は今年7月から3か月連続で支払われておらず、出資者は出資金返還を求めて大阪地裁に集団提訴しています。

引用:MBSニュース 2025/10/01『【みんなで大家さん】全商品で分配金支払われず 不動産ファンドで義務付けの資産の分別管理は適正だったか 問い合わせに「法令に従い運用している」』

弁護士に相談した出資者は1000人を超えた

成田の遅配は3か月連続で、他商品も合わせると27商品で遅配が起きている。出資金の返金を求める提訴が相次いでおり、弁護士に相談している出資者は少なくとも1000人に上る。

引用:読売新聞 2025/10/02『不動産投資「みんなで大家さん」、計27商品で配当遅れ…弁護士に相談1000人超』

資金繰り悪化で資産売却を計画だが、実現には疑問も

運営元の共生バンクは分配金再開に向けて、
グループ会社が保有している物件の売却を目指すと報道されていました。
しかし、その値段設定はかなり強気と報道されています。

共生バンクの財務状況は今年の春先には深刻化し、資産売却に向けて東奔西走している様子が漏れ聞こえていた。
(中略)それでも、足元での値付けは強気だ。25年春時点の物件概要書には460億円との記載があるが、直近では500億円、1坪あたり約4400万円に達するとの情報もある。仕入れ値の2.3から2.5倍、24年度の固定資産税路線価の10倍前後に相当

引用:日経不動産マーケット情報 2025/08/29『【トラブル】みんなで大家さん「換金性資産」600億円の内容判明』

資金繰りを考えると、高値で売りたい希望なのでしょう。
しかし実態とかけ離れた値付けであれば、「絵に描いた餅」となりかねません。

TVCMなど高い認知度があっても、必ずうまくいくとは限らない

筆者は日曜日の朝の人気ニュース番組でTVCMを目にしたことがあります。
時代劇風のCMで「ていへんだ!ていへんだ!」と不安をあおり、
「みんなで大家さん」をやっているから大丈夫 といったシナリオでした。
このTVCMを見た時の筆者の感想は
・これほど高い利回り(年 7.0%)をTVCMで宣伝して大丈夫か?
・著しく有利と誤認させる広告 という気がする。
・TV局の考査部門は、よくわからずCM放送OKを出したのでは?
ということでした。

視聴者の多い人気ニュース番組は、宣伝効果が高いでしょう。
資産運用に詳しくない視聴者ならば、「TVでCMやっているから、大丈夫」と思ってしまう場合もあるでしょう。
投資者のインタビューでは、TVCMで知りチラシを取り寄せたと語っていました。
有名人や著名人が広告塔になり、トラブルになるケースと似ていると思います。

販売者は、都合の悪いことは、わざわざ伝えない

金融商品の販売に関して、「不都合な真実は語られない」ことがよくあります。
儲けさせてくれる、イイ人っぽいと投資を決定してしまうケースがあります。
しかし、「イイ人」だと思った関係者は、実際に起こっている不都合な深部を、わざわざ投資家には伝えません。
更に言えば、経営不振は従業員にすら知らされないでしょう。
勤務先の企業買収や経営破綻を、ニュースで知った従業員も多いでしょう。
悪い情報を、わざわざ多くの人には知らせないのです。

資産運用に、ウマい話は無いと考えることが無難

「あなただけ特別に」「富裕層が投資している」
このようなセールストークは要注意です。
ウマ過ぎる投資話は、極めて高いリスクを取る投資なのです。
かつて、いくつもの投資詐欺案件を破綻前から見抜いてきた筆者は思います。
「そんなにウマく儲かるならば、自分自身でやればよい。
なぜ、わざわざ沢山の人々の出資を、手間と費用をかけて行う必要があるのか?」

小口で投資家が多いほど、そのビジネスにかかるコストは高くなるのです。
別件ですが、フィリピンの海外債券でも問題が発生しているようです。
海外からわざわざ渡航費をかけてセールスしてくるようなケースは、
「何かおかしいのでは?」と疑う注意が必要です。

「富裕層な何かウマい事をして、儲けている」
こんなイメージを富裕層に対して持っている人もいるかもしれません。
しかし筆者は全くそうは思っておりません。
一攫千金で大金を手にした人が、その後凋落するケースも多い印象があります
富裕層は慎重な態度の方が、長年富裕層となっている印象です。

長年の富裕層は安定的な運用で、透明性、換金性(流動性)の高い資産運用をメインで行っているケースが多いと感じています。

資産運用を相談する相手選びは、慎重に行う必要があるのです。

※ 特定の会社に対する攻撃や悪意のアンチコラムなどではありません。
  実際に発生している事柄を報道を引用しつつお伝えしました。
※ 特定の銘柄の分析や推奨などではありません。

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安東隆司
専門家

安東隆司(投資顧問)

おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN)

富裕層の資産の管理や運用、承継などを行う。売買手数料0などお客様と利益相反の少ないサービスを追求。また、海外ETFを中心とした資産形成の知識・経験が豊富。テーラーメードの投資助言を大切にしている。

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